新・遊歩道

日常の中で気づいたこと、感じたこと、心を打ったこと、旅の記録などを写真入りで書く日記です。

『ホームステイのイタリア』  ばぁばの一人旅

2012年02月22日 | 本・新聞小説

Img_2 わたしが楽しみにしているブログ「ばぁばは語る」があります。『たそがれの72歳』からイメージすると『イタリア旅行15回』はとても結びつかないほど内容が若々しく、衒いがなく、人を引きつける生き方と文章力が魅力的なブログです。

 そしてひょんなことから本を出版されていることを知り、すぐAmazonでポチッ!

3日後に届いた『ホームステイのイタリア』元就出版社は、途中で止められずに一気に読み終えました。 とにかく楽しく面白いのです。ホームステイで語学研修をしながら『暮らすように旅をした』詳細が綴られています。

 著者が初回に訪れたイタリアは65歳の時。パックツアー最終日のフリータイムで独り歩きの楽しさに目覚め、『この次はイタリアに一人で来よう』と『残りの人生の生きがいを見つけた』のです。帰国後すぐにイタリア語の語学講座へ。その後1年もたたないうちにホームステイを実行に移します。その実行に至るまでの奮闘、努力、心の動きが、無駄のない文体と巧みな構成で書かれています。このあたりの小気味良さも読む者の心に弾みをつけてくれます。

 ステイ先では、語学の勉強の合間に食材の買い出し、オリーブ畑の散歩、日用品の調達、スーパーでの珍しい支払方法、ステイ先のマンマと一緒に料理をしたり、日本料理をふるまったり、ホームパーティによばれたりと、普通の旅行記では見えない部分や知りたかった部分が鮮明に描かれています。家庭料理のメニューにはおいしさが伝わってくるし、トイレ事情、住居事情など生活に密着した日常のことに読む者は親しみと温かさを覚えます。

 15回のホームステイの中には、出発を控えて2度の『突然の試練』の怪我もあるのです。紆余曲折のようにも見えるのですが、「イタリアへ」という大きな流れは変わることなく強い意志で流れていきます。こういう人生は誰でもすぐ真似できるものではありません。でもひょっとしたら私もできたかも・・・とそんな希望を持たせてくれるのは、主婦という同じ立場での目線、見方や考え方のひとつひとつが共感共鳴できて、追体験しながら自分も一緒にそこにいるような感じを受けるからでしょうか。

 著者の『人々の暮らしの中に入って眺められる、自分の身の丈に合った旅から得られるものは大きい。イタリアの街で発見する、生きることへのひたむきな気持ち、実直さを私は好ましく受け取る』という文章に羨望のまなざしとともに共感を持ち、読んだ後のカラッとした心に余韻がずっと残りました。「ばぁば」世代にも、これから飛び立つ若い世代にも勇気と力を与えてくれる素敵な本です。

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