梅雨の合間の雨なしの予報を信じて、2泊3日の近場への旅をして来ました。なにしろ、このところ何処へも出かけることなく、毎日早朝10kmほどの歩きで汗をかいて、溜まっているストレスをシャワーで一緒に流すという暮らしぶりでした。体調の方はOKでも、心の方は満たされない日々を打破するには、とにかく外泊の環境へ飛び出す必要があったのです。
ということで、今回は二つの目的場所を決めました。一つは埼玉県行田市にある「古代蓮の里」を訪ねること。もう一つは信州湯の丸高原のレンゲツツジを見に行くことです。今回は先ずは古代蓮の里の探訪報告です。
埼玉県行田市は、埼玉という県名の発祥の地です。ここを訪れるのは、昨年の田んぼアートの作品を見に行った時以来二度目です。その時は園内にある古代蓮会館の展望台から、ギネスに登録された田んぼアートの稲で描いた「ドラゴンクエスト」の巨大な絵を鑑賞したのですが、園内の幾つもある蓮池の中にほんのわずかに咲き残っていた蓮の花をみて、ああ、この池の蓮たちがいっせいに花を咲かせているのを是非見てみたい、来年はきっと開花時に来よう。そう思ったのでした。
行田市の古代蓮というのは、この公園の近くで公共施設建設工事が行われた際に偶然出土した1400年~3000年前の原始的な形態を持つ蓮の実が、自然発芽して甦り池に開花しているのが発見されたとのことです。地中深く何千年も眠っていた多くの蓮の実が出土して一斉に発芽し、開花したというのは極めて珍しいことである。‥‥というようなことが案内パンフレットに書かれていました。行田市ではこの蓮を「行田蓮」と名付け、この古代蓮の里で市のシンボルとして育てているということです。
古代蓮といえば、思い出すのは自分が未だ小学5~6年生だった頃、2千年以上の眠りから醒めた蓮の花が咲いたというニュースを新聞で知って、「大賀ハス」と名付けられたその蓮を凄いなあと、子ども心に強く印象付けられたのを思い出します。いつかそれを見てみようと思っていたのですが、偶々30年ほど前千葉市の検見川という所に住むことになり、近くにあった東大のグランド内にある池を訪ねて何度もその美麗な花の姿を観ることができ、夢は叶ったのです。
現在住んでいる守谷市にも古代蓮の管理をしている場所があり、今年もその小さな池を訪ねましたが、花は僅かで葉に勢いが無く、どうしたのだろうと少し心配になって帰って来たのですが、守谷市の古代蓮がどういういきさつでそうなっているのかは知らされておらず、ただ蓮の花を見に行っているだけなのです。
自分としては、古代蓮というのは大賀ハスのことだけを言うのだと思っていたのですが、行田蓮のことを知ってからは、もしかしたら大賀博士のその後は、全国の幾つかの場所で別の古代蓮の開花が実現しているのかもしれません。守谷市の場合はどうなのか、一度市の当局に訊いて見たいと思います。
さて、前置きが長くなりましたが、行田蓮の姿は、「講釈は一見に如かず」であり、写真で見た方が早いと思います。古代蓮の里には行田蓮以外にも世界各国の蓮が植えられています。どれがどこのものなのかは説明板を見てもとても頭に入り切れず、皆それぞれが美しいので、もうそんなことはどうでも良いと思って、印象に残ったものを幾つか掲載します。
「行田蓮」の開花の様子。この公園にはこのような蓮池が幾つもあり、今がちょうど開花の最盛期のようだ。この日は快晴で、11時を過ぎていたので、開いた花も閉じてしまったものが多いようで、時間的には早朝の方が見ごろ時のようだ。
これは行田蓮ではなく、別の他国の蓮のようだが、名は分からない。蓮らしい温かさと気品のある花である。
咲きかけているのかそれとも閉じようとしているのか、膨らみかけた花はまた格別の味わいがある。
標準的な蓮の花。花の向こうにはお釈迦さまが鎮座されているような錯覚に襲われる。
乱れ花という感じか。花には始まりと終わりがあるということを教えてくれる姿である。
純白の蓮の花もあった。ハッと息をのむ美しさがある。
純白の花の素は淡い薄緑のつぼみだった。35度近い猛暑日でも、そこには涼しい風が吹いている感じがした。
別の種類の純白の花。蓮にしては少しにぎやかさを感じる花だった。
白い花も中身はこのようなものだったのかと、なぜか少し安堵感を覚えさせてくれる雰囲気がある。
百合根のような花を咲かせている蓮もあった。お釈迦さまもびっくりされるのではないか。
花の内部を覗きこむのは失礼千万なのかもしれない。でも、そっと覗いてみたくなるような花の咲き具合だった。
これだけは案内の解説を見なくても判る、オオオニ蓮の花。池の全面を覆う葉の上に、ちょこんと眠り損ねた花が顔をのぞかせていた。
この日は梅雨の合間の猛暑に襲われて、全身びっしょり汗をかいて、折角の蓮の花鑑賞も1時間ほどでギブアップとなりました。この花の鑑賞は曇りか小雨の天気の日に、可能な限り朝早く出掛けて行って観るのがベストだなと、改めて思いました。
暑中お見舞い申し上げます 馬骨拝
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