山本馬骨の くるま旅くらしノオト

「くるま旅くらしという新しい旅のスタイルを」提唱します。その思いや出来事などを綴ってみることにしました。

‘12年 九州春旅レポート <第33日=5月2(水)>

2012-05-03 04:12:43 | くるま旅くらしの話

 【行程】

道の駅:阿蘇 →(R57)→道の駅:波野 →(R57・K11・R422)→ 夫婦滝 →(R442)→ 瀬の本高原ドライブイン →(R422・K30)→ 道の駅:長湯温泉(泊) <103km>

 

【レポート】

 昨夜は朝方まで雨音が天井を叩き続けていて、相当の大雨だった。阿蘇のこの辺りでは普通の雨降りなのかも知れないけど、旅の者にとっては嬉しくない一夜だった。朝方になって音はしなくなったが、細かい霧雨が降り続いていて、今日も又観光地巡りには残念な天気となりそうである。阿蘇の道の駅は50台近くの泊りの車があったようで、早朝から何となく騒々しいムードだった。

 今日の予定は、メインは夫婦滝の訪問である。夫婦滝というのは日本では珍しい場所で、二つの別々の川を流れてきた水が、同じ場所で滝を作ってその水が合流して一本の川となって流れている場所なのである。この場所が夫婦滝と名付けられていて、その滝守のごとくに近くでお土産などの店を出されているSさんご夫妻が、我々の大切な旅の知人なのだ。Sさんご夫妻には、8年前にお会いしたきりだったので、今回はどうしてもお邪魔してその後のお互いの出来事などを話し合いたと思っている。朝一番でメールをしたら、両手を広げて待っているよ、との嬉しい返信が届いている。夫婦滝訪問の後は、大分県に入って直入町(現竹田市)にある道の駅:長湯温泉に行き、ちょっぴり静養をしようかと考えている。

 先ずは夫婦滝に向かう前に、阿蘇の道の駅はどうも落ち着かないので、一番近い所にある道の駅の波野という所へ行って、トイレなどを済まそうと考え出発する。10kmほどの距離だけど、結果的には外輪山の一部を上ることになり、峠を一つ越えたのだった。無事に用を済ませ、来た道を戻ってやまなみハイウエイと呼ばれる県道11号線に向かう。途中峠の麓辺りに湧水があるのを見つけ、汲むことにした。この辺りにはたくさんの湧水があり、真に嬉しい限りである。明日は竹田に行って湧水を汲もうと考えているので、今日使う分だけを補給することにした。

 やまなみハイウエイを走るのも久しぶりのことだ。現役時代に瀬の本高原のホテルで社外の研修を受講したことがあり、その時は1週間ほどの滞在だったが、懐かしい思い出がある。その後も何度かこの道を通っているけど、何度来てもその広大な景観には心を洗われるものがある。北海道の広がりとはまた違った、阿蘇らしいスケールの大きさを感ずることができるのである。夫婦滝は瀬の本高原から国道422へ左折して入り、露天風呂めぐりで有名となった黒川温泉を通過して2kmほど行った右側にある。黒川温泉は通過するだけでまだ一度も入ったことが無い。旅車での訪問である限りは、駐車場などにも恵まれていないここには、なかなか露天風呂めぐりを体験するチャンスはないように思う。観光バスのお客さんたちにお任せするしかない。

 間もなく夫婦滝に到着。ご主人が手を挙げて迎えてくださった。いやあ、懐かしくも嬉しい再会だった。8年ぶりなのだが、思ったよりもお若く活動的な様子で、手を握りあってそれが判る、奥さんも8年前とちっとも変っていなかったのだが、2か月前にワン公との散歩の際に足並みが揃わなくて転んでしまい、運悪く骨折をされたとのこと。もうほとんど治りかけているとのことだったが、まあ大ごとにならなくてよかった。8年ぶりにお邪魔して驚いたのは、店の大いなる変化である。ここでは8年前の時にも、夫婦滝に願をかける絵馬というのがあり、若いカップルなどに人気があったのだけど、今はその後の来訪者の数が増えて店の軒先一面にその絵馬が掛けられていた。絵馬を掲げて念願を叶った人たちが再びここを訪れ、お礼の念を込めて奉納した絵馬を以前のものに重ね、更にお子さんの誕生にもう一枚重ねるという風に、ここへ嬉しいリピーターがたくさん訪れるのだという話を伺い、見事に滝守の役を果たされているなと感動した。昨年の東北大震災と大津波では、改めて人と人との絆の大切さが確認されたのだったけど、Sさんご夫妻の様な絆の結び方もあるのだなと改めて感じ入ったのだった。8年前にはほんの少ししかなかった絵馬の数が、こんなにも軒を埋めるほどに増えており、素晴らしいことだと思った。

     

Sさんご夫妻が経営する夫婦滝のお土産屋さん。ひなびた感じの造りの家である。

  

左はお店の軒下にびっしりと連なり下がった絵馬の数々。右はその一つで、ハート形の何種類かのタイプの絵馬に名前や思いなどを記入するようになっている。

 暫く歓談の後、夫婦滝の清新なマイナスイオンを吸うために出向く。Sさんのお店からは階段を伝って50mほどの所に夫婦滝がある。左の方には田の原川を流れ下った15mほどの高さの男滝が鮮緑木立に囲まれた中に白い飛沫を挙げて流れ落ち、右側には小田川を流れ来た水が12mほどの高さから音を響かせて滝をつくっていた。女滝である。この二つの流れが同じ場所で滝をつくり、その後は一つの流れとなって川をつくってゆくというのは、考えれば不思議なことであり、まさに夫婦という人間関係も同じようなものと言って間違いないように思う。この場所はある種のパワーポイントなのかも知れない。普通に層倍するマイナスイオンの溢れるこの場所は、もっと多くの人が訪れるに相応しい場所なのではないかと思った。

