yoshのブログ

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最後だとわかっていたなら

2011-12-05 05:58:23 | 文学
2001年9月11日にアメリカで起きた同時多発テロの後、世界中に配信された、ひとつの詩がありました。アメリカ人、Norma Cornett Marek (ノーマ コーネット マレック)原作の詩 “Tomorrow Never Comes”ですが、この詩を佐川 睦氏が訳して、「最後だとわかっていたなら」という本になりました。以下に珠玉のような詩を紹介します。

あなたは言わなくても
わかってくれていたかもしれないけれど
最後だとわかっていたら
一言だけでもいい
「あなたを愛している」と
わたしは 伝えただろう
たしかにいつも明日はやってくる
でももしそれがわたしの勘違いで
今日で全てが終わるのだとしたら、
わたしは 今日
どんなにあなたを愛しているか
伝えたい
そしてわたしたちは 忘れないようにしたい
(中略)
明日が来るのを待っているなら
今日でもいいはず
もし明日が来ないとしたら
あなたは今日を後悔するだろうから
微笑みや 抱擁や キスをするための
ほんのちょっとの時間を
どうして惜しんだのかと
忙しさを理由に
その人の最後の願いとなってしまったことを
どうして してあげられなかったのかと
だから 今日
あなたの大切な人たちを
しっかりと抱きしめよう
そして その人を愛していること
いつまでも いつまでも
大切な存在だということを
そっと伝えよう

「ごめんね」や「許してね」や
「ありがとう」や「気にしないで」を
伝える時を持とう
そうすれば
もし明日が来ないとしても
あなたは今日を後悔しないだろうから


ノーマは、1940年 ケンタッキー州ラインフォークに生まれ、美しい山々に囲まれた大自然の中で祖母に育てられました。詩や絵の才能にめぐまれ、幼い頃から数々の作品を残しました。「最後だとわかっていたのなら」の原作は、ノーマが長男のサムエルに捧げた詩で1989年に
発表されました。これらの詩はインターネットを通じて配信されました。しかし残念なことに、ノーマは2003年に癌を患い、翌年64歳で永眠しました。

ノーマのこの詩は、2001年9月11日のテロの時、救出作業の途中に亡くなった29歳の消防士が生前に書き残した詩として誤って紹介され、ネット上で爆発的に世界中に広まりました。かつてアメリカに留学していた佐川睦氏はこの詩に衝撃を受け、日本語訳を思い立ち、原作者のノーマに連絡をとろうとしましたが、彼女は既に癌で他界していました。そこで、ノーマの作品を管理しているノーマの親友のジュディに話して日本語訳について快諾を得て、本「最後だとわかっていたなら」が出版されました。

佐川 睦訳 「最後だとわかっていたなら」サンクチュアリ出版
 
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