新・遊歩道

日常の中で気づいたこと、感じたこと、心を打ったこと、旅の記録などを写真入りで書く日記です。

福岡市美術館「モネ展」 あと9日間

2016年02月12日 | 福岡市美術館

福岡市美術館で開催中の「マルモッタン・モネ美術館所蔵 モネ展」がいよいよ残り9日間になりました。まさか九州まであの《印象、日の出》が来るとは!

17年前初めて訪れたマルモッタン・モネ美術館。 娘との個人旅行で念願の《印象、日の出》を見て、あまりにその印象が強くほかの絵はさほど頭に残っていません。
今度の日本での展覧会は詳しい解説つきだから、現地で鑑賞する以上の楽しみもあります。私の好きな1870年代の絵は7点ほどでしたが、2010年台に白内障で10年間も苦しみながら、その時に描いたジベルニーの庭や池の絵が多数でした。
 

美術館は閉館日をも返上してのサービスぶりで、入場者は10万人を突破しました。
九州以外からの来館者も多く、中国語も飛び交います。モネの絵は馴染みやすいタイトルが多いからでしょうか、人気があります。


例によって「立ち止まらないでください」の放送が流れています。
印象派の絵はすぐそばで見るよりも、5mほど離れて見た方がくっきりと光輝いてみえます。
カメラのファインダーを覗いたときにピントがピタリと合ったときの感覚と同じです。左の《睡蓮》など特にそうです。


新しい発見だったのは《印象、日の出》の描かれた日時の調査がなされていたことです。米国の天文学者ドナルド・オルセン氏が、19世紀の写真や地図をもとにモネが描いた場所をホテルと特定し、太陽の位置や、潮の満ち干や、たなびく煙によって風の向きを推測して、気象データと照らし合わせて…、と気の遠くなるような調査の結果、「
1872年11月13日7時35分ごろ」とほぼ確定されたということでした。
私はこの絵はずっと「日の出」だと思って疑いもしませんでした。「日の出」か「日没」かの論争があっていたとはつゆ知りませんでした。しかし科学的な調査の結果をふまえて、この展示は《印象、日の出》と落ち着いたようです。


たまたま引き出しを整理していたら「ジベルニーの家の組み立て絵葉書」が出てきました。17年前にはジベルニーにまで足を延ばせなかったので、せめてもの記念にと買ったものです。さっそく組み立てると、4年前に訪れたジベルニーの家の記憶が鮮やかによみがえりました。

白いドレスのアリス、《ラ・ジャポネーズ》の着物を着た婦人、階段の上にはモネがキャンバスを広げています。ジャンもミシェルもいます。ルノワールやバジールもいるようです。

私が訪れた時はもっとツタに覆われていましたが、温かい壁の色、緑のよろい戸は同じ。
家の中に入ってみると、キッチンのフライパンの並べ方を見ただけでも妻アリスの几帳面さがしのばれました。ジベルニーの家は温かい家庭の象徴です。白内障を患いながらもモネは幸せだったと思います。

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