goo

プルの力で世界を変える

『「PULL」の哲学』より

世界を変える戦略を構築する要素

 世界を変える戦略が成功するには、三つの要素が必要だ。世界を変えるビジョン、世界を変えるプラットフォーム、そして世界を変える行動と資産だ。ビジョンは向かっていく方向、つまり軌道を決め、プラットフォームは参加者にとってのレバレッジとなる。そして行動と資産は、進化を加速させるのに必要な人材やリソースだ。

世界を変えるビジョン:軌道

 最初のステップは、参加者の意識改革になる。金銭などのインセンティブに関係なく、参加者が自主的に大きな目標に向かっていくようになるかどうかは、彼らの意識を変えられるかどうかにかかっているだろう。

 まずは、明確で、説得力のある長期の目標をかかげることがカギになる。この目標によって、参加者すべての目指す方向がはっきりする。どんな行動やリソースが必要かがわかるので、間違った努力をする心配がない。それにビジョンがはっきりしていれば、目標を達成したときの報酬も、明確にイメージできるだろう。

 大きなビジョンなので、細部まで決めておかなくてもかまわないが、目の前に迫った難しい選択で、どちらかを選ぶ根拠になれるくらいには明確である必要がある。軌道とはあくまで目標であって、そこにいたる過程ではない。

レバレッジを作るプラットフォーム

 世界を変える戦略の二つ目の要素は、活動を行う場所となるプラットフォームだ。プラットフォームがあるおかげで、参加者は、少ない労力で最大限の効果を上げることができる。今のように先が見えない時代では、プラットフォームが提供してくれるレバレッジ効果が、とてもありがたい存在になるだろう。先が見えないと、労力や資金の投資にも臆病になってしまうが、プラットフォームがあれば少ない投資で最大限のリターンを得られる。

 プラットフォームが提供してくれるレバレッジには、たいていの場合二種類ある。一つは、開発のレバレッジだ。これがあると、製品やサービスを開発するときのコストを削減できる。開発のレバレッジは、テクノロジーの分野で活用されることが多い。たとえば、フェイスブックのプラットフォームは、ソフトウェア開発者が集まって、ウィジェットと呼ばれる簡易アプリを開発する場所として力を発揮している。

 そしてもう一つは、交流のレバレッジになる。大人数で協力して何かをしたい場合、プラットフォームを使えば、人を集めたり管理したりする労力がかなり削減できる。

 たとえばグーグルのアドセンスは、自分のサイトに広告を掲載して収入を得ることができるサービスなのだが、これも、広告主、サイトの持ち主、潜在的な顧客を結びつけるプラットフォームと言えるだろう。このプラットフォームの真の価値は、すべての流れの手順が決まっていて、誰でも簡単に利用できるところにある。これも、最小限の投資で最大限の効果を上げる一例だ。

加速するための行動と資産

 中心となって変化を起こす会社が持っている資産と、その会社が取る行動。これが、世界を変える戦略の三つ目の要素になる。

 どんなに説得力のあるビジョンも、どんなに優秀なプラットフォームも、中心の会社に成功する能力がないかもしれないという不安が消えなかったら、まったく役に立たなくなってしまう。逆に、参加者にとっては、中心の会社が力をつけすぎることも不安材料になる。いずれ自分のマーケットを奪われてしまうかもしれないからだ。

 ここで中心の会社が行わなければならないのは、どちらの心配もないと参加者に納得してもらうことだ。そのために、自分の行動と資産を活用することになる。ここで失敗して誰も集まってくれなかったら、せっかくのビジョンとプラットフォームがムダになってしまうだろう。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 個人が起こす... ソーシャルネ... »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。