【行程】
道の駅:いんない →(R387・R10)→ 宇佐神宮 →(R10・R213・K31他)→ 富貴寺 →(K29他)→ 両子寺 →(K29・K31・R213)→ 道の駅:くにみ →(R213)→ 国東市内コインランドリー →(R213)→ 道の駅:くにさき →(R213・R10他)→ 里の駅;山香風の郷 (泊) <137km>
【レポート】
朝になって何だか外が騒々しい様なので覗いてみたら、何やらフリーマーケットの様なものが行われるらしく、その開店準備なのか、何人かの人たちが動き回っていた。泊りの車も10台近くあって、近県からの連休利用の人らしかった。この地はなかなか味わいがあるので、一度来た人にはもう一度という気が起こるのかもしれないなと思った。何しろ石橋が75もありそれに興味を持ったら、奥行きは深いのではないか。又温泉も3つもあり、くるま旅の者にはこれ又魅力を覚える場所でもあるからである。
今日の予定は宇佐神宮の参拝の後、国東の数多いお寺の内の富貴寺と両子寺に参詣し、その後は杵築の城下町を訪ねたいと思っている。朝から上天気で、今日はかなり暑くなりそうだ。出発の前に、昨日見残していた、直ぐ近くにある荒瀬橋というのを見に行く。これもそれなりに貫録のある橋だった。他にももう一つくらいは素朴なものを見たいなと思ったのだけど、貰った絵地図と実際の現場には格段の差があって、絵地図が判りやすい分だけ、現地での混乱が多い。観光協会はどうやら主な橋だけ見て貰えばいいという考えらしく、小さな橋などには丁寧な現地ガイドはなされていなかったのが残念である。歩いて自ら探せばいいだけの話なのだが、今日はこの後かなり歩き回る予定が入っており、一つだけに止めての出発となった。
宇佐神宮には何度か参拝している。院内の道の駅からは1時間もかからない距離だった。広い駐車場があるのだが、SUN号には中途半端な線引きが多くて、停める場所を決めるのに時間がかかった。この神社の駐車場は神社が経営しているのではないのか、有料である。鵜戸神宮も伊勢神宮も無料なのに、などと思った。車を置いて、広い境内の中を本殿に向かって歩く。今はイチイカシの花盛りなのか、その花の匂いがむせ返るほどに境内一杯に漂っていた。気温は早や25度を超えているのではないかと思われた。木陰を辿りながら、ようやく本殿に着く。ここの礼拝の仕方は、他の神社などとは違って、二礼四拍一礼という作法である。何となく威厳さを思わせる感じがした。本殿の後、下宮にも参拝する。本宮と同じ三神が祀られたお宮なのだけど、本宮の方は国体のために造られ、下宮の方は一般民衆のために造られているのだとか。国体というのも所詮は民衆が造り支えているというのを思えば、区分する必要もないと思うのだけど、その昔の為政者の考えにはどうしても差別が必要だったようである。祀られる神様の方はどんな気分なのだろうかなどと、不謹慎な思いを馳せるのはいつもの悪い根性の働きなのであった。新緑の空間は神様ならずとも生きた人間には元気をもらえるありがたい空気に満ちていた。
宇佐神宮本殿。この神宮はひときわ朱塗りの建物が目立つ。折からの新緑に映えて荘厳さが層倍している感じがした。
参拝の後、参道にある店の中で、一番神宮に近い茶店で湯気を立てているヨモギ饅頭に関心が集中し、それを求めて茶店の前の長椅子に腰を下ろす。お茶は無料で、最初は温いものを、後からは熱いのをふるまってくれた。石田光成の茶坊主時代の様なアイデアなのだが、店の若いおばちゃん自ら大声を上げてそう喧伝しているので、さほどに有難味は感じなかったけど、歩き疲れの身には熱い饅頭と温いお茶はフィットしており、饅頭も美味かった。いつの間にか旅車などの話となり、別のオッチャンが出て来て話に加わって、九重でのキャンプなどの話となり、エンドレスになりそうだったので、潮時を見極めるのに苦労した。参拝の有難味よりもこのような茶店の人との歓談の方がご利益が多いような気がした。否、これこそが神様の配慮の一つだったのかも。
宇佐神宮の後は、御仏の里国東の中でも最も人気のあるお寺の一つである富貴寺に向かう。20分ほどで到着。富貴寺は大堂と呼ばれる建物が九州に現存する木造建築では最古のものだとか。勿論国宝になっている。一見では何の変哲もない古い建物なのだけど、中に入るとそのたたずまいの中に千年前の往時の人たちが描いた極楽浄土の壁画などが擦れて残っており、それらを自分なりに修復してイメージすると多くの御仏に守られた穢れ無き世界がそこに現出するのである。昨日の臼杵の石仏への祈りも、その先にあったのは、このような浄土を求める人々の遠い願いだったのではないかと思われ、時代を生きる人々の苦悩やそれゆえの夢の世界が偲ばれたのだった。大堂に坐してその静寂に覆われた世界の中にいると、この空間が国宝に相応しものだというのが、次第に解ってくるように感じた。
富貴寺大堂。ひっそりとしたたたずまいは、さほどに古さも感じさせないが、この建物の価値は、中に入ってみないとわからないように思う。中には往時の人々のあこがれが描かれていたのだった。
このような空間の中でも、真の民衆というのはいるもので、我々の前に座っていた二人の老婆が、仏前で売っている数珠を買うについて、私はこちらが良い、いやあたしはこっちだと仏様のことなどすっかり忘れて議論を始め出した。たまりかねて相棒が注意したりしていたが、本物の民衆というのはこういう自分勝手な姿をしているのだろうなと思った。斯く言う自分だって、この二人の老婆と大して変わってはいないのかもしれない。人が神様や仏様に対して敬虔な気持ちになれるのは一瞬のことであって、その気持ちを長時間持ち続けることは坊さんや神官にだってできるものではない、というのが自分の本心なのである。そして、それでいいのだと思っている。
