今日から3回に分けて旅車に関わるアフターサービスの考え方について私見を述べることにします。この話は旅車の製作販売に関わる方たちへの要望のようなものかもしれません。
先日、日本RV協会から発行された会報「くるま旅」(2007VOL.3)の中に(何と私ども夫婦の写真や記事も掲載して頂いているのです!)、「キャンピングカー白書2007」に関する解説記事が掲載されており、興味津々の内容でした。その中で、各事業者の経営課題として、
⒈会社としての信用性の強化および企業倫理の確立
⒉お客様に対するアフターサービスの充実
の二つが最重要テーマとして取り上げられているということでした。くるま旅くらしを提唱する私としましても、この二つのテーマは大変重要であり、妥当な選択であると思いました。
そこで今回は、少し堅い話になりますが、アフターサービスとは何かということについて、私見を述べてみたいと思います。
実は、私は機器や装置のメンテナンスを業とする企業に勤務していたこともあって、サービスとは何かについて、人間関係論的立場(といっても古典的人間関係論ではありません)から長いこと考察を重ね、これからも何らかの関わりを持ちながら持論を成長させて行きたいと考えている者です。
今までCLM(Customer Loyalty Management ~ 顧客中心のマネジメント)という経営の理屈を提唱してきたのですが、現在は自分の生き方の中にその実践を図っているだけです。CLMはビジネスのみならず、日常生活においても充分に応用可能な理屈だと思っています。CLMの説明はかなり長くなりますので、ここでは省きますが、これから述べることの根っこにはCLMの考え方が横たわっています。
さて、今回、業界の経営者の多くの方が掲げられたこの二つの経営課題は、基本的には同じテーマの側面を述べているのではないかと私は受け止めました。言葉で整理すれば⒈と⒉のようになりますが、これを実践行動として捉えますと別々のものではなく、⒉を行動で示すことが即ち⒈の実現につながると考えます。企業の信用性とか倫理観といったものは、それらしき社是・社訓或いはキャッチコピーのような言葉を紙に書いて額に入れて掲げるようなものではなく、毎日の全社員の行動の中で具現されなければならないものです。私は、この実現を叶えるものが「お客様に対するアフターサービスの充実」の中に全て含まれているように思うのです。
ビジネスというのは、それがどのようなものであれ、お客様があって初めて成り立つものです。お客様にもいろいろなレベルがあり、例えば「顧客層(=潜在顧客)」→「見込み客」→「お客(購買者)」→「得意客」→「贔屓客」というふうに関係の濃密さのレベルで分けて捉えるような考え方もありますが、事業者としては、それがどのようなレベルであれ、先ずは顧客との関係を形成し、それを少しでも良い方向へと持ってゆくことが大切で、それができるかどうかが事業成功の分かれ目というか、決め手となるわけです。先年亡くなられたアメリカの経営哲学者ドラッカー博士によれば、企業経営の目的は「顧客の創造」にあるということですが、これは傾聴すべき大切な経営心得の言葉だと思います。
アフターサービスというのは、車を買って頂いたお客様(=オーナー或いはユーザー)に対する諸々のサービスのことを言うのだと思いますが、私は、「先ず最初にアフターサービスの精神がある」と考えることが重要と思います。つまり、販売する前にアフターサービスの精神と体制がつくられていることがビジネスを成功へ導く鍵になるという考え方です。買って頂いたお客様からのクレームや要望に応えることだけがアフターサービスという考え方は、決して間違いではありませんが、少し後ろ向きのように思うのです。それについて、一ユーザーの立場を中心において、私の思うところを述べてみたいと思います。
先ず、アフターサービスとは何なのでしょうか。簡単には、車を販売した後のお客様の面倒を見るということなのでしょうが、私はこれには次の二つの考え方があるように思います。
⑴ユーザーやオーナーの不安、不満、疑問、要望等に応え、問題を解消すること。(消極的アフターサービス)
⑵贔屓(最上ランクのリピーター)の顧客関係を形成すること。(積極的アフターサービス)
ごく一般的には⑴がアフターサービスの内容と考えられていると思います。確かにユーザーとしての私も、車を使っている間に発生する様々なトラブル等の問題にキチンと対応して頂けることには大いに感謝していますし、それがアフターサービスのメイン内容なのだと承知はしているのですが、考えてみればそれは当然のことであって、もしトラブっても何も対応してくれなかったり、対応があまりにも遅かったりしたなら不平不満は募り、この車は、この店からは二度と買うまいと強く思うに違いありません。ですから、この種の対応というのは、必要最小限のアフターサービスであって、それが上手くできているからといって満足すべきレベルの話ではないと思うのです。
経営を与(あずか)る立場の方には、⑴は勿論ですが、是非とも⑵のレベルのアフターサービスを目指して頂きたいと望みます。贔屓客というのは、その車、そのお店のものが最高!というお客様のことで、車を買って頂けるどころか、拡販にまで身を乗り出して協力してくださるほどのお客様を言います。このようなお客様をどうすればつくることが出来るのか、その鍵はアフターサービスのあり方に在る、と私は思います。⑴のレベルの対応の他に何か行なうことがある筈です。それをやれば確実に贔屓客は増えてゆく、もしくは贔屓客の予備軍が増えてゆくに違いありません。現在でも贔屓客を何人か持っておられる販売店やメーカーさんは、そのお客様と現在のような関係になれるまでの間に、必ずや⑴以上のお付き合いをされているに違いありません。そのことが重要なのです。そのことを全てのお客様に対して行なうことによって贔屓客獲得への道が開けるのだと私は考えます。
ではどうすれば良いかということですが、その前に少し理屈を述べます。 (以下明日へ)
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