山本馬骨の くるま旅くらしノオト

「くるま旅くらしという新しい旅のスタイルを」提唱します。その思いや出来事などを綴ってみることにしました。

ジジババ二人くるま旅漫遊紀行(2003年 西の方へ行くの卷)第1日(その2)

2011-11-21 05:09:25 | くるま旅くらしの話

 

 

第1日 自宅から長野県は信州蔦木宿まで(続き)

 

八王子を過ぎて、中央道は山の中に入って間もなく談合坂SA。ここで小休止です。談合坂というのはどういういわれの地名なのかといつも気になっていましてね、だけど調べるのを直ぐに忘れてしまい、長いこと思っていたのは、その昔名のある武将同士か何かがここで重要な話し合いでもしたのかなと思ったりしていました。ようやく気づいて調べてみたら、地名研究の専門家によりますと、談合というのは、元々は「段処」ということばから来ているのだと書いてありました。つまり段のある所という意味だそうで、まあ、勾配の急な坂や山といった意味なのでありましょう。なるほどと思いました。ついでに団子坂というのについても書いてありましたが、これも元々は同じような意味だったとのこと。この地名という奴はおもしろいものですなあ。あ、いや、談合坂のいわれなどをいうつもりではなく、元の話は、ここでちょっと休んで昼食にかけソバを一杯食べたということだけなのです。腹一杯ではなく、一番美味い汁も吸わずに、軽くソバだけを一杯食べたという哀れな話なのです。何しろ糖尿病なので、カロリー制限には厳しく対処しなければならず、そのくせにどうしても晩酌を欠かすわけにはゆかないものですから、本当は昼飯なんぞは抜くくらいの覚悟が必要なんです。だけど、腹が減っては車の運転という戦は出来ないので、かけソバ一杯を、汁を残して食べたというみじめな話を強調したかったのです。食べ物の恨みは大きく、これはもうやけくそな気分なのです。おそまつさま。

その後の高速道は順調な流れで、笹子トンネルを抜けて甲府盆地に入り、少し行って予定通り甲府昭和ICで降りてR20の甲州街道へ入りました。私どもの旅は、やむを得ぬ場合を除いては、高速道は使わないことにしています。それはお金の問題よりも、楽しみの問題なのです。私の経験的人生訓として、世の中というものはスピードを上げれば上げるほど真実が見えにくくなるという考え方があります。走っている時よりは歩いている時、歩いている時よりは止まっている時の方がそこにあるものの本当の姿が良く見えるのです。高速道よりは一般道の方がより以上のいろいろなものとの出会いが期待できるというものです。今回はそんなに急いで四国まで行かなくてもいいので、途中一般道を行けばそれなりに面白いものを見たり聞いたりできるというものです。ここまで高速で来たのは、今夜の泊りのタイミングを考えてなのだと申し上げておきましょう。もしずっと一般道で来たのなら、蔦木宿まで届くかどうか判らず、あまり遅くなっては温泉や夕食の余裕がなくなってしまうからです。

R20は甲州街道と呼ばれている道ですが、もう既に甲府は通り越してきてしまっていますので、江戸を中心にものを考えると、何だかこの道をそう呼ぶのは変なような気がします。甲府へ行くのではなくどんどん木曽の方に向かっているわけで、甲州街道の頭に反とか逆とかいうことばを付けないといけないんじゃないかなどと思ったりしています。もっとも名古屋からの旅でも甲府に向かうのだからやっぱり甲州街道でいいのか、などとどうでもいいようなことを気にしながらの旅路となりました。要するに今の世では甲州街道などではなく、これは国道20号線なんだ、とそう気づいて納得。我ながら理屈に世話の焼ける奴です。