富貴寺の後は両子寺へ。両子寺は国東半島の中心に位置しており、かなり険しい山の中にある。歩いたら相当に厳しいのではないか。今は道路が整備され、車での参詣も楽になっている。相棒の話では、このお寺には本堂などには大して魅力を感じるものはないとかで、見たいものといえば、山門につながる参道の入り口付近にある阿吽の石像くらいだとか。富貴寺の拝観料200円はリーズナブルだけど、このお寺は以前来た時もやたらに高飛車な札書きが建てられていて、そのくせ拝観料をとるというので、中に入る気がしなかったのを思い出した。今回も中へは入らず、石像などを撮って引き返すことにした。優しくない仏様の管理者に対しては、そのような抵抗が当たり前というのが似非仏教徒の普通の姿なのである。
両子寺山門前にある石造の仁王像。門から飛び出してここまで出てきて誰何しているかの感を覚えるほどの迫力がある。
さて、昼飯をどうするか。石段の上り下りが多くて、疲れもたまって来ており、少しゆっくり休みたいという気持ちもある。一先ずは道の駅:くにみまで行くことにして出発する。途中で道が工事のため通行止めとなっている箇所などもあって、予定よりも少し遅れて国見の道の駅に着く。この道の駅も人出で溢れていた。近くの公園の駐車場に車を留める。直ぐ傍は海であり、近くに姫島が望めるロケーションだった。レストランは混んでいるので、弁当のタコ飯などを買って昼食とするタコと車エビは姫島の名産品ではなかったか。タコ飯は結構美味かった。食事の後はしばらく休憩。休憩中に考えた結果、今日は杵築には行かずにどこかコインランドリーがあったら、そこで洗濯を済ませ、道の駅:くにさきに泊まろうかということになった。
コインランドリーはなかなか見つからず、国東の市街地近くで1軒見つかったので寄って見たら、どうも相棒の意に叶うような店ではなかったのでパス。国東の道の駅の近くまで行った所で、2軒目を見出す。ここはOKというので車を留める。その後の時間の過ごし方はいつも通りである。2時間ほど相棒の時間となり、こちとらは記録の整理などを終えて付近をウロウロしたりして終わるのを待つ。終わり近くになったので行ってみると、相棒は同じようにコインランドリーに来ていた主婦と思しき女性とすっかり仲良くなって、何やら旅の話などを吹聴していたらしい。また一人ブログを見て頂ける人が増えたなどと言っていた。後で聞くとその女性のお父さんは自分より1歳年上の方だとか。そのお父さんに比べると自分は若いなどと話していたとのこと。誰でも自分の父親よりも他人の父親の方が若く見えるものなのかも知れない。素直に喜ぶよりも疑いの方が先になるのは、老人の特性でもある。それにしても相棒の活躍ぶりにはあきれ返るばかりだ。コインランドリーではこの後も続きがあり、これは別口の話なのだけど、コインランドリーを使うのが今日初めてという高齢のご婦人がやって来て、どう使っていいのか迷っておあられたのだが、自分もどう使うか知らないため、教えることもできず、早く相棒が戻るのを願ったのだが、相棒は先ほどの女性を車に案内して、中を見て貰ったりしてなかなか戻らないのである。その内にご婦人は自分でコインを投入してスイッチを押したのだったが、それは乾燥専用の機器だったのである。中止のボタンを押してもお金は戻らないから、終わるまで待つのだと達観されていたようだった。その内に相棒が戻って来たけど、もはや後の祭りだった。それらがきっかけとなりそのご婦人と旅の話などとなり、しばらくあれこれ歓談していたら、今度はその方のご主人が入って来られて、さらなる大歓談となったのだった。ご主人はシイタケの栽培をされているとか。話によれば、原発事故の風評被害は、大分県にも及ぶ部分があるとか。そのシイタケ山に車を留めて、泊まっていったらどうかと勧められたりした。丁度今はシイタケの出ている時期であり、好きなだけ採って食べていいともおっしゃって頂いたけど、幾らなんでもと思い辞退したのだった。その後ご主人にも車の中をご覧いただいたりして、すっかり打ち解けた出会いとなったのだった。良い時間だった。
もう16時を過ぎていたので、近くにある道の駅:くにさきに行ってゆっくりすることにして出向いたのだったが、行ってみると泊まるにはちょっと無理なようなロケーションだった。駅舎の本体の前の駐車場は狭くて坂になっており、近くに第2駐車場はあるものの、こちらはだだっ広くて線引きもしていない空地の様な感じなのである。海にも近く、これじゃあ落ち着いて寝るのは無理と判断し、8年前に泊まったことのある山香町(今は杵築市)の里の駅:山香風の郷という所へ行くことに変更する。ついでに杵築の城下町とやらの状況も下見をしようという考え。
山香の里の駅までは思ったよりも遠くて時間がかかった。途中の杵築の城下町の様子は、なかなか魅力的で、明日はぜひ来てみようと思った。里の駅は大変な混み様で、我々の後にも続々と車がやって来て、広い駐車場を埋め尽くしていた。ここには温泉や宿もあり、連休の最後を思い出づくりに過ごす人や温泉を楽しむ人たちの来訪なのであろう。とにかく疲れてしまって、我々の方は早めに夕食を済ませ寝床に潜り込む。
【今日(5/6)の予定行程】
里の駅:山香風の郷 →(R10・K?)→ 杵築城下町散策 →(R10・K11・R210)→ 道の駅:ゆふいん →(R210)→ 道の駅:童話の里くす →(R210)→ 日田市内散策 →(未定)