介護施設に入所している母が少し認知症状もでてきており、しきりと家を恋しがります。
92歳までしっかりと独り暮らしをしており、友人知人かつての教え子などが集まってきていた楽しい生活が今も忘れられずに、また独り暮らしをしたいと言い張るのです。家に帰ればその楽しい生活が再現できると錯覚しているのです。
2011年小脳出血、大腿四頭筋部骨折で、入院、リハビリ、入所を繰り返し、自宅でも常に見守り状態で介護するように指示され、そのためには付き添いが必要になりました。かねてから抑え込んでいた不安が的中しました。すでに3人の娘たちは嫁いで、母はずっと一人暮らしだったのです。
いろいろ話し合って介護施設のお世話になってから、はや2年が過ぎました。私は月に5,6回、隣市に住む妹もしばしば訪れるし、姉も冬と夏に1か月単位で帰省して施設の母を訪問しているのですが、それでは満足できず自宅が恋しいばかりのようです。その心の内がよくわかるのですが、それを気づかないふりしている自分の心が辛いのです。
自宅の鍵を持ってきてと電話までかけてくるようになり、とにかく一時帰宅をさせて母の心を穏やかにしようと、2泊3日の一時帰宅を計画しました。
静まり返った部屋を掃除し、寝具類を長時間乾燥機にかけて、人が生活できるように清潔さを取り戻すのにストレスがかかります。
昨年12月には1泊だけの一時帰宅をしました。その時のアドバイスは常に部屋を21℃に保ち、風邪をひかないように、常に目を離さないように、ということでした。
夜中にも3台のエアコンを稼働させっぱなし、3度のトイレに付きそいます。その都度、施設の介護士さんの大変さを思い感謝の念でいっぱいになります。
今回もちょど寒波が来た時で、寝室は23℃にして、風邪を引くことなくすみました。
今回の一時帰宅3日目。もう施設には戻りたくないと言い出すのでは・・・と不安でしたが、2泊3日の自宅生活を心から喜んでくれたし、独り暮らしは無理なことも認識できたようです。
パフで顔を軽くおさえ紅をさし、後ろを向くことなくしっかりと戻っていきました。その笑顔を見ただけで、帰宅させてほんとによかったと思いました。
気丈な母は、娘にはそれぞれの生活があるからと愚痴を言いませんが、母の心が100%幸せではないと推し量ると胸が詰まり、あえて見ないふりをしている自分の冷淡さをののしりたくなりました。
施設に帰ってもまた、同じように帰りたいということでしょう。
それでも娘としての義務を果たして、心も晴れやかになって帰宅すると、花たちはいっせいに花を咲かせていました。寒波の中にも、後戻りをすることのない春の陽射しを確実に感じとっているのですね~。
こぼれダネのポピー
ムスカリ アネモネ
花茎の短いチューリップ 花カイドウ
ブルーベリー シクラメン
西洋サクラソウ と こぼれ種のポピー