韮崎を過ぎて釜無川上流に僅かに広がる甲府盆地の端の方に白州町があります。ここに道の駅「はくしゅう」があります。ここまでくれば今夜の宿を予定している蔦木宿はもうすぐです。予定よりも少し早く着きそうなので、ここで少しゆっくりすることにしました。白州町には尾白川という清流がありますがその他にも日本アルプス(=南アルプス)からの伏流水が湧くなど、ここは名水の里となっています。それら名水を用いたサントリーの白州工場もあります。この道の駅にも水汲み場がつくられており、私どもも来る度にその名水を頂いているのですが、今日は飲料水として奥多摩の三頭名水をポリタンに入れて持参しているので、ここの水は飲料ではなく洗い物用として水槽に40Lほど入れることにしました。贅沢な水の使い方です。旅の時には水が無くて困ることもあるのですが、このように贅沢三昧の水の使い方の時もあるのです。タダなのにものすごくリッチな気分になれるのは元々貧乏性だからなのでしょう。SUN号の水槽は、満タンにすれば80Lくらいは入るのですが、なるべく負担を掛けないようにしてやりたいので、思いっきり我慢して給水は半分くらいで止めておきました。

私は水には大へん関心があって、今は在宅の時には、月に一度奥多摩の三頭山麓まで出かけて行き、毎回100Lくらいの水を汲んで来て使っています。三頭名水は結構人気があって汲む人が多いため、一日がかりの仕事となっています。白州町の様な所に住んでいたら、いつでも美味い水を飲めて良いのになあと羨ましく思いますね。人間の体の大半は水で出来ており、水の良し悪しは健康に直結していると信じて疑いません。旅先で新たな名水に出会うのも楽しみの一つとなっています。

白州の道の駅からは天気が良ければ甲斐駒ケ岳が望めるのですが、今日はダメだったですね。残念です。若い頃には山に憧れ、特に南アルプスが好きで甲斐駒には何度か登っています。一番の思い出は、あのコブの上で昼寝をしていて寝過ごし、目覚めたら下から雷が追いかけて来てあわてて逃げ惑ったということです。今はもう山へ行くのは半ばあきらめています。この季節、天気が良ければ今頃はもう頂きに初雪を載せているかも知れません。

白州の道の駅を出て15分ほど走ると、今日の宿の道の駅「信州蔦木宿(つたぎしゅく)」に着きました。白州町は山梨県ですが、蔦木宿のある富士見町は長野県です。そんなことから、この道の駅の呼び名には、敢えて信州などと断りを入れているのかもしれません。旅人から見れば、県などどうでもいいことだと思えるのですが、そこに住んでいる人たちは結構境界線などにこだわるようです。旅人には、渡り鳥と同じような感覚があるように思います。全国を旅して回るようになってから、次第にそう思うようになりました。この世には本来境界線など何もないのだということです。でもまあ、鳥たちよりは少しエリアを意識してはいますけど。

予定よりはかなり早く道の駅信州蔦木の宿に到着しました。これならば、も少

し足を伸ばして、諏訪あたりで温泉に浸り、近くの広場などに泊るのも良いかななどとも思いましたが、それほど急ぐニーズがあるわけでもないので、やっぱりここに泊まることにしました。まだ16時になったばかりです。道の駅にある温泉に入るには少し時間が早すぎるので、先ずはその前に泊る準備をすることにしてTVの設定などに取り掛かりました。

今回の旅では、BS放送を受信してみようと、アンテナを用意してきました。勿論TVの受像機の方はBSもOKの奴です。アンテナをつないで、磁石を取り出して北西の方角に合わせてと、いろいろやってみましたが、どうやっても結局何も映りません。ここは四方が山に囲まれていて、付近の人家を見てもBSアンテナはおろかその他のTVアンテナらしきものはなにも見当たりません。とにかくこれじゃあお手上げです。環境条件が悪すぎることにして諦めることにしました。もう一つ用意してきたUHF用のアンテナを試す気も起こらず、その後は雑音まみれのラジオを聞く羽目となりました。家内は、「‥‥、やっぱり無理なのよね、」という顔で見ていました。自慢じゃないけど、このジサマは電気オンチ、機械オンチ、工作オンチなのです。              

