先日京都に住むIさんからメールを頂戴した。それによると、昨年C型肝炎が重症化して、病床での闘病暮らしを余儀なくされていたのが、今回の1年検診で担当医師から完治宣言を頂いたという。真に嬉しくも喜ばしい便りだった。勿論油断は禁物で、この先も決して無理をしてはならないのは言うまでもない。一応旅に出かけても良いとの判断から、今夏は8月15日から半月ほどの日程で34年ぶりに北海道の旅に出かけることにしたとの内容だった。真にご同慶の至りである。34年というのは、真に長い年月である。Iさんの抱かれている北海道のイメージは、その殆どが34年前の北海道の姿だと思うけど、さて、現在の北海道はどれくらいその昔を残してくれているのだろうか。これはもう、今夏の旅を終えた後にIさんに感想を聞いてみなければわからない。
それで、少しおせっかい心を出して、Iさんのために15日間の北海道巡りのプランとそのガイドを提供したいと思った。勿論どこをどう旅しようとそれは旅をする人の決めることであり、本当は先入観となるような話は迷惑というべきに違いない。だから、ほんのちょっぴり参考にして頂ければ良いと思っているだけである。それにもしかしたら、Iさん以外の人でも、北海道を初めて車で旅をしようと考えている方には多少なりとも参考になるかもしれないと思ったこともある。
15日間という時間は、長いようだけど実に短いと言うに尽きる。もし15日という時間を長いと感じる人がいたなら、それは不幸な旅をしている人に違いないと思う。人には欲望や願望、或いは好奇心というものがある。活き活きと生きたいと思うのなら、旅はまさにその体現の場であり、そのための時間はいくらあっても余ることはない。それが私の実感である。
さて、その短い15日間をどう過ごすかということは結構悩ましい課題だ。北国の北海道とはいえ8月は猛暑の季節であり、病後の健康管理には相当に留意しての旅でなければならない。まずはそのことを第一に考えながら、あれこれとコースを思いめぐらしてみた。といっても、Iさんがどのような旅を考えておられるのか判らないので、勝手に想像するしかない。その想像というのは、34年ぶりということなので、
①まずは観光しながら北海道らしさを味わう
②時々は名物の美味いものにも出会いたい
③温泉を楽しんで身体を労わる、
などがメインとなるのではないか。そう思った次第である。
それからくるま旅の考え方としては、宿はキャンプ場または道の駅などの無料公共施設を利用する。高速道はなるべく使わない。ローコストハイクオリティの旅(?)を常に心がける。といったことを念頭におき、常に安全と健康に留意することを最重要視して行くことにしたい。
北海道は広い。夏の北海道といえば、多くのくるま旅の人たちが目指すのは、道北か道東ではないかと思う。道央や道南は通過点の感じがする。しかし、ここでは京都からの来道ということを考えて、特別な目的が無い限りは道南を除いては、どこも皆対象に入るのではないかと考え、二つのコースをガイドすることにした。というのも、京都から車で北海道を訪れる人ならば、恐らく舞鶴港からのフェリーを利用されるのではないかと思う。舞鶴からの航路を運営する新日本海フェリーには道内には2つの発着の港があり、その一つは小樽港であり、もう一つは苫小牧東港である。他に敦賀からの便もあるようだけど、これは小樽港到着となっている。札幌を挟んで小樽と苫小牧とでは、少しばかり旅のコース取りが違ってくるように思う。この二つのフェリーの港の位置のこと考えると、15日間という時間で道南を含めて回るのは相当に無理がある。ただ一回りするだけなら3日もあれば可能と思うけど、走り廻るだけの急ぎ旅となり、その分他のエリアを回れなくなり、ただの気休めとなるに違いない。だから道南は除外することにした。(道南がつまらないところだなどとは決して思ってはいないが、15日間という時間では無理が大き過ぎるということである)
ここで一つだけ申し上げておきたいのは、札幌のことである。札幌はご存知の通り北海道第一の大都市であり、著名な観光地も多いけど、私の場合は、あまりお勧めできないと思っている。その理由は、京都の市内観光と同じように、旅車の場合は、駐車できる場所を探すのが大変であり、せっかく行ってもラーメン一つ満足に食べるのが難しい。キャンピングカーが確実に駐車できるような施設は札幌の中心街では簡単には見つからないのである。もしどうしても札幌の中心部を訪ねたいというのであれば、1日くらい時間を割いて、旅車で行くのを諦めてどこか郊外の駐車場に車を置き、そこからバスや地下鉄を利用するということにした方が良い。しかしIさんの場合は、健康管理のことを考えると相当にくたびれることだと思うので、最初から札幌は避けた方がベターだと思う。そういうわけで札幌市街エリアの観光ガイドは除外することにしたい。
ということで、今日から思いつくままに二つのコースについて案内してゆきたい。まずは、「Aコース:小樽を起点」、次に「Bコース:苫小牧を起点」を思いつくままにガイドすることにしたい。最初にAの方から始めることにしよう。
(ところで、念のためにお断りしておきたいのは、実のところ私自身の旅の出発が6月11日となっており、もしそれまでに記載が完了しない時には、Aコースの紹介だけで終わらせて頂くつもりでいる。予めご承知置きをお願いしたい)
<Aコース:小樽を起点としたコースプランとそのガイド>
【第1日】 舞鶴港→(フェリー)→小樽港→道の駅:アップルスペースよいち(余市町)(泊) フェリーの小樽到着は20時45分というから、かなり遅い到着となる。この日の宿をどこにするかが最初の仕事となると思うが、最も手っ取り早いのは、降りた港の駐車場で1泊することだが、これは何だか情緒が無い感じがする。長時間の船旅で少し運転感覚に支障があるかもしれないけど、30分ほどかけて隣の余市町の道の駅まで行って、そこの道の駅:アップルスペースよいちに錨を降ろしてはどうか。馴れない夜の道は緊張を余儀なくされると思うけどゆっくり眠るには道の駅の方がベターだと思う。 余市の道の駅は国道に面した駐車場と、横裏に第2駐車場があるのだが、第2駐車場をお勧めしたい。第1の方はトイレには近いけど、やはり騒音がうるさい。特にトラックなどが入ってくると、エンジンを掛けっ放しという不届き者がいたりするので要注意である。尤も第2駐車場の方にもこの頃はそんな車が時々入ってくることがあるので何とも言えないけど、確率的には少ないように思う。 この道の駅から国道を左方向に200mほど歩くと、川を渡った左手に余市川温泉というのがある。ここは銭湯のような温泉なので、ゆったり感はないけど、どうしても汗を流したいのであれば利用されたら良いと思う。但し22時近くになっているので、営業が終わってしまっているかも。この温泉では、以前入浴中に浴場の中に若い女性が入って来て、サービスに氷のボールを配ってくれたのに驚いたことがある。仕事となれば、女性の勇気というのはすごいものだなと思った。今もそのサービスがあるのかどうかは分からない。(ちょっと脱線して失礼)何と言っても上陸初夜なので、早めに眠りに就くことが一番だと思う。 (以下は明日以降に掲載します)