未唯への手紙
未唯への手紙
資料のデジタル化
『専門図書館の役割としごと』より 情報の編集と資料のデジタル化 ⇒ 未唯空間の他者への公開の参考にする
資料のデジタル化
資料管理方法の変遷
かつて、コンピュータが普及していない時代は、紙媒体によるファイリング管理が成されていた。やがて1970年代に入り、オンライン情報検索が実施されるようになると、紙媒体の報告書を光ディスクに記憶させる文書管理システムの利用が進んだ。光ディスクとは、主として文書、図面、写真等の画像(イメージ)情報の保管・保存を目的に、情報の読み取り、登録、記録、検索、複写を行うシステムである。こうした動きが、社内情報データベース構築の始まりと言える。
このようにデータを光ディスクに蓄積し、データベースを構築する手法を、光ファイリングシステムあるいは光ファイルという。現在では、デジタル化か容易になったため、すでに使用されなくなっている。光ディスクに読み取る方式は、イメージ情報として記録されるため、別途、その画像情報の書誌情。報を作成して検索対象とする必要があった。なぜなら、当時はまだ報告書のコンテンツを直接検索できなかったからである。
また、光ファイリングシステムのようなシステムを導入しないまでも、紙媒体の文書をデジタル化して、コンピュータで編集可能とする手法としてOCR(Optical Character Recognition : 光学的文字認識、以下、OCR)がある。OCRはスキャニングによって画像として読み取った文字を解析し、テキストデータに変換する処理のことであり、紙媒体の文書をデジタル化する簡便な方法して使われてきた。現在でも、短い紙資料を簡便に読み取らせるために利用されている。ただし、手書きの文字は正しく解析できないなど、OCRで処理できない場合もある。
その後、コンピュータやネットワークの革新により、現代では、データや文書を最初からデジタル情報として作成・保管できるため、その収集・加工・編集は格段に容易になったと言える。今後の課題は、いかにしてそれらを加工・編集して戦略的な知恵にまで高められるかであり、そのためにはこれまで以上に情報に付加価値を付けることが要求される。
デジタル化の目的
ここでは、まず資料のデジタル化を行う目的についてまとめる。
①利活用の推進
紙媒体で作成された資料を、誰もが必要な時に利用できるようにするためである。現代のような高度情報化社会においては、情報は当初からデジタル情報として作成(ボーンデジタル)されることが多いため、それらと同じネットワーク上で公開されれば、合わせて利用することができる。また、歴史的に貴重な資料類が多く保存されている場合は、倉庫に眠ったままにしておくよりも、デジタル化して現在の社員に広く公開するほうが、事業活動の推進に貢献できると考えられる。ただし、企業図書館など著作権法第31条に該当しない図書館では、アーカイブのための複製は認められていないため、注意が必要である。
②ネットワーク上でのコミュニケーションの実現
ネットワーク化された環境のもとで、人々がコミュニケーションを行うためである。今日、親機関である企業はグローバルに活動しており、世界に点在する各部門とのやり取りは日常的になりつつある。そうした状況下では、時と場所を問わず、共通言語によっていつでもどこからでも情報の交換ができなければならない。
③原本の保存
原資料自体が貴重である場合には、原本の保存のためにデジタル化を行うこともある。これは特に、美術館や博物館などに附設されている専門図書館などで求められており、保存のために継続的にデジタル化か進められている。ただし、①同様、著作権法第31条に該当しない図書館では注意が必要である。
デジタル化の意義
続いて、紙媒体の文書等をデジタル化することの意義についてまとめる。
①利活用の拡大
紙媒体で保存されている限り、古くなるほど誰も見ようとしなくなり、まして利活用することはほとんどなくなる。デジタル化しネットワーク上で公開することによって、多くの人が利用できるようになる。
②保管スペース・コストの削減
長年の間に、組織には膨大な分量の印刷版資料が蓄積され、非常に多くのスベースを占有することがある。印刷版資料の作成にかかるコスト(用紙代、印刷代、印刷機器代など)や保管スペースにかかるコストは、相当な金額に上る。デジタル化により、保管スベースやコストを大幅に削減することが可能となる。
③検索性の向上
