12月初めに大根の種をパラパラと撒きました。一袋にはかなりたくさんの種が入っていますが、なかなか残りを捨てるという行為にはおよべません。とりあえず狭いスペースに全部を撒き、少し大きくなったところで間引いて和え物にでもと思いました。
大根は間隔を広くとらないと大きく成長しないとアドバイスを受けていましたが、せっかく芽を出したものを間引くのはもったいなくて、なかなか勇気がいるものです。
土の上に少し顔を出した大根を、ユーモラスな「大きなかぶら」を思い出しながらまっすぐ上に引き抜くと、スポッと軽快な感触で気持ちよく抜けました。小さくてもこのように黒い土がついた大根を見た時は感激でした。まっすぐな伸び方も私には上出来の収穫です。
想像していたでっかい大根に成長しなかったのは、間引きの時期が遅れたのか撒く時期が遅かったからでしょうか。
この大根を見たとたん迷いもなく、「夕食にはおでん!」と当然のようにメニューが出来上がっていました。葉の部分も柔らかく、ちりめんじゃことうす揚げで煮びたしもでき上がりました。大地の恵みとはいい言葉です。
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採れたての大根はだし汁をたっぷり含んで軟らかく煮あがりました。これを入院中の母に食べさせたいと思いさっそく持っていきました。
ところが病院に着いて密閉容器を開けて出てきたのは・・・な、なんと付け合せ用の人参の煮物でした。一瞬、大根が変身した・・・とあわてん坊の私は混乱。冷蔵庫から取り出す時にほかの器を持ってきていたのです。しかも人参は、今はそれほどでないにしても若いころの母の嫌いな野菜だったのです。でも味がいいといって少しだけ食べてくれました。
子供のころ姉妹で夕食の配膳を手伝っていた時、姉が「これは人参が多いからお母さんの所に置こうか???」と言った懐かしい幸せな茶の間の光景を思い出しました。
高度成長に突入する前は、今のように豊富な物質に囲まれてはいませんでしたが、みんなの笑顔は非常に明るく満ち足りていました。何よりも素直に上向きの気持ちが持てるいい時代でした・・・・。