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てらまち・ねっと



 一票の格差訴訟としての昨日の最高裁の判決、2年前に当時の状態を「違憲状態」とした大法廷が、その後の衆議院議員選挙の状態について、また「違憲状態」とした。
 本質的に制度改革しないままの一票の格差の著しい選挙について、最高裁が「違憲」ではなく「違憲状態」を2回続けたということは、
 「改めるポーズをとる今の状態の方向」なら良いでしょう、ということに他ならない。

 実際、どんなにひどい判決であるかは、国会側の次の言葉で明瞭。
  ★「読めば読むほど味の出る良い判決だ」(自民党幹部)
  ★「憲法違反ではないが、一票の格差が2倍を超えないように注意しろということだ」(同)
  ★「思ったより穏当だった」(公明党幹部) (以上は産経の記事)

 だから原告や弁護団は厳しい。
  ★「28日以降、全国14の高裁・支部で判決が言い渡される7月参院選の1票格差訴訟に触れ、『悪い影響を残すことになった』と危惧した」(時事)

 今日のブログでは、昨日の最高裁判決の全文にリンクし、一部抜粋しておく。
 なお、最高裁判決には、少数意見として反対意見や異論が記されることある。
 今回、「選挙は違憲で、今後の国会の動向いかんでは選挙無効がありえないではない」という意見もある。

 他、いくつかの報道の各界の意見などをまとめておく。

 ところで今日は、議会の全員協議会。
 先日来、一般質問の原案作成、そして27日の通告のために、関係課に調査依頼などしているけれど、今日あたりからは、その回答・結果などの確認作業もする。

(関連)
  ★ 2013年3月26日ブログ⇒ ◆「1票の格差」・戦後初の無効判決/筏津裁判長のこと/政治の放置、限界/今日は全国7つの裁判所で

  ★ 2013年3月26日ブログ⇒ ◆16訴訟で判決 違憲14件、合憲ゼロ/一票の格差/「最高裁は果断であれ」(東京新聞社説)

  ★ 2013年4月6日ブログ⇒ ◆昨日の毎日新聞(夕刊)「特集ワイド」/私のコメント関連が50行以上の記事に、写真付き

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●平成25年11月20日 最高裁判所大法廷 判決 / 広島高等裁判所の事件 
   ★   広島高等裁判所 平成25(行ツ)226 選挙無効請求事件 の 概要
平成25(行ツ)226 選挙無効請求事件  
平成25年11月20日 最高裁判所大法廷 判決 破棄自判 広島高等裁判所

事件番号 平成25(行ツ)226
事件名 選挙無効請求事件
裁判年月日 平成25年11月20日
法廷名 最高裁判所大法廷
裁判種別 判決 結果 破棄自判
原審裁判所名 広島高等裁判所 岡山支部
原審事件番号 平成24(行ケ)1
原審裁判年月日 平成25年03月26日

判示事項  裁判要旨 平成24年12月16日施行の衆議院議員総選挙当時において,
公職選挙法(平成24年法律第95号による改正前のもの)13条1項,別表第1の定める
衆議院小選挙区選出議員の選挙区割りは,前回の平成21年8月30日施行の衆議院議員総選挙当時と同様に
憲法の投票価値の平等の要求に反する状態にあったが,
憲法上要求される合理的期間内における是正がされなかったとはいえず,
上記各規定が憲法14条1項等の憲法の規定に違反するものということはできない

 ★ 大法廷判決の全文 / 広島高等裁判所 平成25(行ツ)226 選挙無効請求事件
 平成25年(行ツ)第226号 選挙無効請求事件
平成25年11月20日 大法廷判決

