山本馬骨の くるま旅くらしノオト

「くるま旅くらしという新しい旅のスタイルを」提唱します。その思いや出来事などを綴ってみることにしました。

‘12年 九州春旅レポート <第32日=5月1(火)>

2012-05-02 07:02:40 | くるま旅くらしの話

【行程】

道の駅:高千穂 →(R218・R265・R325他)→ 白川名水(明神池) →(R325・K111)→ 草千里ヶ浜 →(K111・R57)→ 阿蘇神社 →(R57)→ 道の駅:阿蘇(泊) <90km>

【レポート】

 昨日の荒天も夕方には雨が止み、風も夜遅くなって収まったようで、思ったよりも静かな夜を送ることができて良かった。朝になって、空に雲は多かったけど、雨が降り出す心配はない様だったので、午前中の高千穂峡の散策は大丈夫だろうと思った。やれやれである。昨日来た時は大変な混み様だったが、さすがに夜となると泊りの車は少なく、また高千穂峡の見物を車で近くまで行ってみようという人たちは早々に出発していった。9時ごろは数台の車があるだけで、隣に石川県から来られたというトラベルトレーラーの人がおり、その方としばらく話をした。まだ現役で9日間の休暇を会社に無理を言って取って来たとかで、帰って来てもお前さんの席はないよなどと脅されながら来たのだと冗談めいた話をされていた。旅がお好きなようで、現役をリタイアされたらぜひ北海道へ行かれたらいいですよとお勧めした。トラベルトレーラーは居住性が良いのだけど、牽引が面倒で又船賃など費用もかかるので、なかなか北海道までは行けないのだと話されていた。今日は高千穂峡を見てから、九重の方のキャンプ場に向かうと話されていた。旅の間にいろいろな方と話ができるのは嬉しいことである。

 さて、我々の方は、もう少しここに車を置かせて貰って、午前中に歩いて高千穂峡や高千穂神社を見物することにしている。今回はこの2か所だけでここからおさらばする考えでいる。8年前に来た時には高千穂には3泊している。最初の日は始まったばかりの夜神楽を見るためにどこだったかの集落の集会所近くに車を留めて、朝方まで夜神楽を見たのだった。11月の後半だったので、真夜中の神楽の鑑賞は大変に寒かったのを思い出す。とてもいい経験だった。翌日は温泉に泊まり、もう一日は道の駅という風に、かなり入れ込んでこの町のあれこれを訪ねており、今回は夜神楽の季節でもないので、新緑の高千穂峡を見るだけで十分だと思っている。

 9時過ぎ歩きに出発。高千穂神社は道の駅からは直ぐだけど、ここには帰りに参拝することにして、先ずは高千穂峡に向かう。およそ700mほどの距離なのだけど、急な曲がりくねった車道を行ったので、倍以上の距離があったように感じた。高千穂峡は独特の景観をしている。北海道の層雲峡に似た柱状節理の石壁の中を蒼く淀んだ渓流の水が動いたり、動かなかったりと一見して心奪われる景観である。狭い石壁の上から滝のように水が迸っている場所が幾つかあり、それがこの渓谷を一層神秘的なものとしているようだ、いろいろと名付けられた名所があり、説明板が置かれていたが、覚えるのが大変なので、カメラに収めただけでパスする。連休とあってか、観光バスの客も多く、マイカーを含めて峡谷の入り口に近い駐車場は大混雑の様だった。歩きで来ているので、我々には何の心配もない話である。1時間ほど写真を撮りながら新緑の渓谷美を堪能したのだった。

     

高千穂峡の神秘的な景観。何時見てもこの大自然が作り出した景観には古悪露を打たれるものがある。神話もこのような景色の中から生まれたのかもしれない。

 帰りには高千穂神社に参詣し旅の安全を祈った。大汗を掻いて車に戻り、100%の着替えを済ます。それほど暑くもないのだけど、坂道ばかりの歩きは汗を引き出して全身が汗まみれになった感じだった。すっきりした後で、今日の最初の目的地を阿蘇の白川水源での水汲みと決めてSUN号を発進させる。だんだんと山の緑がおとなしくなり出して、空気が寒くなっているのは、坂道を上り続けて植生のより厳しい山岳帯に入っているからなのであろう。高千穂ではもう桜を見ることはなかったのだけど、蘇陽峡辺りにはまだ八重桜が咲き残っていた。熊本県に入り、阿蘇の高森峠を下りて南阿蘇町の白川水源へ。8年前にこの辺で湧水を汲んだのだったが、それがどの場所か判らない。記憶が曖昧なのである。行けば何とか思い出すだろうとタカをくくって行ったのだったが、どうもそれは甘かったようである。白川水源と名のつく場所は、車が混んでいて、水を汲めるような状態ではなかった。どこへ行けばいいのか何の案内資料も持ち合わせておらず困ったが、こんな時にはとにかくうろうろするに限ると、その近郊をしばらく走っていたら、明神池という湧水があるのを発見。そこは公園になっており、駐車場も用意されていた。車を降りて行ってみると、きれいな水の湧く小さな池があり、そこで水を汲めるように漏斗や柄杓などが置かれていた。実にきれいな美味そうな水である。嬉しくなって、早速汲むことにした。10Lのポリタンに柄杓で水を入れるのだが、このような古風な汲み方は初めてのことだった。来た時は自分たちだけだったのに、汲み始めたら続々と人がやって来て、用具が不足し、2度目からはずいぶんと待たされて、汲み終えたときにはとうとう最後となってしまった。この地にも我優先で一族で水汲みを独占する人がいる。熊襲の子孫なんじゃろと思うことにして、その汲みっぷりを観察した。実に下手な汲み方をしていて、大量の水をこぼしていた。水が可哀想だなと思ったりした。

