山本馬骨の くるま旅くらしノオト

「くるま旅くらしという新しい旅のスタイルを」提唱します。その思いや出来事などを綴ってみることにしました。

南東北・佐渡・飛越信州の春ぶらり旅(第11日)その2/2

2008-09-24 04:31:01 | くるま旅くらしの話

 11日 <54()> その2/2

 町の中心部には、立派なお寺があり、行って見ると「清龍山常安寺」とあった。説明板を見ると、ここは上杉謙信ゆかりのお寺で、謙信が若き頃ここで育ち、ここで旗揚げをしたという由緒ある場所らしい。栃尾は城下町で、謙信ゆかりの場所だということを今日はじめて知った。遅れているなあと反省する。

   

常安寺山門近くの景観。あぶらあげの幟が目を引く。

常安寺の本堂の中では、この地の栃尾てまりという民芸品の展示会が開かれており、様々な模様の美しい手まりがたくさん陳列されていた。その昔、栃尾は絹の産地であったらしい。それゆえ、このような民芸品が今日まで残っているのだろう。

常安寺の境内脇に作られた100を超える急な石段を登ってゆくと、広い平地がありそこが秋葉神社だった。秋葉神社といえば火伏せの神様として遠州(静岡県)にあるのが有名だが、この栃尾の神社も日本の二大霊山として崇められているそうだ。それにしては神社の境内は樹木が少なく殺風景で、それほど大げさな場所とは思えなかった。建物そのものは、小さいけど落ち着いた雰囲気を持っており、やはりここがイヤシロ地であることを証明しているような気がした。

   

常安寺の裏手の丘の上にある秋葉神社の景観。境内に樹木が少なくてやや殺風景の感は否めない。

石段を降りて常安寺に戻る途中の土手に、キクザキイチゲが可憐な花を咲かせていた。気がつくと、境内の庭には、大きな残雪の塊があり、何だかじくじくぬかるんでいるなと思ったら、水はそこから滲み出していたのだった。真冬には、このお寺は雪の中に埋まってしまうのかもしれない。上杉謙信という人は、雪が無かったら天下を取ったのかも知れない。結局雪に邪魔されて中途半端な遠征ばかり仕掛けているうちに病に倒れて志を空しくしたのではないか。しかし、その根性というか精神は、深い雪の中で練り上げられたのであろうか。あの時代を引っ張る力のあった相当な人物だったに違いないと思った。

邦子どのは機織りのイベント会場に入ったきり出てこない。何やら織り機に向かって坐って、指導を受けているようだ。以前から織物をしたいといっていたから、まあ我慢して待つことにした。その織物の会場の脇で、地元の民話を語り聞かせるコーナーがあり、そこに坐って聞いてはみたのだが、雑音がうるさい上に語り部のおばあちゃんのことばが殆どわからなくて、結局何の話やらさっぱり解らなかった。まるで、どこか異郷の場末で、呪術師の予言を聞いている感じである。昼過ぎになって、ようやく織物の勉強が一段落したらしくて、戻ってきた邦子どのと合流。

商店街には○○小路と呼ばれる脇道が幾つもあり、夫々に稲荷小路とか十二山小路だとか昔からの由緒ある名前が付けられていた。それらを覗きながら帰路へ。

  

メイン通りからの横道には、歩く旅のまちづくり委員会が設置した、小路名とその由来を書いた案内板が幾つも見られた。左は十二山小路、右は出雲小路の案内板。

途中味噌を造っている古い店があり、そこに立ち寄って醤油の実という酒の肴に万能らしい食べ物などを買う。黒く輝く柱を見ると、この店の重厚な歴史を感じた。しかし、雁木の商店街全体は、両津の街がそうであったように、ここも全体としては化石化の方向へ向かっているように思えた。この地での商売は、これから益々大変だろうなと思いながら、来た道を戻って道の駅のSUN号へ。

もう一晩、今日もここに泊ることにして、ゲットしていたタラの芽などの山菜を天ぷらにし、それを肴に一杯やってゆっくりすることにする。アケビの芽茎も茹でることにした。

今日は、ほんとにいい天気で、ゴールデンウイークの最中の所為か、道の駅は車で溢れかえっている。SUN号は最初から邪魔にならないような所に停めてあるので、大丈夫。タラの芽の天ぷらは最高だ。邦子どのの天ぷらを揚げる技術は、山菜に関してはプロ級と言ってもいいように思う。この人を褒めるようなことはあまりないのだが、これだけは褒めざるを得ない。でも付け加えれば、天ぷらを揚げる気になってくれるのが滅多にないのが残念である。今日は考えが一致したのが幸せであった。

アケビの芽茎も茹でてみたが、これもなかなかグーだった。卵とじなどめんどくさいことをしなくても、生醤油だけでも充分いける。よし、明日は採ってくるぞ、と闘志が湧く。一杯やった後は、急に眠くなって、しばらく午睡。このグータラさが旅の楽しみの一つである。

16時過ぎ、午睡から目覚める。道の駅の車も人もかなり少なくなった。栃尾の町は、三方を山に囲まれた盆地にあり、何というのか知らないが一本の川が町の中を流れている。この川が時々暴れて氾濫するらしい。道の駅からは。南東方向になるのだろうか、雪を被った5つほどの峰を持つ山々が白く輝いている。観光案内所の人に訊くと、守門岳という山だとのこと。なかなかの名山である。

今日はかなり歩いたので、本当は温泉に入りたいのだが、近くにはそれらしきものは見当たらない。日が暮れてゆく時間に合わせて、ちんたらと過ごす。薄暗くなってきたが、今夜のここでの泊まりは、我々の他にも数台のマイカーが残っていた。夜は、入ってくるトラックもなく、静かな時間を過ごす。

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