予楽というのは、私のくるま旅くらしの中では、旅に出かける前にその旅を楽しむということで、これも旅の本番に匹敵するような価値があります。今日から5回に分けて今回の九州行の行く前の凡その訪問先などを紹介しがてら、その楽しみなどをご紹介したいと思います。
九州は北海道よりも少し狭い面積ですが、遠く離れた沖縄を別にすると7県もあり、実際に旅をするとなれば、この全域を満遍なく見て回るには相当の時間が必要だということが判ります。今回の旅では西九州と南九州がメインの訪問先と考えていますが、せっかくのついでですから、その他のエリアを含めてぐるっと一回りすることにしようと思っています。
九州をエリアとして区分するには、いろいろな考え方があるのでしょうが、私の場合は県別に北九州(福岡県)、西九州(佐賀県・長崎県)、中九州(熊本県)、南九州(鹿児島県)、東九州(大分県・宮崎県)という風に五つに分けてみました。厳密には県などで分けることが出来ないのは解っていますが、あくまでも便宜上の考え方です。
さて、先ずは西九州の旅について、その楽しみを述べてみたいと思います。九州に入ったら、起点の福岡で2~3日すごしたあと、先ずは佐賀県の北西部のエリアに向かいます。最初は唐津ですが、ここには福岡在住時代(25年ほど前に7年間福岡で暮しました)にも何度か来ています。唐津くんちは今でも印象に残っています。でも、今では周辺の景色はもうすっかり変わってしまっっているのかも。昔の思い出のままであるはずがありません。何しろ、私自身が老人になり果ててしまっているのですから。それでも昔を思い出しながら、虹の松原や鏡山を訪ねたいと思います。そのあとは、唐津焼の窯元などを訪ねてみることにします。佐賀県は陶磁器の窯元の多い所ですが、唐津焼も又味わいのある焼き物です。25年前とは又違った気分で焼き物に触れてみたいと思います。
唐津の後は更に西の方に足を延ばし、秀吉さんが朝鮮出兵を行った時の基地であった名護屋城跡などを訪ねた後、呼子に寄りたいと思います。玄海灘の魚はどれも美味ですが、何といっても呼子での一番はイカです。目指すのは、あの肉厚のイカです。生きづくり、てんぷら、それに一夜干し。どれも「超」がつく美味さ。北海道のイカも魅力的ですが、玄界灘のイカも引けは取りません。この時はコレステロールのことは一日忘れて、思いっきりその味と食感を楽しみたいと思っています。ああ、考えただけでも唾が湧いてきます。今生の最後のチャンスを必ずものにする信念です。
呼子の後は、更に西に足を延ばして、もうそこは長崎県となりますが、橋でつながっている二つの島を訪ねたいと思っています。その初めは鷹島。ここはその昔蒙古の大群が押し寄せて来た時、上陸を果したのかしそこなったのか、よく判らない様な所ですが、今は橋が出来てつながっており、道の駅も出来ていますので、行って様子を見てみたいと思うのです。モンゴル村というテーマパークのようなものもあるようですから、興味津々です。
鷹島の後は、すぐ隣にある福島というのを訪ねることにしています。ここでの目的は、土谷免という所にある棚田の見物です。この頃は棚田に興味があり、旅先でチャンスがあれば訪ねたいと考えているのです。ここの棚田も有名ですから、島の段々畑(or田んぼ)の景観を心行くまで眺めて楽しみたいと思っています。
次は更に西に向かって松浦市を経由して平戸に行く考えです。平戸は島ですが今は橋でつながり、島だったことが忘れられている感じがします。ここにはキリシタンの名残りの史跡が幾つか残っていますので、それらを順次訪ねることにします。そして更に西に隣接する生月島にも足を延ばしたいと思います。この島に橋が架かったのは、20年ほど前でしたが、ずっと有料だったものが最近は無料化されたと聞きます。嬉しい話です。行けるところまで行って、東シナ海をじっくり眺めてみたいと思っています。
さて、この後は西九州の中核である長崎市の方に向かうわけですが、その前に佐賀は鍋島藩の藩窯のあった伊万里や有田を訪ねたいと思います。現役のその昔、九州在住の時には毎年5月の連休に開かれる有田の陶器市に何度か出掛けたことがあり、理想の徳利とぐい飲みを探し回ったことを思い出します。伊万里の方はまだ訪ねたことがありませんので、今回は秘窯の里大川内山を訪ねて、その有様をしっかり目に止めておきたいと思っています。
焼き物探訪の後は、佐世保に向かいますが、今では佐世保といえば直ぐにテーマパークのハウステンボスがイメージされてしまいそうです。でも、私には佐世保といえば何といっても日本海海戦の基地としての存在です。あの時代に佐世保が担った港としての力は、まさに国を支えるほどのものだったと思っています。その佐世保の市街を一望できる場所を探して、明治の精神の輝きを望見してみたいと考えています。佐世保はそれだけで十分であり、テーマパークの方はパスします。
