
秋の新蕎麦にそなえて、「かえし醤油」を作ることにしました。
以前、辛汁で書きましたが、かえし醤油も自家製することをお勧めします。

材料です。
丸大豆醤油、三温糖、みりんです。
分量は
醤油 2000ml
みりん 300ml
三温糖 400g
材料を厚手の鍋に入れ、煮溶かしながら、弱火で加熱します。

80℃程度になると、灰汁が浮かんできますのですくい取って、冷却します。

ペットボトルにいれて、床下収納庫で半年ねかせます。
右が昨年の秋に作ったかえし、左が今回使ったかえしです。
半年ねかせると味がとても円やかになります。
蕎麦の辛汁だけでなく、魚を煮るとき、穴子のツメや、焼き鳥のタレを作るときのベースになります。

会津の農村部にある蕎麦屋さんです。
「水車」と書いて、「くるまや」と呼ぶそうです。
水田が広がる集落の中にあります。
暖簾が出ていなければ普通の民家です。

メニューはざる蕎麦と天ざる蕎麦(天ぷらは季節の山菜や、野菜)のみ。
冬季限定で会津地鶏蕎麦があるそうです。
左下が「水蕎麦」、冷たい水に蕎麦をいれたものです、何も付けずそのまま頂きます。蕎麦の香りが一番分かる食べ方です。よほど蕎麦に自信がないと出せません。
左上がワラビのおしたしです。
蕎麦は10割の細打ちで香りも高く、すっきりとした美味しい蕎麦でした。ここなら何度来ても良いと思いました。
女性には量が少し多いかも。
最後に女将さんが時間があったのでと「そばがき」を作ってくれました。
ムース状の柔らかい「そばがき」にエゴマの甘だれをかけてありました。
これも美味しかったです。

今日、本屋に行き、本を買って来ました。
一番右側の「大江戸美味草紙」、著者は故杉浦日向子氏です。
私は杉浦氏のファンでした。氏の江戸文化に対する造詣ももちろんですが、蕎麦
と蕎麦屋に対する思い入れに共感していました。本当に惜しい人をなくしまし
た。
「蕎麦屋で憩う」のまえがきで、 氏の文章で特に好きなところです。
「グルメ本ではありません。おとなの憩いを提案する本です。ソバ好きの、ちょいとばかし生意気なこどもは、いますぐ、この本を閉じなさい。十年はやい世界ってものがあるのですよ。
腹ぺこの青春諸君も、もう、この先読まなくていいです。 中略
ソバ屋でたしなむ酒の味。こんな時間がもてるということ、これぞ、いままで、生きてきた甲斐があるというもの。
ソバ屋で憩うのは、いかがですか。
この本は、ソバを批評するものではありません。ソバ屋という、身近なオアシスを楽しむ本なのです。」
蕎麦屋が似合うのは40を過ぎてからでしょうか?
冷酒を掻き揚げ、板わさ等で頂き、締めに蒸籠を一枚。大好きな時間と空間です。
自分で蕎麦を打つのに蕎麦屋に行くのですか?と良く訊かれますが、蕎麦屋が好きなのは杉浦氏と一緒です。
単身赴任して最初に探すのは居心地の良い蕎麦屋です。

