新・遊歩道

日常の中で気づいたこと、感じたこと、心を打ったこと、旅の記録などを写真入りで書く日記です。

湯泉と焼き物とお茶の町・嬉野

2009年01月10日 | 国内旅行記

7回目の父の法要を終えた後、母と私たち娘3組の夫婦計7名で1泊旅行をしました。行く先は湯の町・嬉野です。

028_2佐賀で途中下車して佐賀城本丸歴史館へ。天守閣が物見櫓と権力の象徴なら、本丸は藩主が政治を行い生活する場所。その本丸御殿の復元が2004年8月に完成していました。

本丸の復元としては日本で最初、木造復元物としては日本最大規模。建物ばかりでなく、ここでは名君鍋島直正の藩政改革、人材育成、近代科学の発達などの貴重な資料がわかりやすく展示され、ボランティアの解説付きで興味深く見学しました。近代の黎明期に名だたる優秀な人物をたくさん輩出した佐賀の誇りが静かに輝いていました。すぐ隣の県のことなのに、うかつにも本丸復元の貴重な情報を見逃していました。合計4時間、納得するまで満足するまで観て回りました。

嬉野の老舗旅館大正屋の美しい庭に面した部屋に入ると、すぐに和菓子とおうすが供されて、正座してしっとりした気分に浸りました。嬉野茶の産地とあって、お茶へのこだわりが優雅なサービスになっているのです。ネットでの評価に違わず、おもてなしの心が嬉しくすっかり気に入りました。90歳の母のために準備された花束にも感激です。

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Photo_5Photo_4温泉博士から、科学的根拠を指して『三大美肌の湯』のお墨付きをもらっただけあり、独特のとろみがある泉質は、確かに肌に心地よく美肌美人の気分になってしまいました。少し離れたところにある露天風呂にも行き、お肌はつるつるつる。重曹泉のためか浴槽にも湯の結晶はなくて、お湯は透明で浴室も清潔です。

朝食には嬉野名物の「温泉湯豆腐」。ここの温泉水で煮込んだとろとろの豆腐と白く濁ったスープを特製のタレでいただきます。噂ではネットで販売している大正屋の温泉湯豆腐の年商は、なんと1億円だそうです。 日本人はどうも「とろとろ」の響きと食感には弱いようです。もちろんおいしいですよ!

048_2047_2車で30分のところに磁器の町・有田があります。伝手があって人間国宝中島宏氏の弓野のご自宅に行くことができました。日本文化の良さをすべて凝縮させたような静かで優雅な家の作りと庭。作品にも庭の木々にさえも、品格のある中島氏の芸術感覚がしのばれました。 写真右の真ん中奥に見える木が柞(ユス)の木で、その灰を媒溶剤として釉薬に用いるのだと奥さまが説明してくださいました。

Manji_3054_3有田には、中島氏の他に14代酒井田柿右衛門氏(写真左)と井上萬二氏の家が隣接して建っています。ともに人間国宝。この地に3名の人間国宝とは、さすが有田の名にし負うものだと思います。

右は、井上萬二氏の「白磁丸形壷」です。「形そのものが文様」が信念で、端正でそれでいて温かく、無駄がなく、まさに究極の美だと思いました。

059_3磁器の町・有田の器は、ちょっとしたお弁当にも使われています。ふつうは黒塗りのプラスチックに入っているお弁当も、ここでは磁器の蓋つきの器に入っていました。同じ味でも、こんな工夫のランチに心がおどります。 

前日のお昼には、お濠のそばで佐賀牛のごちそうになるし、夕食は睦月会席。グルメと温泉と歴史の旅は快適で、まさに近場の再発見でした。

Seisi_2Seisi2帰りに親戚の製紙工場に立ち寄り工場見学をしました。原料から製品ができ、箱詰めからトラックに載せるまでのフルオートメーションを目の当たりにするのは初めてで、もう驚きの連続でした。原料を次に目にするときは、すでに巨大なロール紙になっていました。ISO9001とISO14001を取得して環境にも心を配り、工場とはおよそ無関係の主婦には目新しいことばかりの社会科見学でした。日進月歩の技術の進歩と、巨大な煙突から流れる水蒸気の白煙を見ながら、日本も100年に一度という窮状から必ず脱却できる・・・と確信しています。

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