主 文
原判決を破棄する。
被上告人の請求を棄却する。

訴訟の総費用は被上告人の負担とする。

理 由
・・・・・

 (7ページ)
このような状況において本件選挙区割りの下で施行された本件選挙について,本
件区割規定が憲法に違反するとして各選挙区における選挙を無効とすることを求め
る選挙無効訴訟が8高等裁判所及び6高等裁判所支部に提起され,平成25年3月
6日から同年4月11日までの間に,本件の原判決を含む17件の判決が言い渡さ
れた。そのうち,2件の判決においては,平成23年大法廷判決において憲法の投
票価値の平等の要求に反する状態に至っているとされた本件選挙区割りにつき,憲
法上要求される合理的期間内における是正がされなかったとはいえず,本件区割規
定は憲法の規定に違反するに至っているとはいえないとされ,その余の判決におい
ては,憲法上要求される合理的期間内における是正がされなかったとして,本件区
割規定は憲法の規定に違反するに至っているなどとされた。

・・・

 (15ページ)
以上に鑑みると,本件選挙自体は,衆議院解散に伴い前回の平成21年選挙と同
様の選挙区割りの下で行われ,平成21年選挙より最大較差も拡大していたところ
ではあるが,本件選挙までに,1人別枠方式を定めた旧区画審設置法3条2項の規
定が削除され,かつ,全国の選挙区間の人口較差を2倍未満に収めることを可能と
する定数配分と区割り改定の枠組みが定められており,前記アにおいて述べた司法
権と立法権との関係を踏まえ,前記のような考慮すべき諸事情に照らすと,国会に
おける是正の実現に向けた取組が平成23年大法廷判決の趣旨を踏まえた立法裁量
権の行使として相当なものでなかったということはできず,本件において憲法上要
求される合理的期間を徒過したものと断ずることはできない。

(4) 以上のとおりであって,本件選挙時において,本件区割規定の定める本件
選挙区割りは,前回の平成21年選挙時と同様に憲法の投票価値の平等の要求に反
する状態にあったものではあるが,憲法上要求される合理的期間内における是正が
されなかったとはいえず,本件区割規定が憲法14条1項等の憲法の規定に違反す
るものということはできない。

投票価値の平等は憲法上の要請であり,1人別枠方式の構造的な問題は最終的に
解決されているとはいえないことは前記のとおりであって,国会においては,今後
も,新区画審設置法3条の趣旨に沿った選挙制度の整備に向けた取組が着実に続け
られていく必要があるというべきである。

(16ページ)
4 以上と異なる原審の判断には,憲法の解釈,適用を誤った違法がある。論旨
は理由があり,原判決は破棄を免れない。そして,以上説示したところによれば,
被上告人の請求は理由がないから,これを棄却することとする。

よって,裁判官大谷剛彦,同大橋正春,同木内道祥の各反対意見があるほか,裁
判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。なお,裁判官鬼丸かおるの意見が
ある。

裁判官鬼丸かおるの意見は,次のとおりである。
私は,多数意見の結論に賛同するものであるが,投票価値の平等及び国会の立法
裁量に関する考え方につき,多数意見と異にする部分があるので,以下に私見を述
べる。
・・・・・・(略)・・・



 ●平成25年11月20日 最高裁判所大法廷 判決 / 東京高等裁判所の事件 
  ★ 東京高等裁判所 平成25(行ツ)209 選挙無効請求事件 の 概要

原審裁判所名 東京高等裁判所 原審事件番号 平成24(行ケ)26
原審裁判年月日 平成25年03月26日

判示事項  裁判要旨 平成24年12月16日施行の衆議院議員総選挙当時において,
公職選挙法(平成24年法律第95号による改正前のもの)13条1項,別表第1の定める
衆議院小選挙区選出議員の選挙区割りは,
前回の平成21年8月30日施行の衆議院議員総選挙当時と同様に憲法の投票価値の平等の要求に反する状態にあったが,
憲法上要求される合理的期間内における是正がされなかったとはいえず,
上記各規定が憲法14条1項等の憲法の規定に違反するものということはできない

事件番号 平成25(行ツ)209
事件名 選挙無効請求事件
裁判年月日 平成25年11月20日
法廷名 最高裁判所大法廷
裁判種別 判決
結果 破棄自判

 ★ 大法廷判決の全文 / 東京高等裁判所 平成25(行ツ)209 選挙無効請求事件
平成25年(行ツ)第209号,第210号,第211号 選挙無効請求事件 平成25年11月20日 大法廷判決

