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未来を生きる子どもたちはどんな力を身に付けれはいいの?

『特別の教科 道徳Q&A』より どうして今、道徳教育なの? ⇒ 生きるためのインフラを変えるには、何をしたらいいのか? 大人から変わる手段が必要!

今の子どもたちにはどんな未来が待っているの?(子どもたちが生きる未来社会)

 携帯電話やインターネットの普及で、他者との空間的な距離は縮まり、どこにいても誰とでもつながることができるようになりました。日々の生活で必要な情報も、パソコンやスマートフォンを操作するだけで得ることができます。このような今の世の中を、先人たちはどの程度想定することができていたでしょうか。

 私たちの身の回りはここ二、三〇年の間でも目まぐるしく変化しています。そして、これからの社会はこれまで以上にその変化の速度が速まることが予想されます。未来を確実に予想することは困難ですが、各種統計などから、ある程度どのような未来が待っているのか想定してみることは可能です。

 さらに進む少子高齢化

  総務省の統計によれば少子高齢化の進行により、二〇三〇年には我が国の総人口の三割が六五歳の高齢者となり、さらに約五〇年後には総人口が現在より約三割減少、六五歳以上の割合が総人口の約四割に達するといった超高齢社会に突入します。このことにともない生産年齢人口は減り続けます。また、二〇三〇年には、世界のGDPに占める旧本の割合は、現在の五・八%から三・四%にまで低下するとの予測もあり、日本の国際的な存在感の低下も懸念されています。

 二○年間で倍になった海外在留邦人

  外務省の統計によれば、海外在留邦人は平成二六年度の調査で約百三〇万人となっており、この数は二〇年前の約二倍となっております。また、総務省の統計では、日本で暮らす外国人の数も年々増えており、これらの数は今後さらに増えることが予想されます。

 技術革新が変える働き方と社会

  さらに、子どもたちが将来就く職業のあり方についても、技術革新等の影響により大きく変化することになると予測されています。人工知能をはじめとする技術革新により職業のあり方だけでなく、身近な生活を含め社会のあらゆる面に変化が及ぶと考えられます。

 予測困難な時代を生き抜くための道徳教育

  以上、ここで紹介をさせていただいたものは一例に過ぎませんが、今後ますます、将来の社会の変化を予ただけたのではないでしょうか。このような時代を前に私たちはどのように生きていくことが求められるのでしょう。また同時に私たちは、新しい時代を生きる子どもたちに何を準備しなければならないのでしょう。しっかりと考えていかなければなりません。

  このことは道徳教育も同様です。詳細は次頁以降で解説をいたしますが、学校教育も社会の変化を乗り越え、これからを生きる子どもたちが他者と協働しながら新たな価値の創造に挑み、自ら未来を切り拓いていく力を確実に身に付けることができるように変化をしていかなければならないのです。

未来を生きる子どもたちはどんな力を身に付けれはいいの?(成熟社会で求められる力)

 予想が困難な未来には、今まで以上に正解のない課題が待ち受けていると予想されます。そして、このような課題の解決は、個人や、前例にのみ倣った方法で立ち向かうだけでは限界があるでしょう。その中では、一人ひとりが多様な価値観の存在を認識しつつ、自ら考え、他者と対話しながら、よりよい方向を目指そうとする力が重要となると考えられます。

 学校教育において身に付けるべき力

  平成二七年八月に出された中教審教育課程企画特別部会の論点整理では、これからの時代に求められる人間のあり方として、「個性や能力を生かしながら、社会の激しい変化の中でも何か重要かを主体的に判断できる人間」、「多様な人々と協働していくことができる人間」、「自ら問いを立て、解決方法を探索して計画を実行し、問題を解決に導き新たな価値を創造していくとともに新たな問題の発見・解決につなげていくことのできる人間」ということをあげています。

  その上で、現在、こうした人間のあり方を、教育課程のあり方に展開させるため、各教科等において育成すべき資質・能力を、①「何を知っているか、何かできるか」、②「知っていること・できることをどう使うか」、③「どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか」という柱で整理が行われています。

 自ら課題を発見し、解決する

  新しい時代に必要となる資質・能力の育成に関しては、これまでも、たとえばOECDが提唱するキー・コンピテンシーの育成に関する取組や、論理的思考力や表現力、探究心等を備えた人間育成を目指す国際バカロレアのカリキュラムなどが実施されています。これらの取組に共通しているのは、知識の伝達だけに偏らないことや、学ぶことと社会との繋がりを意識した教育を行い、子どもたちがその過程を通じて、基礎的な知識・技能を習得すると共に、実社会や実生活の中でそれらを活用しながら、自ら課題を発見し、その解決に向けて主体的・協働的に探究し、学びの成果を表現し、さらに実践に生かしていけるようにしようという視点です。

 道徳の教科化の方向性

  この度の道徳の特別教科化は、これらの議論の先駆であると言えます。

  たとえば今回の学習指導要領の改訂では「問題解決的な学習など多様な方法を取り入れた指導」について新たに規定がなされました。このことは道徳の授業が道徳的価値の自覚を深め、子どもたちが生きる上で出会うさまざまな道徳上の問題を、他者と協働し多面的・多角的に考え、主体的に判断し実行し、よりよく生きていくための資質・能力を養うことを一層明確にしたものです。道徳教育は、まさに未来を生きる子どもたちに求められる力を育む基盤となるものなのです。
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