さて、佐世保から先は大村湾を東に行くか、それとも西の海側を行くか迷う所ですが、ここは西の海側即ち西海市の方を行く考えです。この辺りからなら五島列島の島影も望見出来るかもしれません。福岡在住時代に、五島列島を訪ねなかったのは心が残ります。もっと釣りに打ち込めば良かったのに。どうせ大した仕事もできなかったのですから。今考えると、現役時代は人生を楽しむという発想が殆ど芽生えもしなかったことを、実に愚かなことだったと気づくのですが、後悔先に立たず、後の祭りです。
西海市経由で長崎市に入った後は、長崎市のパークアンドライドシステムを利用させて頂いて、平和公園の駐車場にSUN号を置いて、電車かバスを利用して長崎の町の観光をしたいと考えています。2日もあれば凡その史跡等を訪ねることが出来ると思います。久しぶりに長崎らしい食べ物も味わってみたいですね。中華街で焼きそばかちゃんぽんを、しっぽく料理はあまりにも贅沢すぎるかな?それから無理すれば吉宗の茶碗蒸し?いや、こいつは無理だなや、卵などやたらに食べたらエライこっちゃ。……、まあ、考えるだけでも楽しくなるというものです。車を直接使わない旅の日があるのは、却ってくるま旅の中身に変化をもたらし、より大きな楽しみを得ることが出来るような気がします。長崎市にこのような仕組みがあることを知り、感謝・多謝です。
長崎を出た後は、島原半島に向かいます。大暴れした普賢岳も今は鎮まっているようですから、心配ないと思いますが、恐る恐るという気分で、裏側(小浜経由雲仙温泉)の方からそっと上って、島原市側に向かう考えです。途中雲仙市の千々石にある清水棚田というのにも足を延ばして一見してみたいと思っています。雲仙の地獄等の温泉巡りは避け、おとなしく山を下って深江の道の駅で一息入れた後は、久しぶりの島原市街訪問です。現役時代、島原出身の職場の仲間が何人かおり、その方たちのおかげで市内の武家屋敷などを訪ねたことがありますので、ある程度の土地勘はありますが、今回は初心に戻って島原の史跡などを探訪したいと思っています。
島原の後は、再び佐賀県の方に戻ります。有明海の沿岸を辿りながら北上しますが、この辺りのカニ(=ワタリガニ)が心を惹きます。有明海のカニといえば竹崎が有名ですが、いまだ一度も味わったことがなく、今回はぜひとも念願を叶えたいと思っています。ああ、糖尿病もコレステロールも中性脂肪もクソ喰らえだ~。途中にある道の駅でも吉報が待っているような予感がします。ま、本当のところ半分は神頼みですけど。
有明海を北上し、鹿島市均衡で、先ずは日本三大稲荷の一つである祐徳稲荷に参詣した後、浜庄津町、浜中町などの伝統的建物群保存地区を訪れ、古い文化の雰囲気を味わいたいと考えています。その中に何か獲物があるかもしれません。
鹿島市近郊探訪の後は、お隣の嬉野市に向かい、塩田津商家町や眼鏡橋などを見物したいと思います。温泉は時間的にちょっと無理かもしれません。でも名産のお茶などは手に入れることができるでしょう。嬉野の後は、隣の武雄市ですが、ここでは川古という所にある楠の大木を見物したいと思います。日本でも有数の楠の古木ということですから、何か学ぶことがきっとあるに違いありません。樹木の堂々たる生きざまには限りない感動を覚えます。そのあとは佐賀市の方に向かい、小城市にてその昔の城下町の街並みというのを訪ね散策してみたいと思っています。
小城の後は、普通は佐賀市を訪ねることになるのだと思いますが、自分的には佐賀市の市街の中で探訪の心をそそられるような場所は思いつかず、せいぜい近くにある吉野ヶ里遺跡の散策くらいです。佐賀市には、織物・着物やお菓子などの領域では何かがあるのかもしれませんが、これはもはや邦子どのの世界の話なので、その時の命運に任せることにしたいと思います。
佐賀市エリアは軽く立ち寄るだけにして、休憩地としては柳川市を選ぶことにします。ここは北原白秋の生誕地であり、水郷の町です。いろいろ見どころもありますが、最大の目当ては鰻の蒸篭蒸しを食することです。死ぬまでには何としても一度は食べておきたいというのが相棒の切なる願いなのです。これを振り払うわけにはゆきません。ますます我が体調には負担をかけることになりますが、その分、満足の気持ちで元気を取り戻せればいい、と考えることにします。
ざっとまあ、西九州エリアといえばこんなところでしょうか。凡そ10日ほどかけて回る考えでいます。柳川や大川は福岡県であり、もはやこの辺りは西九州と呼ぶにはふさわしくないのかもしれません。ま、そんなことはどうでもいいことです。西九州エリアは、明治維新前までは長崎を中心として西洋文明の唯一の取り入れ口だった所であり、更にはもっと古い時代に遡っては、大陸との交易の前進基地だった所です。きっと今まで気付かなかった何かが見えてくるような予感がして、楽しみは増すばかりです。
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