 主 文
1 原審被告らの各上告に基づき,原判決を次のとおり変更する。
  原審原告らの請求をいずれも棄却する。
2 原審原告らの上告を棄却する。
3 訴訟の総費用は原審原告らの負担とする。

理 由
・・・・

 (15ページ)
 (4) 以上のとおりであって,本件選挙時において,本件区割規定の定める本件
選挙区割りは,前回の平成21年選挙時と同様に憲法の投票価値の平等の要求に反
する状態にあったものではあるが,憲法上要求される合理的期間内における是正が
されなかったとはいえず,本件区割規定が憲法14条1項等の憲法の規定に違反す
るものということはできない。

・・・・
以上の次第で,原審被告らの各上告に基づき,原判決を変更して,原審原告らの
請求をいずれも棄却するとともに,原審原告らの上告を棄却することとする。

 (17ページ)
よって,判示3について裁判官大谷剛彦,同大橋正春,同木内道祥の各反対意見
があるほか,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。なお,判示3につ
いて裁判官鬼丸かおるの意見がある。
裁判官鬼丸かおるの意見は,次のとおりである。
・・・・・


●1票の格差:昨年衆院選「違憲状態」、最高裁判決 選挙、無効は棄却 0増5減は「前進」
      毎日新聞 2013年11月21日
 ◇高裁段階から後退
 「1票の格差」が最大2・43倍だった2012年12月の衆院選を巡り、二つの弁護士グループが選挙無効を求めた16件の訴訟の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・竹崎博允(ひろのぶ)長官)は20日、「投票価値の平等に反する状態だった」と述べ、小選挙区の区割りを「違憲状態」と判断した。一方で「段階的に見直しを重ねて是正することも国会の裁量だ」と指摘し、請求は棄却した。選挙無効を含む14件の違憲判決が出た高裁段階と比べ、国会に対する厳しい姿勢は後退し、違憲の一歩手前でとどめた。

 大法廷は11年3月、最大格差が2・30倍だった09年選挙を違憲状態とした上で、47都道府県に1議席ずつ割り振って残りを人口比で配分する「1人別枠方式」の廃止を求めた。12年11月の衆院解散直前に同方式を廃止し、小選挙区を「0増5減」する選挙制度改革関連法が成立したが、区割りが間に合わず、格差が拡大したまま選挙が行われた。一方で、今年6月に決まった新区割りでは、格差は1・998倍(10年国勢調査の人口ベース)となり、法律(衆院選挙区画定審議会設置法)で求められる「2倍未満」となった。

 大法廷はこうした経緯について「選挙前に是正の実現に向けた一定の前進と言える法改正が成立した」と評価。「今後、格差2倍以上の選挙区が増える可能性が高く、1人別枠方式の構造的問題が最終的に解決したとは言えないが、段階的に見直しを重ねることも許容される」と述べ、国会の幅広い裁量権を認めた。

 さらに、大法廷は「違憲」か「違憲状態」かを分ける「是正に必要と認められる期間(合理的期間)を経過したか否か」の判断指針に初めて言及。「期間の長短だけでなく、是正措置の内容や検討事項などの事情を総合考慮すべきだ」と指摘し、昨年の衆院選時点で合理的期間を過ぎていたとは言えないとした。

 違憲状態と結論づけたのは竹崎裁判長ら11人。大谷剛彦裁判官ら3人は「選挙無効とはしないが違憲だ」と反対意見を述べた。関連法の国会審議の際に内閣法制局長官だった山本庸幸(つねゆき)裁判官は審理に加わらなかった。【和田武士】

 ◇厳粛に受け止める−−安倍首相
 安倍晋三首相は20日、昨年12月の衆院選を違憲状態とした最高裁の判断を受け「判決を厳粛に受け止めている。これから判決内容を精査していきたいと思っている」と述べた。首相官邸で記者団の質問に答えた。【水脇友輔】

