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石油を使わない超軽量自動車

『再生可能エネルギーがひらく未来』より 新しい火の創造

移動に使われる燃料全体の七五%が自動車を動かすのに使われています。そこで、まずその自動車に石油を使わなくてもよくすることを考えてみましょう。

一般的に自動車を動かすのに必要なエネルギーの三分の二は車の重量に由来するものです。したがって、自動車の重さと空気抵抗を減らすことによって車輪におけるエネルギーを一単位減らすと、車輪に駆動力を伝えるためのエネルギーを六単位減らせることになります。燃料タンクから見ると全体で合計七単位減らせます。したがって、重量を減らすことは非常に重要です。

この四半世紀ほどの間に、車の世界でも肥満が蔓延しており、二トンの鉄製の車が速いペースで二倍に重量を増してきました。しかし、今日では、超軽量、超頑丈な素材である炭素繊維複合材に変えることによって大幅な軽量化を図ることができます。そして、車をよりシンプルに、安くつくることができます。車が軽くなると、その動かす力も少なくて済みます。エンジンを小型化できます。そして、車を電気で走らせることもできるようになります。といいますのは高価な蓄電池が二上二倍小さくなりますので、軽くなり、安くなるからです。この車の値段は今日のガソリン車と同じぐらいで、おまけに燃費も改善されます。

こうした革新により、自動車メーカーにおいても従来の金型、あるいはエンジンの技術で細かくコストを下げるのではなく、ムーアの法則(インテルの創業者ゴードン・ムーアが一九六五年に「半導体の集積度は一八ヵ月で倍増する」と提唱したとされる法則)にもありますような大幅なコスト削減が可能になってきます。

これは、先端素材、製造技術、電動化というそれぞれ三つのイノべーションによるものです。

フィーベートという仕組みがあります。これは効率のいい新車に与えられるリペートのことで、効率の悪い車から取る料金で賄うものです。ヨーロッパの四大フィーベート制度のうち、最大のものでは自動車の効率改善のスピードを最初の二年間で三倍加速させることができました。

先ほどムーアの法則について申し上げましたが、電動化ということになりますと、タイプライターに小さな改良を加えていた頃からコンピュータヘの進化ぐらいの大きな変革になります。もちろんコンピュータやエレクトロニクスはいまやアメリカ最大の産業となり、タイプライターのメーカーは姿を消しています。

車をスリムにすることは肥満を避けるということ、つまり軽くするということです。これによって石油を四〇年で二倍節約することができます。同時に車の電動化か進み、石油の節約がさらに進みます。

アメリカと日本、その両方がこの自動車革命をリードできる存在であると思います。

今、この分野で先端を行っているのはドイツです。二〇一一年、フォルクスワーゲン社は二〇一三年に、一リットルあたり九ハキロメートルの燃費で走行する、炭素繊維(カーボンファイバー)のプラグインハイブリッド車を生産すると発表しました。また、二〇一一年、BMWも翌年には、炭素繊維の電気自動車を大量生産すると発表しました。既に日本の銀座でも広告が打たれています。その中で、この炭素繊維のコスト増分はバッテリーの数量を減らせることによって相殺されるとし、自分たちはタイプライターメーカー・のようになるつもりはないと言っています。ミュンヘンではタイプライターが非常に有名だったのですが、その二の舞にはならない。アウディはその二社よりさらに一年進んでいるということで、パリで炭素繊維のプラグインハイブリッドのコンセプトを採用したSUVを発表しました。燃費は一リットルあたり一一〇キロメートルを超えています。
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