 無事水汲みが終わって、昼食は草千里ヶ浜ですることにして出発する。ここからは20分ほどの距離である。一気に急な坂道に取り掛かり、しばらく走ると阿蘇の雄大な景観が左右に広がってきた。左方は遥か彼方に町の家々や田畑が広がる景観であり、ずっと向こうには海も見えていた。どの辺になるのだろうか。右手には何という名前なのか知らないけど、樹木の無いまだ緑には至っていない枯れたススキなどを生やした岩山が切り立って聳えて見えた。時々スピードを落として相棒が写真を撮るのに協力した。間もなく草千里の駐車場に到着。寒い。ここはまだ春が到来しきっていない。今日は少し霧雨が降っており、風も強く阿蘇の御山は顔を出していない。噴煙なのか雲なのか判らないものが草千里ヶ浜の少し上方に立ち込め、そこから上は雲の世界なのだが、幸いなことに草千里ヶ浜のいつもの景観は見渡すことができたので良かった。乗馬を楽しむ家族や、広い草原の中を思い思いに散策する人たちが見えた。我々の方は、高千穂峡でもう限界を超えてしまっている老人なので、今日はそれらの景観をただ味わって見るだけである。その景色を肴に昼食を摂る。ここには何度も来ており、無理して歩き回らなくても空気を味わうだけでいいのである。1時間ほど休憩して、阿蘇神社に向かう。

    

草千里ヶ浜の景観。ここと近くにある米塚は阿蘇の代表的な景観の一つだと思う。ここに来るといつも三好達治の詩を思い出す。あの詩にうたわれている感動と同じものが今でもここに存在している。

 一度登った坂を直ぐに下りるのはもったいない気がしたけど、これはもうしょうがない。少し入りると牧場があって、黒い牛や茶色の牛たちが生えてきたばかりの草を食んでいた。広大なスケールの牧場を見ていると、北海道のナイタイ高原などを思い起こしたりした。阿蘇の景観も実に大きいいなと改めて思った。20分ほどで坂を下りてJR阿蘇駅前の交差点へ到着。そのすぐそばに道の駅:阿蘇ができていた。新しい道の駅の様である。今日はここに泊まらせてもらおうと思っているのだが、一先ずパスして、少し先にある阿蘇神社に参拝することにして向かう。先ほどから再び雨が降り出している。今のところ大した降りでもなさそうだけど、この程度のままであってほしい。間もなく阿蘇神社に到着。ここに参拝するのは初めてのことだ。普段ならわざわざ参拝になど来ないのだと思うが、先日人吉の蒼井阿蘇神社に参詣した時、それが国宝だったことに驚いたのだったが、蒼井阿蘇神社が阿蘇神社を分け祀ったものだったので、その本社がどんなものなのか見たかったのである。来てみるとさすがに本社だけあって、参拝の人たちも絶えない様で、駐車するにも少し手間取るほどの混み様だった。神殿も相当に立派だった。特に楼門は雄大で、貫録があった。三神が祀られており、それぞれに立派な拝殿と本殿が造られており、古くからのこの大阿蘇の大地の守り神として人々に崇め奉られていたのが解る。そんな雰囲気だった。我々も作法に則って拝礼を済ます。その後は写真を撮ったりして車に戻り、道の駅に向かう。

     

阿蘇神社の大楼門。江戸時代末期の建立だとか。阿蘇神社のシンボルとして君臨している感じがした。この奥にある神殿も立派なものだった。火の国の人々の熱い信仰心をそこに見た感じがいた。

 道の駅到着15時35分。まだはやすぐるほどの到着だったが、今日は歩き疲れているので、体を休めるのには好都合のタイミングだった。JR阿蘇駅に隣接して造られているけど、その繁盛ぶりは阿蘇駅よりもはるかに盛大のようで、かなり広いと思われる駐車場には車が溢れんばかりに留っていた。物産館の売店も大賑わいがった。もはや完全に車社会となってしまっているのを実感する。片隅に車を留めて、先ずは駅の様子を歩き回って確認する。JRの駅の方にも行ってみた。1時間に1本歩かないかの運行回数だった。駅はきれいに整備されていたが、人はまばらだった。車に戻って近くに温泉があるので入りに行く。相棒は疲れ過ぎてしまうと風呂に入るのが却って体調を悪くするのだとかで、行かないというので、単独行である。浴場に入る直前になってタオルを忘れてきたのに気付き、取りに行くのも面倒なので200円也を払って済ます。結局入浴料は600円となってしまった。自分も又疲れすぎて頭がボケだしているのかなと思った。200円は個人負担である。こんなこともある。

 その後はいつものように明るい内にあれこれ旅の記録などの整理をし、夜を迎える。相棒はずっと寝床の中で疲れを取り除くための寝息を立てていた。夕方から雨は本降りとなり、雨音は終夜車の天井を叩いていた。

【今日(5/2)の予定行程】 

道の駅:阿蘇 →(R57・K11・R442)→ 夫婦滝 →(R442・K30)→ 道の駅:長湯温泉(泊)  

コメント
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