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AQ時代の新しい価値観

『伸びる会社VS危ない会社の見分け方』より

 東日本大震災は、地震、津波、原発事故と想定外の規模の被害がありました。直接の被災をした東北、その打撃で余震、電力不足の影響を受けた首都圏、そして影響が軽微だった西日本と、受け止め方はかなり違います。違いはあれど、重大な出来事には疑いようはありません。日本だけでなく世界を震憾させたこの大規模地震は政治や経済のみならず、文化や芸術、そして個々の人々の人生観にも影響を与えるのは間違いなく、戦後日本最大の大転換点になるのではないでしょうか。

紀元前はBC、紀元後はADと表記されますが、日本においては3月‥H日を境にそれ以前を『BQ』(ビフォアークウェイク)、それ以後を『AQ』(アフター:クウェイク)と区別して考えたほうがいいと感じています。これからは震災前の価値をいい意味で捨て、震災後の価値観に変えていく企業が伸びていくのではないでしょうか。

 具体的には、土地、地域に付属し、持ち運べないものの価値が落ち、今後は「モビリティー」(移動性、可動性)がとても大事になるのではないでしょうか。たとえば、モノやサー・ビスでいえば、携帯電話、クラウドサービスなどの価値がより高まるでしょう。また、西日本でも、海外でも、どんな地域でも仕事ができたり、コミュニケーションを取れたりできる資質を持つ企業や人の価値が高まるのは間違いありません。

「所有から利用へ」の流れが加速するとともに、ある種の身軽さに価値を置く人が増えるのではないでしょうか。リースの利用が増え、住宅にしても持ち家ではなく賃貸、男女にしても結婚ではなく同棲や事実婚といった具合に。

震災発生に伴う社会構造の変化は、体力に乏しいベンチャーや中堅企業にとってネガティブと捉える向きも多いでしょうが、小型企業ならではの機動性を発揮できる局面であり、決してネガティブではないと思います。

震災に伴う環境変化で企業運営の難易度が上がりましたが、これからビジネスを始める人や企業にとっても、変化に対応したモノやサービスを提供することができるチャンスでもあるのではないでしょうか。現在は2011年ですが、『AQ元年』と捉え、動きを変えることのできる人や企業はこれから強くなると思います。

震災によってむしろ強さが際立ったSNS関連、電力不足対策が需要を後押しするクラウドサービスなど分散型ネットワーク関連、在宅勤務関連、特需的な需要を吸収する西日本の企業、土木、発電機、エネルギー分散化のテーマに乗る蓄電池、スマートグリッド(次世代送電網)などは有望です。AQの人々の価値観の変化にどう対応していくのかということはすべての企業や人々に問われていくものと思います。

 震災後の成長性を決める6つの観点

  ①被災地のためにどのような行動を取ったのか--被災地に募金や寄付などを行ったり、現地の被災者のために何か特別なことをしたかどうかは、まずは人道的な観点で必要です。

  ②お客様のためにどのような対応を取ったのか--会社のなかには震災で被災された方もきっとおられると思います。この震災によって不利益を被ったお客様に具体的にどのような行動をしたのかというのは、お客様をどのように考えているのか見極めるよい機会です。

  ③株主のためにどのような対応をしたのか--株主や投資家は震災があった後、いろいろな意味で投資をしている会社を不安に感じたと思います。そこで速やかに投資家向けメッセージを発信したり、会社の被害状況をディスクロージャーしたりして、積極的に発信をするような会社は安心ができます。

  ④仕入れ先にどのような対応をしたのか--東日本大震災で多くの工場やお店が被災をしました。その仕入れ先にどのような支援をしたのか、そして仕入れられなくなった商品をどこから入手したのか、また仕入れ先が復旧をしたときにまた仕事を再開したのかしなかったのか、

  ⑤社員のためにどのような対応をしたのか--東北方面に出店をしている会社、工場を持っている会社、物流拠点のある会社はたくさんあります。自社の社員の安全確保にどの程度力を尽くしたのか、その家族などに対する支援を行ったのか、健康面や心のケアも含めてきめ細かく対応をしたのか、などが大切です。

  ⑥中期的な成長戦略を速やかに見直したり議論をしたか--価値観の変化に際してそれを真正面から捉えて、真摯に経営陣で議論をする、もしくは社員とともに議論をする会社は震災後も成長する可能性が高いでしょう。
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