山本馬骨の くるま旅くらしノオト

「くるま旅くらしという新しい旅のスタイルを」提唱します。その思いや出来事などを綴ってみることにしました。

2010年西日本への旅 でこぼこ日記:第11日~13日(その2)

2010-12-10 03:18:45 | くるま旅くらしの話

 

多々羅大橋を歩く

 

島暮しの日課の一つに多々羅大橋の歩きを入れたのは、以前に来たときにもこの橋を隣島の瀬戸田PAまで3回も往復したことに味を占めたからである。今回も是非それを実行しようと考えていた。

 

多々羅大橋を渡るためには、宿泊している道の駅:しまなみの駅御島からは車で10分ほど走って橋の袂にある道の駅:多々羅しまなみ公園に行くことになる。だから最初からこちらの方に泊れば、移動の手間が省けるというものなのだが、海に面しているこの道の駅は、天候の急変のことなどを考えると、やはり遠慮したいということになってしまうのである。ということで、今回は連日二つの道の駅の間を通うことになった。

 

   

多々羅大橋の景観(遠景)斜張橋としては世界で2番目の長さとのこと。この写真は、瀬戸田の生口島側から大三島の方を見た景観である。

 

多々良公園の駐車場に車を置いて、少し急な坂を上ってゆくと、展望台があり、その下の方が多々羅大橋の自転車や歩行者の道の入口となっている。そこからが橋の散策の本格的開始となる。初日は邦子どのと二人、前回と同じ様に瀬戸田の上り線側のPAを目指した。まあまあの天気である。少し風があるけど気になるほどの強さではない。久しぶりに高所を歩くので、大丈夫とは思いながらもヒヤヒヤ心がどうしても働いてしまう。邦子どのは平気で歩道の右側を歩いているけど、自分としてはどうもそういう気にはなれない。なるべく遠くを見ながら左端の方を歩くことになった。それでも少しずつ慣れてきて、時々は橋の下に近い海を覗きこむことも出来るようになった。多々羅大橋にはロープを吊るための2本の巨大な柱(=主塔)があり、その柱からそれぞれ左右に21本のロープが斜めに張り出されている。道の片側だけで計84本のロープが使われているということだ。それが橋の北側にも同じ数だけあるので、ロープの総計は168本ということになる。直径が15cm以上もあると思われる鋼鉄のロープが使われており、良くもまあこのような重いものを吊り上げているものだと驚くばかりである。

 

   

主塔を見上げる。この塔の高さは、海面より226mもあるというから驚きである。見上げると眩暈(ままい)を覚えそうになる。

 

   

橋の上の様子。左は車道。車道の左右に自転車と歩行者専用の道がつくられている。歩行者は無料。自転車と原付は片道100円となっている。

 

主塔まで来ると、そこには名所となっている多々羅鳴き龍がある。鳴き龍とは日光東照宮などのあれと同じ現象で、拍子木や両手で拍手を打つと、音が反響しあって、恰も龍の鳴き声のように聞こえるという現象である。何しろ巨大な橋の上なので、その反響音も相当なものである。ここの鳴き龍は、日光の数倍の大きさがあるのではなかろうか。主塔は計4本あるから、4箇所でこの鳴き龍を聞くことができるというわけである。

 

   

多々羅鳴き龍を試す人。主塔の下に来ると、音が共鳴する現象が起きる場所があり、拍子木や拍手を打つと、ゴオ~ンという音が辺りいっぱいに響き渡る。

 

20分ほどかけて1,480mの橋を渡り終え、生口島に到着。ここから先が急な坂道が多い。瀬戸内海に面する右手の丘は急な坂のみかん畑になっており、既に色づいた早稲みかんやまだ堅い青色の夏みかんなどが晩秋の暖かい日を浴びて、たわわに実をつけていた。途中にある無人のみかん売り場で、1袋100円也で8個ほど入っているみかんを買い、それを食べながら歩くのが楽しみになっている。今回も早速それを手に入れた。瀬戸田のみかんは甘くて美味しい。大三島でもみかんの栽培は盛んなようだけど、酸味が強いのが多くてガッカリすることが多いのだが、ここに来るとその外れの心配が無い。土の所為なのだろうか、不思議に思う。

 

ふうふうヒイヒイと息を切らしながら、坂道を登ってようやくPAに到着。ここのPAには名物の蛸飯があったと記憶しており、今回もそれにありつくつもりで行ったのだが、少し頑張りすぎたのか邦子どのがグロッキーになったようで、食べるものなどの話ではなく、横になりたいなどといっている。よせばいいのに重いカメラを構えて途中、写真を撮りすぎたようだ。帰りのエネルギーの計算も出来ないほど久しぶりの景色に魅せられて入れ込んでしまったらしい。ま、少し休めば何とかなるだろうと、自分の方も蛸飯はやめ、蛸の天ぷらをスナック風に揚げたものを頬張って我慢した。邦子どのは何も食べる気がしないという。