よく行く蕎麦屋さん「ふじや」の「おろしそば」です。
細打ちの二八蕎麦に、辛み大根が載った私の好物です。
「自分で蕎麦を打つのに、蕎麦屋にも行くのですか?」とよく訊かれます。
よく行きます。勉強(良くも、悪くも)です。
当市の中で一番行くのがここ「ふじや」です。
蕎麦はもちろん、辛汁はさすがです。
しっかりとした旨味が有りながら、個々の材料の個性を抑えた出汁と、返しのバランスが絶妙です。藪系程は辛くなく、かといって更級程は甘くなく、すっきりと洗練された辛汁です。
アマチュアももっと辛汁に関心を払うべきだと思っています。
そこそこの蕎麦を打つ人でも、市販の麺つゆなどを使っているのを見るとがっかりします。
自分の打つ蕎麦に最も合う辛汁を作ることで、自分の蕎麦をより美味しく食べて頂くことができると思います。
辛汁は返しを作ったり、出汁をとったり面倒と思われるかもしれませんが、以外と簡単です。2005.11月13日の記事をご覧下さい。
辛汁は蕎麦だけでなく色々な料理に使えて便利です。
自分で作った辛汁を使い出すと、市販の麺つゆは化学(旨味?)調味料の味が舌に残って使えなくなります。
現在の市販の調味料、加工食品はあまりにも化学調味料に頼りすぎているように思います。
食材の本来持つ味も化学調味料でコーティングされてしまうというか、自身の舌が麻痺してしまい、微妙な味覚が損なわれる気がしてなりません。

こちらは家族がよくたのむ「山かけ」です。
蕎麦の真価は冷たい蕎麦です。
でも、蕎麦の辛汁が美味しい蕎麦屋さんは種物も美味しいです。
たぶん辛汁用にしっかりとした出汁をとり、さらに2番だしをしっかりとって甘汁に使うからでしょう。
種物の紹介は後日に。

当方蕎麦が好きですが、蕎麦屋も好きです。蕎麦屋独特のつまみで、蕎麦前
(酒)をゆっくり楽しみ、最後は蕎麦で締める、これが最高です。
故 杉浦日向子 氏の著書「蕎麦屋で憩う」に共感しています。本当に惜しい人
を亡くしました。
仕事帰り良く行く蕎麦屋さんです。ここは蕎麦が美味しいのはもちろん、酒も
田酒(青森)、久保田千寿(新潟)、日高見(宮城)、ほまれ(会津)、又兵衛
(いわき)の純米酒が揃っており、つまみが豊富で美味しいのが嬉しいです。
桜エビのかき揚げ(半分食べてしまいました)がつき出し、つまみは戻りカツオ
の造りにしました。酒は久保田千寿です。

締めは「せいろ」、のど越しの良い細打ちの麺に、並木の藪に似た辛口できりっ
とした辛汁です。蕎麦はマーマーでも辛汁が?のところが多い中、ここと「ふじ
や」はさすがだと思います。

以前食べた「にしん蕎麦」です、種物にしても腰がある蕎麦です、かけ汁のバラ
ンスも申し分ありませんでした。

たたみです。
麺帯の半分に打ち粉を置きます。
延しの時は打ち粉は最小限度にと書きましたが、たたみの時はたっぷりと「載せ
る」感覚です。しかし刷り込んではいけません。

麺帯を重ねますが、麺帯だけを持つとちぎれますので、麺棒に麺帯を載せ引っ張
ります。

2枚重ねになりました。

さらに半分に打ち粉を置きます。

半分にたたみますが、2枚重ねになっているため、麺帯の強度もあり、麺棒に載
せる必要はありません。これで4枚重ねです。

さらに半分に打ち粉をおきます。

最終のたたみです。これで8枚重ねとなります。
厚さは約10mmとなります。
プロは12枚とか16枚で切りますが、アマチュアは8枚が適当でしょう。

切り板にたたんだ麺帯をおき、たっぷりと打ち粉を置き、駒板の滑りを良くしま
す。

包丁です。
切り幅は好みで、太くても細くても良いのですが、均一に切ります。
太さが違うと茹でむらが出来て食感が悪くなります。0.2mm以内の誤差が理
想です。

打ち粉を充分払い、生船(生蕎麦を入れる箱)に入れます。
切ってから1時間程度置いた方が美味しいようです。
切ってすぐは包丁下といって嫌われます。

延しです。
先日の木鉢では1kgの蕎麦を捏ねましたが、1kgを一度の延すには3本の棒を使い
ますが、今回は半量(500g)を通常の方法で延しました。
蕎麦打ち板に打ち粉を打ち、蕎麦玉を載せます。

