新・遊歩道

日常の中で気づいたこと、感じたこと、心を打ったこと、旅の記録などを写真入りで書く日記です。

銃撃事件とボディーガード

2022年07月09日 | 映画
安倍元首相の銃撃事件はテレビでほぼ同時進行し、見守る国民に大きな衝撃を与えました。
真昼間、悠然と歩いて安倍さんに近づく犯人の姿が映し出されたのはショックでした。止められなかったのか・・・、今大きな議論の対象となっています。
首相在任8年。国内外の大きな存在として、これからもまだまだ続きがあっただろうに・・・。心よりお悔やみ申し上げます。

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数日前に見た映画《インビクタス/負けざる者たち》がよみがえりました。
これは27年間投獄されたマンデラが、南アフリカ共和国の初めての黒人大統領になるところから始まる話です。
大きなストーリーは、アパルトヘイト廃止後も根強く残る白人と黒人の対立を無くそうと、1年後1995年同国開催のラグビーワールドカップで優勝を目指すというとんでもないマンデラの計画から始まります。
南アではラグビーはアパルトヘイトの象徴として、特に黒人からは嫌われていました。しかし、マンデラは敢えて国民の融和を計るために押し進めたのです。そして事実優勝してしまうというストーリーです。

それはさておき、とても心に残った場面があります。 
マンデラはボディーガードを黒人と白人の「混成チーム」にします。その白人たちは今まで黒人を殺してきた公安の人間だったのです。
反発する黒人ボディーガードに、マンデラは『人を許す心は人間の最強の武器なのだ。許しは魂を自由にし、恐れも取り除く』と諭します。

27年間の長くつらい牢獄体験からにじみ出た思いだったのです。

最初、黒人チームは白人チームを信用していなくて人間関係はぎくしゃくしていました。しかし白人チームの「大統領を全面的に衛る。警備は100%完璧でなくてはならず、1%のミスも許されない」というプロ意識の高さは特殊部隊で訓練されたものでした。

「大統領を護る」という目指す方向でチームは完全に一致ました。同じ方向を見て任務にあたるうち、少しずつ心も近づいていきます。
ワールドカップ会場で数万人の観客から大統領を衛るプロ意識、その緊張感は競技以上に心に焼き付きました。

そのボディガードの強烈な印象がまだ冷めやらぬうちに昨日の銃撃事件。銃規制のない日本の安全神話に身を置いている自分にも気づかされました。

この《インビクタス/負けざる者たち》はクリント・イーストウッド監督。マンデラにモーガン・フリーマン、ラグビーナショナルチームの主将にマット・デイモンが好演します。

映画中のワールドカップラグビーの試合も本物の競技を見ているように迫力があり、マンデラそっくりのフリーマンも見事で、ストーリーも充実した素晴らしい映画でした。

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30数年前に観た《遠い夜明け》は今でも忘れられない映画です。
いきなり、南ア政府軍が黒人居住区をブルドーザーで急襲する場面から始まります。逃げまどう黒人家族たち。この残虐さに胸を締め付けられ、最初から涙腺が弛むストーリーでした。

実話に基づくもので、黒人解放活動家ビコと白人記者ウッズの交友をもとに書かれています。
ビコは投獄、暴行を加えられ獄死。死因の追及を恐れて、解剖も許可されずに遺族にも引き渡されませんでした。
ウッズにも警察の手が伸びてきますが、ビコの死の真実とアパルトヘイトの現状を本にします。
身の危険を感じたウッズは、警察の目を掻い潜り、必死の思いで家族とともに亡命を実行します。
ウッズの乗った飛行機が大空に高く飛び立つところで終わりますが、まだこの時点ではアパルトヘイト廃止が本当に遠い遠いもので、夜明けは全く期待できませんでした。

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それから3年後の1991年「アパルトヘイト政策廃止」が宣言されたのです。私の知識不足もあったのですが、まだまだ遠いと思っていた夜明けがいきなりやってきて信じられませんでした。
夜明け・・・、なんとすばらしい言葉かと胸を熱くした思い出があります。




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