   

夫婦滝の景観。左が男滝。右が女滝。それほど大きい滝ではないけど、阿蘇の大自然が作り出した不思議な場所であり、清新な空気が溢れた空間である。

 もはや滝守のSさんご夫妻は、旅に出かけるなど至難のこととなったようで、その点はちょっぴりお気の毒だなと思ったけど、それ以上に夫婦滝を通して多くの男女のご縁を取り持つという価値ある仕事があるのだから、これはもう諦めるしかないのではないかと思った。1時間ほどあれこれと歓談の後、ますますのご発展を祈りながら、名残を惜しみつつ夫婦滝のSさんご夫妻とお別れする。

 長湯温泉に行く前に、瀬の本高原の十字路にあるドライブインに寄り、昼食休憩。このところ高菜を入れて炒めた高菜めしというのが妙に美味くて、今日もそれを作って貰って食す。熊本地方の高菜の漬物はピリ辛が効いていて、これを使ってチャーハン風にご飯を炒めると、これが美味いのである。昨日に続いて2回目の昼食のメニューだったが、明日もそうして欲しいという感じだった。もう材料がなくなったと、相棒はその後ドライブインの販売所に出かけて行った。駐車場の車の後ろの方に薄紫の小さな花が群生しているのを見つけ、まさかフデリンドウなどではないよな、と思いつつ行ってみたら、やっぱりフデリンドウだったので驚いた、こんなに群生して芝の中にあるなんて、なにかの間違いなのではないか。高原地帯なので、これが普通なのかも知れないけど、こんなにたくさんのフデリンドウを見ることができて感無量だった。

 しばらく休んだ後、長湯温泉に向け出発する。8年前にも長湯温泉に寄り、ラムネ温泉というのに入ったことがある。湯温が低く、冷水浴の様な感じだったが、体中に気泡が一杯着いて、何だか不思議な気分になったのだった。ここの温泉は世界でも3本の指に数えられるほど炭酸が多く含まれているのだとか。まさにラムネという名が相応しいなと思ったのだった。あれから8年がたって、道の駅など無かったのに、新しく設けられたのは真にありがたく嬉しいことである。今日はその道の駅にご厄介になり、世界有数の炭酸泉の温泉に入って旅の疲れを一掃するつもりでいる。

 国道422から長湯温泉への案内板は、思っていた道路標示情報がないのに大きく出されているのを見て、うっかり左折してしまい、そのまま行っても何とかなるだろうと思って10kmほど行ったのだが、案内板通りに行くととんでもない細道となってしまったので危険を感じ、来た道を戻る羽目となってしまった。往復20km近いロスには、己の迂闊さよりもこんな表示を出す奴に対する怒りの方がより大きいのは、いつものことである。その後は正常に道を辿って道の駅:長湯温泉へ。正面入り口の向こう側が駐車場となっているようだったが、その正面にはSUN号では潜れない通せんぼの門があって、ちょっと戸惑った。左方に大きく迂回して無事駐車場に車を留める。相変わらず小雨が降り続いていた。

 この道の駅は少し変わっていて、どこが拠点なのかがわかりにくい。目前に温泉市場なる売店があったので、そこへ入ってみたけど只の売店で、案内所もなにもない。下の方に温泉館の様なものがあるので、そこへ行って訊いてみたら、この道の駅は分散して認定を受けたとかで、観光案内所やトイレなどは別の所にあったのだった。温泉街というのはどこも狭くて、このような工夫をしないと新しいし施設を作るのは難しのだろうと思った。暫く一休みの後、自分は温泉館ではなく地元の方たちが入る町営の浴場の方へ行くことにした。相棒は温泉館の御前の湯というのに出向く。町営浴場は幾つかある様だが、その内の天満湯というのに行くことにした。

 小雨の中を5分ほど歩くと、川の向こう側に浴場はあった。料金は100円也である。回転格子の様なのを回して100円玉を入れるとドアが開くようになっている仕掛けの、面白い入り方だった。中に入ると脱衣所があり、ドアの向こうは浴場となっていて、浴槽は大人6人が膝を折って入れるほどのものが一つだけ、そしてカランはお湯は出ず、水だけが出るものが2か所あるだけである。源泉かけ流しの湯が樋を通って流れ入り、溢れたお湯は浴槽の外に流れ去っているという、まさに温泉の原型がそこにあった。考えようによっては設備不良ということになるのかもしれないけど、自分にとっては、これこそが入りたい湯なのである。ラムネ湯の様な低温ではなかったけど、泡がつかなくてもお湯の中には炭酸が含まれているのを何となく感ずるような気がした。先客のご老人がお二人おられたけど、考えてみれば自分も老人なのである。このような風呂には、もはや老人しか入らない世となってしまったのかも知れない。やがてお二人とも出て行かれて一人となった。そのあと10分ほど入浴を繰り返し、十二分に満足しながら車に戻る。相棒は30分近く遅れて戻ってきた。こちらも大いに満足だったようである。明日の朝は6時から入れるというのを確認しており、ぜひもう一度温泉らしい温泉を味わってゆきたいと思いながら夜を迎える。

     

長湯温泉町営浴場、天満湯。素朴な浴場だけど源泉かけ流しの本物の温泉である。

【今日(5/3)の予定行程】 

道の駅:長湯温泉 →(K30・R422)→ 竹田市郊外湧水群 →(未定)

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