手のひらを使って丸く押しつぶします。なるべく均一な厚さになるように。

延し棒を使って厚さが8mm程度までのします。このとき麺帯の上には打ち粉は打たないようにします。

十割蕎麦の場合は乾燥に弱く、周囲からひびが入ってきます、周囲を最初に5mm程度切り取ることで「ひび」の成長を防ぐことは出来ます

切り取った麺帯は丸めて、麺帯に埋め込みます。
このために、この時点まで麺帯の上には打ち粉を打たないのです。
打ち板には麺帯がくっつかないように打ち粉を打ちますが、打ち粉の量は最小限
度にします。市販の打ち粉にはコーンスターチなどが入っているため、私は同じ
そば粉を打ち粉として使いますが、それでも夾雑物として蕎麦の麺帯に入り込ん
でしまいます。

麺帯を少しずつ回しながら丸く延していきます。すっかり埋め込まれました。

丸いまま延しても良いのですが、端の部分に無駄が出てしまいます。
四角く延すのがお勧めですが、丸から四角に変形するにはテクニックが必要です。
麺帯の中心に打ち粉をして、麺棒で巻き、中心部を軽くおします。

おされた中心部の端がのびて、角が出ます。

90度向きを変えて同じように巻き、中心部をおします。

以上を繰り返し、4つの角を出していきます。

形ととしては四角になりましたが、麺帯の対角線上は薄く、4辺は厚くなっていますの
で、4辺の部分を4すみに延し、均一な厚さにします。
これを肉分けと言います。

巻き棒で麺帯の半分を巻き取り、上半分を延し棒で延していきます。
このときの打ち粉も必要最小限にします。

厚さが1.5~1.2mmになるように均一に延します。
延し棒の使い方は改めて後日紹介します。

半分が延し終わったなら、いったん巻き取り、向きを変えて反対側の半分を延します。

延し終わったなら全体を広げ、均一に延されていつかチェックし、ムラがある場合は修
正します。これで延しの完了です。

待ちに待った新蕎麦の季節です。
今回から3回連続で蕎麦打ちをアップする予定です。
この蕎麦は鴨蕎麦です。

今回の蕎麦打ちはそば粉だけの十割蕎麦です。
篩いでそば粉を篩い、混入しているそば殻を除きます。
今回のそば粉は製粉歩留まり50%(玄そばから採れるそば粉の割合で、歩留ま
りが高いそば粉はそばの実の外側までひきこんであるため黒く、歩留まりの低いそ
ば粉は白くなります)ですので水だけではつながり難いので、お湯と水を半々で打
つ方法です。

今回のそば粉の加水率(1kgのそば粉を捏ねるのに必要な水分量)48%ですので
240mlの水を沸騰させます。

盛り上げたそば粉の中央に窪みを作り、熱湯を注ぎます。

菜箸でかき混ぜ、糊を作ります。これが「つなぎ」になります。

手でそば粉をもみほぐし、「つなぎ」の糊が均一に行き渡るようにします。

残りの水240mlを2回に分け加えます。
1回目で約80%の200mlを加えます。

そば粉を両手でこすり合わせるようにし、水分を均一に行き渡らせます。

残りの水を加え、指を立ててかき混ぜていくとそば粉が寄せ集まってきます。
これを集めまとめていきます。

一つのそば玉にまとめたら、縦、横に捏ねます。
最後に表面の皺を一箇所に集め、鉢に押しつけるようにし、表面を滑らかにします。
蕎麦打ちは「木鉢」すなわち「捏ね」が一番難しいと言われています。
これはそば粉により加水率がかなり異なるからです。
今回は何回も使っているそば粉ですので加水率が分かっており、比較的楽に捏ねが出来
るように見えると思います。しかしいつも使っている粉でもその日の温度、湿度
で少しずつ変わります、変わると言っても小さじ一杯程度の変化ですが、その程度
の量で蕎麦の状態が大きく変化します。
これが全く初めてのそば粉ですと加水率が全く分かりませんので、捏ね方特に
加水の方法がかなり異なります。その方法は後日ご紹介します。