==============
 ■ことば
 ◇違憲状態
 選挙区間の「1票の格差」を巡る訴訟で、最高裁は(1)「法の下の平等」を定める憲法に照らして格差が著しく不平等と言えるか(2)不平等を是正するために必要と認められる期間(合理的期間)を経過しているか−−の2段階で違憲性を判断してきた。格差が著しく不平等な状況が「違憲状態」で、合理的期間内に是正されなければ「違憲」とされる。

●【一票の格差】「一定の前進」評価も…3裁判官が「違憲」指摘
     産経 2013.11.20 21:29
 昨年12月の衆院選をめぐる最高裁判決は、格差是正に向けた国会の取り組みの“質”を重視。「一票」の重みに格差があったことを認めつつも、解散当日に駆け込み的に成立した緊急是正法を「一定の前進」と評価し、現行制度で初となる「違憲」判断までは踏み込まなかった。

ただ、最高裁裁判官3人が「違憲」と指摘するなど、国会の姿勢への疑問も残る。次期選挙を見据えた選挙制度改革が急務となりそうだ。

 判決は従来の「一票の格差」訴訟と同様、(1)著しい不平等状態にあるか(2)是正のための合理的期間を経過したか-の2段階で判断。昨年の選挙は、最高裁が平成23年に「違憲状態」と指摘した区割りのまま行われたため、事実上の争点は(2)で、23年判決から選挙までの約1年9カ月間が「合理的期間」にあたる。

 この点の判断にあたり、最高裁は今回の判決である判断基準を示している。

 判断にあたっては、合理的期間の長短だけでなく、是正のために採るべき措置の内容▽そのために検討を要する事項▽実際に必要となる手続きや作業等の諸般の事情-を総合考慮するとしている。
つまり、努力の中身に着目するということで「司法判断の趣旨を踏まえた立法裁量権の行使として相当」と言えれば、「違憲状態」にとどまるというものだ。

 今回は、(1)解散当日に緊急是正法が成立したこと(2)選挙後とはいえ議員の本来の任期(8月)までに区割り改定法が成立したことが「努力」と評価された。

 ただ、この点について裁判官の意見は割れている。

 大橋正春裁判官は「23年判決直後から真摯(しんし)な努力をしていれば、約1年9カ月の間に区割り規定を改正することは可能だった」として「違憲」と主張。木内道祥裁判官は「選挙は違憲で、今後の国会の動向いかんでは選挙無効がありえないではない」と言及した。

 慶応大の曽根泰教教授は「合意形成の難しさに配慮するなど、国会に対して甘いという印象も受ける」と指摘。「政治家が努力している姿を見せれば違憲にはならない、と解釈される可能性もある」と懸念する。


●衆院選「違憲状態」も「有効」 判決に議員らは…
                   テレ朝 (11/20 17:57)
去年、行われた総選挙の「1票の格差」を巡って、最高裁は違憲状態と判断しました。永田町の反応はどうだったのでしょうか。

 (政治部・安西陽太記者報告)
 前回、大勝した安倍政権としては、選挙が有効と認定されたことに安堵感(あんどかん)が広がっています。
 自民党・石破幹事長:「司法と立法との関係というものに、よく配慮した判決であり、私どもは、その意図をさらに強く受け止めて、これから先、さらなる是正に向けて前進していかなければいけない」

 最高裁の判決では、違憲状態と判断したものの、0増5減などの取り組みを一定の前進と評価しています。
しかし、都道府県の人口に関係なく、あらかじめ1議席を割り当てる「1人別枠方式」については、0増5減の法律のなかで解決済みという位置づけですが、事実上、その制度が残っているため、構造的な問題が最終的に解決されているとはいえないと厳しい判断が下されました。

与野党間では、1年以上、定数削減も含めた抜本改革の議論をしていますが、全く折り合っていません。国会はいつ、重い腰を上げるのか。安堵感に浸っている余裕はありません。

