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人類再生のシナリオ

『日本人は何故大人しい?』より 2357

いま人類は何をなすべきか

 このまま進むと、農業生産も減り、砂漠化はどんどん進行していき、当然ながら工業生産も減り、人口も減っていくものの、その前に地球は人口を支えられなってきます。では、今すぐ何をしたらいいかというと、一、消費エネルギーを減らし、かつクリーンなエネルギーに転換すること、二、緑を増やすこと、三、そして徐々に人口を減らすこと。この三つが肝心だと思います。先進国の人はこうした状況をわかっているため、比較的実行しやすいでしょうが、途上国の人たちはなかなか納得できません。それをいかに説得するかということが重要になってきます。

日本人は、価値観の転換を!

 日本列島の推定人口は、縄文早期の頃は二万一〇〇〇人、弥生時代は五九万四九〇〇人でしたが、奈良時代に四五一万二二〇〇人と三桁になり、江戸時代が始まる直前の慶長五年(一六〇〇)には一二ニ七万三〇〇〇人と四桁に変わりました。そして江戸時代中期である享保六年(一七二一)に三一二七万八五〇〇人にと増えましたが、それからは横ばいで、明治一三年(一八八○)も三五九五万八一〇〇人とほとんど変わっていません。

 昭和期にぐんと上昇し、平成には一億三〇〇〇万人を窺うようになりました。この数字を見ると、日本における自然な人口は三〇〇〇万人台なのかもしれません。ちなみに江戸は一八世紀には一〇〇万人都市となっていて、しかもエネルギーの循環社会として知られています。

 東京では、食糧を消費するだけで生産はほとんど行っていません。東京の食糧自給率はゼロに近く、逆に北海道では一人で約二人分弱の食糧生産をしていますが、全国平均でみると日本の食糧自給率は四〇パーセントだそうです。現在、発展途上国は先進国に輸出するために、自国の土地が荒れることには目をつむり、森を切りひらき、一所懸命にいろんな物を生産しています。それを避けるためには、日本等の先進国が自給自足経済を目指すことです。最近は工場や都会のビルの中で野菜の生産も始まっています。

 人々はその中で職住近接して暮らすのです。ですから、通勤や物資の移動のためのクルマやトラックのエネルギーもほとんど必要とせず、使ってもわずかですみます。これはもともとは、スエーデンGotengorg大学やその他のヨーロッパ各国で石油ショック後生まれた一九七〇年代の構想だそうです。

 とにかく、私は消費エネルギーを減らすことが重要だと思います。結果として国家の富も減り人口も減っていきますが、それを可とする、効率や富を求めない、東洋型の「いかに捨てられるか」への価値観の転換が必要です。

人類再生のシナリオ

 もともと人類は電気もなく、たくさんのエネルギーを使わない生活の中で、豊かな時間を過ごし、高い文化を保つことができたのですから、そういう生き方がすばらしいと人々が再び思い始めたら、エネルギー消費も急激に減少する可能性があります。しかも環境汚染などで地球を傷つけたら、それが人類にはね返ってくることは、冷静に考えればすぐにわかるのですから、かなり立ち直れる可能性はあります。人間は賢く、かつ愚かな存在であり、その両面を持っているのですから、賢い面が十分に発揮できれば、この難局を乗り越えられかもしれません。

 人類再生のシナリオは二つあると思います。人類が滅びていくといっても、人間全員が死ぬわけではなく、生き残る人たちはいるでしょう。その限られた人たちが新しい文化・文明をどこかで作り上げていくというのが第一のシナリオです。とはいえ、環境がどんどん破壊され、また核戦争などで人類が殺戮し合ったら、かろうじて生き延びた人たちも大変な苦しみを味わうことでしょう。

 もう一つのシナリオはこのまま、なんとか人類が知恵を発揮して、やりくりして、立ち直るというものです。人間は戦争をして、仲間同士殺戮し合いながら、一方で絶滅しそうな動物を助けたり、災害にあった人たちの不幸に同情して援助したり、弱者のために率先してボランティア活動をするといった、まさに地球および他の生物たちに貢献している面もあります。人類のそういった面に期待したいと思います。
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