次にパソコン用のカバンをチエックしましたら、旅の記録用にと用意していたはずのフロッピーデスクが入っておりませんでした。これはまあ、どうでもいい話なのですが、もっと困った忘れ物があったのです。今回の旅のことも考えて、事前に世界遺産を紹介するDVD10巻を通販で購入したのですが、何とそれを忘れて来てしまっていました。DVDプレイヤーの中に1巻だけが入っていました。でもそれは既に鑑賞済みなのです。後の9巻は旅の中で楽しもうとわざわざ見ないで残しておいたのに、これじゃあどうしようもありません。TVのダメな今夜などは絶好のチャンスだったのにと、これは家内ならずとも私自身もそう思いました。今回の旅では、これから先のTVが映らない場所では、ずっと雑音入りのラジオを聴くことになってしまいます。いやはや、真に以てイヤンなっちゃいますなあ。この忘れ物は全て私の責任であり、家内のせいではありません。こんな調子だと10年先はどうなっちゃうのでしょうか。あぶないぞ、要注意だど。

なんとなく出端を挫かれた気分で、もぞもぞしている内に18時近くになったので、温泉に行くことにしました。蔦の湯という道の駅の温泉は、手入れの行き届いたきれいな湯船と小さいながらも露天風呂もあって、くるま旅の人やトラックのドライバーの人たちに人気があります。私どもも気に入っており、今までも何度か利用させて貰っています。家内が切符を買おうとしたら、受付の人が何か言っているのでどうしたのかと行って見ると、18時を過ぎると料金が100円安くなって、400円になるのだそうな。あと2分くらいの待ち時間です。これを待たないという手は無いでしょう。二人で200円も得をして、先程の忘れもののチョンボがもたらした暗雲が少し晴れて行く気がしました。前回に入った時の露天風呂は、澄んだ夜空に星が煌めいていましたが、今日は雨降りで只々真っ暗。3本ある打瀬湯のお湯の落ちる音だけが、響いていました。露天風呂には誰もいなくて、暫らくの間、独り占めして楽しむことが出来ラッキーでした。

1時間ほど温泉を楽しみSUN号に戻ると、家内は既に戻っていて、夕食(といっても、酒の肴程度ですが)の準備をしていました。今夜はセロリやキャベツなど野菜中心で、メインは冷ややっこというのですから、普通の家庭では想像もつかないメニューかと思います。私はカロリーのコントロールをしなければならない身なので、ハイカロリーのものは避けるように努力していますが、家内はその心配は無いのでチーズなどを食べながらビールを楽しんでいました。私の方は、白州の道の駅で手に入れた地酒「七賢」をほんの少しだけ味わいました。2合ほどです。                                     

今日は高速道や一般道を150km近く走り、久しぶりの長距離運転でしたので少し疲れました。こんな時は寝るのが一番です。さっそく2階の寝床に入ってうつらうつらいい気分になっていると、調べ物でもしているのか、家内がガサゴソと何やらそこいら辺をいじり回している音がして、耳触りで寝つけません。こんな時に声を出して文句を言ったりすると、目が覚めてしまいそうなので、しばらく我慢していたのですが、とうとう堪忍袋の緒が切れてしまい、

「何を、ガサゴソやっているんじゃ、止めてくれんか」と言ってしまいました。家内はブツクサ言いながら止めたようで、間もなく静かになったのですが、やっぱり声を出したのが効いてしまい、その後はなかなか眠れなくなってしまいました。

 このようなトラブルは二人暮らしのくるま旅の中では頻発しています。旅車SUN号のリビングに該当するスペースは、3m×2m×2mほどですから12立米くらいしかありません。この密閉に近い空間の中では、紙切れ一枚を動かしてもその音は眠りに就こうとする者にとっては実に気になる響きとなるのです。ま、この加害者と被害者の関係は、どちらかといえば寝入る前は私が被害者、朝方は家内が被害者となることが多いのが、我らの旅の特徴といえるのかもしれません。

 寝つけずにいらいらしていると、後から寝床に入った家内の方はたちまち熟睡レベルに到達したらしく、寝息以上の音を立てながら寝入ってしまいました。なんだい、これは。益々こちとらは眠りから遠ざかるという羽目になりました。翌朝になって聞くと、今日通ることにしている木曽路に幾つかある宿場町についての予備知識を仕入れようと資料をいじっていたとのこと。どうせ寝そびれるのなら、文句を言うべきではなかったのかも。ちょっぴり反省です。

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