文書類の保管は、どれほど慎重に行っても必ずミスが生じる。いったん誤って保管された印刷版資料を探し出すことは、相当な手間と時間を要する。しかし、文書のデジタル化を行えば、ファイルに適切な名前を付けるだけで検索が容易になる。また、文書であればPDFにOCRデータを埋め込むことで、文書内の文字列を検索することも可能である。
④文書間の関係性の明瞭化
文書と文書の関係性を明瞭にできる。たとえば、文書間に引用関係があることを明確にすることで、点在する文書をっなげ、関係づけることができる。
デジタル化の方法
デジタル化の方法にはいくつかあり、対象資料と目的に応じて適切な方法を選択することが必要である。また、デジタル化のデータ形式には、テキスト、静止画像、音声、動画などさまざまなものが考えられるが、ここでは一般的に図書館で取り組むことが多い、静止画像の作成方法について説明する。これには、以下の3つの方法がある22)。
①フィルム撮影によるデジタル化
従来からのもっとも一般的な方法であり、以下の②③の方法に比べて、原対象を破損する恐れが少ない方法と言われている。また、中間作成物として、フィルム(通常はマイクロフィルム)が残り、デジタル資料の再作成の際に、原資料に再アクセスする必要がない。この方法は、これらの点がメリットである。
しかし、撮影とデジタル化の2回の作業を行うために、費用が高くなり作業の負担も大きくなる。さらに、撮影環境、機器やフィルムの種類により出来映えが異なり、不十分なデジタル資料になる心配もある。これらのことがデメリットである。一般には、この方法は原資料が貴重である場合や、デジタル資料を長期的に提供する必要がある場合に適していると言える。
②直接スキャンによるデジタル化
デジタル化の作業が1回で済み、費用が安価であることと、原資料の再現性が高いことなどがメリットである。ただし、撮影時に資料を破損する恐れがあることがデメリットであり、スキャン環境にも配慮が必要である。少量のデジタル資料を比較的安価に提供・公開するような場合に適した方法と言える。
③デジタルカメラ撮影によるデジタル化
この方法も上記②と同様で、作業が1回で済み、比較的安価であること、原資料の再現性が高いことなどがメリットである。また、デメリットも同様で、撮影時に資料を破損する恐れがあり、撮影環境への配慮も必要である。
資料のデジタル化
資料管理方法の変遷
かつて、コンピュータが普及していない時代は、紙媒体によるファイリング管理が成されていた。やがて1970年代に入り、オンライン情報検索が実施されるようになると、紙媒体の報告書を光ディスクに記憶させる文書管理システムの利用が進んだ。光ディスクとは、主として文書、図面、写真等の画像(イメージ)情報の保管・保存を目的に、情報の読み取り、登録、記録、検索、複写を行うシステムである。こうした動きが、社内情報データベース構築の始まりと言える。
このようにデータを光ディスクに蓄積し、データベースを構築する手法を、光ファイリングシステムあるいは光ファイルという。現在では、デジタル化か容易になったため、すでに使用されなくなっている。光ディスクに読み取る方式は、イメージ情報として記録されるため、別途、その画像情報の書誌情。報を作成して検索対象とする必要があった。なぜなら、当時はまだ報告書のコンテンツを直接検索できなかったからである。
また、光ファイリングシステムのようなシステムを導入しないまでも、紙媒体の文書をデジタル化して、コンピュータで編集可能とする手法としてOCR(Optical Character Recognition : 光学的文字認識、以下、OCR)がある。OCRはスキャニングによって画像として読み取った文字を解析し、テキストデータに変換する処理のことであり、紙媒体の文書をデジタル化する簡便な方法して使われてきた。現在でも、短い紙資料を簡便に読み取らせるために利用されている。ただし、手書きの文字は正しく解析できないなど、OCRで処理できない場合もある。
その後、コンピュータやネットワークの革新により、現代では、データや文書を最初からデジタル情報として作成・保管できるため、その収集・加工・編集は格段に容易になったと言える。今後の課題は、いかにしてそれらを加工・編集して戦略的な知恵にまで高められるかであり、そのためにはこれまで以上に情報に付加価値を付けることが要求される。
デジタル化の目的
ここでは、まず資料のデジタル化を行う目的についてまとめる。
①利活用の推進
