yoshのブログ

日々の発見や所感を述べます。

本能寺

2012-11-21 06:35:53 | 文学
頼山陽の漢詩です。

本能寺

本能寺溝幾尺
吾就大事在今夕
こう粽在手併こう食
四簷梅雨天如墨
老坂西去備中道
揚鞭東指天猶早
吾敵正在本能寺
敵在備中汝能備

本能寺 溝ハ幾尺(いくせき)ナルゾ
吾大事ヲ就(な)スハ 今夕ニアリ
こう粽手ニアリ こうヲ併セテ食ラフ
四簷(しえん)ノ梅雨 天墨ノ如シ
老ノ坂西ニ去レバ備中ノ道
鞭ヲ揚ゲテ東ヲ指セバ天猶ホ早シ
吾ガ敵ハ正ニ 本能寺ニ在リ
敵ハ備中ニ在リ 汝能ク備エヨ

「訳」

本能寺の外溝の深さはどれ程でしょうか。
私が大事を行うのは今宵です。
こう(ささ)にくるまれた粽(ちまき)を手に取ったが気分が高ぶっていたのでささもあわせて食した。
家の庇の周囲の梅雨で、闇が濃い。
自分の居城の亀岡から京に至る老坂峠に来た。
西に行けば備中、東に向かえば京であり、未だ暁暗である。
吾が敵、信長は本能寺にいる。
(振り返れば)信長配下の秀吉は備中にいたのだから、この敵にも備えなければならなかったのだ。

当時、名高い教養人でもあった武将、明智光秀にして、止むに止まれず主君を討つことになりました。頼山陽はこれをゆるすことなく、上記の漢詩により揶揄しました。私は、名将を見下した態度があらわなこの詩には好感が持てません。

吟剣詩舞振興会 「吟剣詩舞道漢詩集 律詩・古詩編」
コメント
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