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別菫大 高適

2018-02-15 06:26:42 | 文学

盛唐の詩人、高適の七言絶句を紹介します。

菫大(とうだい)ニ別ル

千里黄雲白日暗
北風吹雁雪粉粉
莫愁前路無知己
天下誰人不識君

菫大ニ別ル

千里黄雲 白日暗シ
北風雁ヲ吹イテ 雪粉粉
愁ウル莫カレ 前路知己無キヲ
天下誰人(たれびと)カ 君ヲ識(し)ラザラン


「訳」

千里四方、黄色い雲が垂れこめ、日の光も薄れてきた。
北風が雁の群を吹き、雪まで舞い出した。
心配したまうな、行く手には友がいない、などと。天下に、君を知らぬ人などいるものか。


「鑑賞」
この詩は高適がまだ出世前で、辺境に従軍していた折の作と推測されます。 
菫大とは、琴をひく楽士の菫庭蘭のこと。前半二句は、荒涼とした辺塞の情景。
後半は友を送る情をうたう。楽士といえば、華やかな職業、しかも君を知らない人はいない、というほどの人物がどういうわけがあってのことか不明だが、こんな辺境をさすらうのであるから、そのみじめさはひとしおのものがある。
 高適は、渤海の人で、唐代詩人の中では稀に見る栄達者ですが、情に厚い人のようです。
 李白・杜甫とも親交があり、詩風は「高古豪壮」といわれます。

  石川忠久「漢詩のこころ」時事通信社    

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