yoshのブログ

日々の発見や所感を述べます。

光電子増倍管

2012-11-27 06:26:54 | 科学
電子増倍管(フォトマルチプライヤー)は、微弱な光を検知して増幅する機能をもつ一種の真空管です。光電子増倍管は光電効果により光を電子に変換する光電面と、光電子を計測可能な量にまで増幅する二次電子面から構成されます。光電効果は、1887年にドイツのHertzによって発見されました。その後、1889年に可視光によるアルカリ金属からの光電効果が確認され、光電面の開発が始まりました。一方、二次電子放出は1902年に発見されました。そして1934年には、光電面と二次電子放出面を組み合わせて信号の増幅が可能であることが示されました。ここから光電子増倍管の歴史が始まりました。
日本では1959年に浜松ホトニクス(株)などで製造、販売が開始されました。因みに浜松ホトニクスは、テレビの父と言われた高柳健次郎博士の弟子、堀田平八郎が創業しました。
後にノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊教授は、1979年に直径20インチの光電面をもつ光電子増倍管の製作を浜松ホトニクスに依頼しました。浜松ホトニクスはこの依頼をわずか1年で成し遂げたのです。この光電子増倍管は、岐阜県にあるカミオカンデに設置され、超新星爆発に伴って発生したニュートリノの観測に成功し、小柴教授はこの功績により、ノーベル物理学賞を受賞しました。また、浜松ホトニクス製の光電子増倍管は、スイス、CERNの加速器(LHC)に2万6千台も設置されています。これは先日、未発見の最後の素粒子と言われるヒッグス粒子の検出に使われ、見事に世紀の大発見に貢献したのです。

   三宅弘晃  「電気学会誌」 2012 Vol.132
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