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図書館の現場力 ありたい姿を実現するためのデータ活用

『図書館の現場力を育てる』より

●ありたい姿を実現するためのデータ活用

 このような図書館のデータを収集し活用する目的とは、図書館のさまざまな施策やサービスを立案し、実行・行動につなけ、さらに改善を重ねながら、図書館のありたい姿を実現することです。データを分析し評価することにより、次なる具体的な行動や業務の改善につなげなければなりません。そのためには、まずは「勤務している図書館をどうしたいのか」「どのような図書館を目指すのか」という図書館の「ありたい姿(=ビジョン)」を明確にする必要があります。

 逆に図書館のありたい姿が明確ではない場合、データをいくら分析し活用しようとしても、次の行動につなぐことはできません。データの分析に注力することも重要ですが、むしろ実際はデータを活用した結果、「具体的に図書館で何をしたのか」「イ可を生み出したのか」「どのように行動・実行したのか」が重要です。

●ビジョンを実現するためには……

 もし仮に予算が潤沢であれば、数多くの人を雇用でき、施設・設備にも巨額を投入することができるため、ありたい姿(ビジョン)は短期間で苦労なく実現できるかもしれません。もちろん多くの現場では,現実的に予算,人,物(空間)が限られていますので、現在の資源を最大限に活かしながら、ビジョンを実現していくことが求められます。

 しかもビジョンは1人で実現することはできません。組織内の構成員のエネルギーを活性化するため、単にビジョンを浸透(共有・共感)させるだけではなく、ビジョンを実現するための具体的な道のり(戦略)を明確にし、共有しなければなりません。

●ありたい姿とのギャップを考える

 しかしながら、あまりに理想的な姿をビジョンに落とし込んでしまうと、逆にいつまでたっても実現することができず、データの活用すらできません。他方で、勝手に一部の構成員でビジョンを構築してしまうと、組織内から他人事のように思われてしまい、実行につなぐことができません。各組織や部署において身の丈にあったビジョンがつくられる必要があります。

 ビジョンを実現するための考え方として、図のように整理できます。

 まず、図の左下の「現在の課題」については、みなさんは数多くあげることができるでしょう。こうした「現在の課題」を解決し、右上の「ありたい姿」を実現するためには,組織全体や部署における「資源(人,物,金,情報)」と「環境の変化」を踏まえた戦略(打ち手)を立案する必要があります。

 ありたい姿とは、①ある最低基準に到達するありたい姿、②理想のありたい姿、の2点を考えることができますが、ここでは②の理想のありたい姿を念頭に置きます。

 資源とは、組織が保有する「人・物・金・情報」です。環境とは、現在の環境ではなく、未来を予測した社会の変化です。こうした組織の資源と社会環境の変化とのかかおりの中で、ありたい姿を実現するための具体的な打ち手が中央の「戦略」です。

 このようにありたい姿を実現するためには、現在の課題、環境の変化、組織内の資源を構成員と共有することが前提です。繰り返しになりますが、ありたい姿が明確ではないと、そもそも戦略を描くことができず、データすら活用できません。
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