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地域のネットワーク構築の目的と必要性

『ソーシャルワーク実践』より

地域包括支援センターにおいて地域のネットワークを構築していくことは、住民の地域生活を包括的・継続的に支えるための環境を整備し、自立した生活を促進するうえで不可欠な支援である。また、ネットワーク構築は実態把握と総合相談とともに、総合相談支援業務のなかで、円環的な関係をもっているものである。そして、その構築は地域を基盤として活動する社会福祉士に求められる重要な支援でもある。ネットワークの内容は、地域住民の主体性を尊重してそれを引き出し、住民一人ひとりをそれぞれの生活の中心に位置づけて、その生活を、フォーマルなサービスはもちろん、インフォーマルなサポートとも有機的に結びつけ、側面的な支援が行われるものでなければならない。

地域住民のニーズのなかには、複雑で解決困難な問題や家族の抱える問題などが交錯して存在している。それに対処し解決、改善していくには、地域包括支援センターという1つの機関だけでは難しいことが多い。地域包括支援センターが単独でその問題を抱え込んでしまわずに、適切な機関や部署へつなぎ、関連専門職のチームによる支援ネットワークと住民主体による支援ネットワークを重層的に張り巡らしていく必要がある。

社会福祉士は、既存のネットワークを活用し再構築するとともに新たなネットワークを構築し、相談への支援や予防、見守り活動などの重層的なネットを意図的に結びつける役割を担うものといえる。そして、それらのネットワークを活用して地域の課題を把握し、アセスメント、支援目標の策定、支援の実施、評価というプロセスをたどりながら取り組んでいくのである。

ネットワーク構築の必要性を、ネットワークが構築されることで具体的にどのようなことが可能となるのかという観点であげると、以下の点が指摘できる。

地域に必要なネットワークが構築されていれば、さまざまな機関や団体などが把握あい、学びあい、理解しあいながらニーズを把握していくなどの方法を工夫していくしている情報のなかから、必要な情報を収集し、提供することが容易になる。また、多種多様なニーズの相談をネットワークでつなぎ、継続的で包括的な支援を行うことが容易になることが考えられる。さらに、ネットワークが構築されていることで初期の段階から多職種・多機関が有機的に連携して支援することができる。このような多職種・多機関がかかわることにより、支援者個人の業務負担が軽減され、継続的支援が容易になるとともに、各職種のより専門的な支援が可能になる。

その他にも、地域の問題を住民が主体的に解決・改善していくためには、住民中心のネットワーク構築が必要となる。そして、そのネットワークを機能させていくことで、地域の「福祉力」(住民が支え合える力)を高めていくことが可能になる。

このように、住民中心のネットワークや専門機関のネットワークを活用することで、見守りから支援、そして予防へと包括的な対応が可能となるのである。

しかし、このようなネットワークの必要性について、関係者が共通理解をもてていないと協働作業は難しい。そのために、地域包括支援センターでは、ネットワークの意義について理解が得られるよう住民や関係者などに積極的に働きかけていく必要がある。
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コメント
 
 
 
地域コミュニティを作るには (μ)
2012-07-09 22:35:28
この所、地域コミュニティ関係をしらべている。
 
 
 
地域コミュニティを作るには (μ)
2012-07-09 22:35:30
この所、地域コミュニティ関係をしらべている。
 
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