紙媒体で作成された資料を、誰もが必要な時に利用できるようにするためである。現代のような高度情報化社会においては、情報は当初からデジタル情報として作成(ボーンデジタル)されることが多いため、それらと同じネットワーク上で公開されれば、合わせて利用することができる。また、歴史的に貴重な資料類が多く保存されている場合は、倉庫に眠ったままにしておくよりも、デジタル化して現在の社員に広く公開するほうが、事業活動の推進に貢献できると考えられる。ただし、企業図書館など著作権法第31条に該当しない図書館では、アーカイブのための複製は認められていないため、注意が必要である。
②ネットワーク上でのコミュニケーションの実現
ネットワーク化された環境のもとで、人々がコミュニケーションを行うためである。今日、親機関である企業はグローバルに活動しており、世界に点在する各部門とのやり取りは日常的になりつつある。そうした状況下では、時と場所を問わず、共通言語によっていつでもどこからでも情報の交換ができなければならない。
③原本の保存
原資料自体が貴重である場合には、原本の保存のためにデジタル化を行うこともある。これは特に、美術館や博物館などに附設されている専門図書館などで求められており、保存のために継続的にデジタル化か進められている。ただし、①同様、著作権法第31条に該当しない図書館では注意が必要である。
デジタル化の意義
続いて、紙媒体の文書等をデジタル化することの意義についてまとめる。
①利活用の拡大
紙媒体で保存されている限り、古くなるほど誰も見ようとしなくなり、まして利活用することはほとんどなくなる。デジタル化しネットワーク上で公開することによって、多くの人が利用できるようになる。
②保管スペース・コストの削減
長年の間に、組織には膨大な分量の印刷版資料が蓄積され、非常に多くのスベースを占有することがある。印刷版資料の作成にかかるコスト(用紙代、印刷代、印刷機器代など)や保管スペースにかかるコストは、相当な金額に上る。デジタル化により、保管スベースやコストを大幅に削減することが可能となる。
③検索性の向上
文書類の保管は、どれほど慎重に行っても必ずミスが生じる。いったん誤って保管された印刷版資料を探し出すことは、相当な手間と時間を要する。しかし、文書のデジタル化を行えば、ファイルに適切な名前を付けるだけで検索が容易になる。また、文書であればPDFにOCRデータを埋め込むことで、文書内の文字列を検索することも可能である。
④文書間の関係性の明瞭化
文書と文書の関係性を明瞭にできる。たとえば、文書間に引用関係があることを明確にすることで、点在する文書をっなげ、関係づけることができる。
デジタル化の方法
デジタル化の方法にはいくつかあり、対象資料と目的に応じて適切な方法を選択することが必要である。また、デジタル化のデータ形式には、テキスト、静止画像、音声、動画などさまざまなものが考えられるが、ここでは一般的に図書館で取り組むことが多い、静止画像の作成方法について説明する。これには、以下の3つの方法がある22)。
①フィルム撮影によるデジタル化
従来からのもっとも一般的な方法であり、以下の②③の方法に比べて、原対象を破損する恐れが少ない方法と言われている。また、中間作成物として、フィルム(通常はマイクロフィルム)が残り、デジタル資料の再作成の際に、原資料に再アクセスする必要がない。この方法は、これらの点がメリットである。
しかし、撮影とデジタル化の2回の作業を行うために、費用が高くなり作業の負担も大きくなる。さらに、撮影環境、機器やフィルムの種類により出来映えが異なり、不十分なデジタル資料になる心配もある。これらのことがデメリットである。一般には、この方法は原資料が貴重である場合や、デジタル資料を長期的に提供する必要がある場合に適していると言える。
②直接スキャンによるデジタル化
デジタル化の作業が1回で済み、費用が安価であることと、原資料の再現性が高いことなどがメリットである。ただし、撮影時に資料を破損する恐れがあることがデメリットであり、スキャン環境にも配慮が必要である。少量のデジタル資料を比較的安価に提供・公開するような場合に適した方法と言える。
③デジタルカメラ撮影によるデジタル化
この方法も上記②と同様で、作業が1回で済み、比較的安価であること、原資料の再現性が高いことなどがメリットである。また、デメリットも同様で、撮影時に資料を破損する恐れがあり、撮影環境への配慮も必要である。
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