 

20分ほど休んでいる内に少し元気を回復してきたので、とにかく帰路につくことにした。帰りは橋の入り口までは下り坂なのでかなり楽なはずなのだが、油断すると膝をやられることになるので、気をつけながらの歩きとなった。橋まで行けばそこからは平なので、それほど苦労することは無かったが、重いカメラをずっと持たされ続けて、しかもその持ち方が悪いと一々注意されるので、どうにも面白くない道行きだった。

 

次の日は単独行となった。邦子どのは橋の恐さよりも往復するエネルギー不足の恐さに脅えたようで、わたしは今日は行かないから、あなた一人で行けば、と朝から断言していた。ま、さもあらんと予想していたことなので、一人で行くことを決めた。昨日と同じように大山祇神社に参詣のあと出発する。昨夜来の風が少し残っていて、風当たりのきつい橋の上はちょっぴり歩きにくいかなと思ったが、少しばかりの風にはビクともしない大橋なので、まあ大丈夫だろうと道の駅:多々羅大橋公園に車を止める。今日は文化の日の休日とあって、何やらイベントが催されているらしく、昨日までさほど混んでいなかった道の駅の駐車場は満杯近くになるほどの混雑ぶりだった。

 

橋への坂道を登りながら、今日はいつも行く上り車線側の道ではなく反対側の下り車線側の道を行くことにしようと思った。入口が違うため、かなりの遠回りとなったが、見る景色も少し違っており、少し新鮮さがある。今日は休日の所為なのか橋の近くには釣り船らしき白帆を掲げた船が幾つも浮かんでいた。いい景色である。しまなみ海道はサイクリングを楽しむ人が多く、今日は休日とあってか、かなり大勢の人が賑やかな衣装をして、次から次へと自転車を走らせていた。少し危なさも感じるほどだった。橋の上は起伏が無く自転車にとっては極めて好条件の道だと思う。今回は自転車を積んでこなかったので、専ら歩くだけである。歩くのもいいぞ、と思いながら瀬戸内の島々の広がる景色を楽しんだ。

 

      

 

橋の上からは、瀬戸内の島々の間を航行する船がひっきりなしに行き交っていた。のどかな風景である。

 

生口島に着いて、瀬戸田のPAに向かう坂の途中にあるみかんの無人販売所の手前に、今日は別の売り場が作られており、ちょっと覗いたら、なんと一袋が10円だという。小さいみかんだけど、15個ほども入っているのである。これは何かの間違いだろうと置かれているダンボールに書かれた価格表示を確認したのだが、もう1箇所に書かれている表示もやはり10円だった。半信半疑でとにかく1袋を買い、PAの方に向かいながら食べてみたのだが、これが実に甘い上等な味なのである。これは島の地元の方の特別のプレゼントなのかなと思った。

 

PAに着いて、今日はここまで来たという証に小さなデンドロビュウム(デンファレ?)の鉢を買った。この辺りの島々では蘭の栽培が盛んなようで、前回来たときも同じ様な鉢を買ったのだった。車旅ではともすると花とは無縁の時間が多くなってしまうので、このような小さな植物は、大いに心を慰め癒してくれるのでありがたい。その小鉢の入った袋を抱えて帰りの道を辿ったのだったが、やはり1袋10円のみかんが気になり、もう一度寄ってみた。残りが3袋あったので全部買い上げることにしようと思ったのだが、10円硬貨が2枚しかなく、後は札しかなかったので、やむなく2袋を買い入れた。都合3袋を買ったことになる。蘭の小鉢にもみかんと同居して貰い、何だかとっても得をしたような気分になって、車に戻った。買ってきたみかんを口にした邦子どのも大いに満足できる味であり、硬貨を持っていなかったドジを惜しがられたのだった。それにしても、今どきこのような価格のみかんに出会えるなって、夢見たいな話である。

 

   

今日は一人でちゃんと歩いてきた証拠にと買った小さな蘭の鉢。名前は良く判らないけど、その後の旅車の中をホッとさせてくれた。

 

翌日の多々羅大橋往復は、邦子どのがカムバックして同行することとなったのだが、PAまでの急坂に恐れをなし、自分は橋だけを往復するとのことだった。お好きなように、というしかない。今日もまあまあの天気で、今回の島暮らしの最後となる多々羅大橋の散歩をじっくりと味わったのだった。今回は雨などに邪魔されること無く十二分に満足な散歩だったが、欲を言えば前回には見ることが出来た橋の袂の紅葉が、少しも見られなかったのを残念に思った。しかしまあ、なんとも超贅沢な散歩環境だった。くるま旅ならではの恵みである。

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