大津波から19日目、やっと被災地に足を踏み入れることが出来た。
北三陸の寒村、連なる海岸段丘を振り仰ぐ海辺にひっそり身を寄せ合っていた集落は、多くの思い出と共に海の藻屑と消えてしまった。
瓦礫と砂泥が積み重なり、何もなくなった景色の向こうに、皮肉にも防潮水門だけがしっかり残っている。
姉夫婦の家は基礎部分を残すだけ、20mほどの高台にあった爺様のところは建物は残ったが傷みは想像以上に酷い。
何事もなかったように青く静かな今日の海だが、沖合いには大量の浮遊物、崩壊した岸壁、1隻の漁船も見当たらない異様な港内が、あの日の惨劇を想像させる。
瓦礫の中に必死に何かを探す子連れの母親、寂しげな笑顔を見せて浜辺に下りていった。
一陣の風が砂塵を巻き上げる。
倒れなかった鯉のぼりの柱で、風車がカラカラと音を立てた。
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