●是正に熱意薄い政府・与党 野党は依然バラバラ
              産経 2013.11.21 00:48
 昨年12月の衆院選を「違憲状態」とした最高裁の判決を受け、安倍晋三首相は20日、官邸で記者団に「判決を厳粛に受け止めている。これから判決内容を精査したい」と語った。ただ判決が、直ちに選挙制度改革を必要とする「違憲」とならなかったことで政府・与党の制度改正に向けた熱意は薄い。抜本改革を叫ぶ野党も具体案はバラバラのままで、実現に向けた戦略を欠いているのが実情だ。(小田博士、村上智博)

 「読めば読むほど味の出る良い判決だ」

 自民党の細田博之幹事長代行は20日夕、党本部で記者団に笑みを浮かべた。


 最高裁は「投票価値が合理的期間内に是正されなかったとはいえない」と判断。選挙区定数を「0増5減」させる緊急是正法などの国会側の取り組みに一定の評価を下したからだ。

 細田氏は得意顔で「憲法違反ではないが、一票の格差が2倍を超えないように注意しろということだ」と判決文を解説する余裕を見せた。

 与党側は「予想した通りだ」(自民党幹部)、「思ったより穏当だった」(公明党幹部)などと安堵(あんど)の表情を見せる。最高裁判決が選挙区定数「0増5減」の改革を否定する「違憲」となった場合には、早急に与野党協議を始め、抜本改革の成案を得なければならなかったためだ。

これに対し、野党側は選挙制度改革の実現に向け攻勢を強める考えだ。民主党の岡田克也政治改革・国会改革推進本部長は20日、「最高裁の注文を真摯(しんし)に受け止め、一票の価値の平等化をはかる」とし、選挙区区割りの全面的な見直しを主張した。

 とはいえ、野党の足並みはそろっていない。民主党は10月以降、他の野党を差し置く形で、自公両党と3党協議を進めている。日本維新の会などからは「立法府全体で議論すべきだ」(松野頼久国会議員団幹事長)と民主党への不快感が漏れる。改革の具体案でも、民主党や維新の会が現行制度をベースとした定数削減を求める一方、みんなの党や共産党は小選挙区制廃止を求めている。

 制度改革実現の転機となりうるのは来年4月の消費税増税だ。「国会議員の身を切る改革」として定数削減を求める世論が巻き起こる可能性もある。そもそも、首相は衆院解散が決まった昨年11月の党首討論で定数削減を約束している。

 今後の政治日程では、平成28年7月の衆参ダブル選挙が予想されている。現行制度をベースに改革する場合でも、選挙区定数を削減するのであれば、さらなる区割り改定作業は必要だ。その後の周知期間などを踏まえると、遅くとも1年前となる27年夏頃には法改正をしなければならない。

 自民、公明、民主の3党は22日に今後の対応を協議する。ただ、判決に対する受け止め方は各党の思惑を反映して大きく割れており、議論が進展する兆しはない。

 「第三者か、しかるべきところに任せる決断をしない限り、決着はつかない」。伊吹文明衆院議長は20日の記者会見で、各党の党利党略にこうくぎを刺した。

●「大幅後退」「がっかり」=弁護士グループ、落胆の色—衆院選無効訴訟
           うおる 2013年 11月 20日 21:30
「大幅後退だ」。2012年衆院選を違憲状態とした最高裁判決を受け、原告の二つの弁護士グループが相次いで記者会見し、一様に落胆の表情を浮かべた。

 「がっかり。また繰り返したなというのが本音」。長年にわたり選挙無効訴訟に関わってきた山口邦明弁護士は第一声でそう話し、肩を落とした。無効を含め14の高裁判決が「違憲」と判断したのに、最高裁が違憲状態にとどめたことに「大変遺憾」といら立ちを見せ、「格差是正に向け前に進んできているとの実感があったが、あの流れは止まったのか。さらに一歩進むと期待していたのに」と憤った。

 戦後初の違憲無効判決が出た広島高裁での訴訟で、原告だった金尾哲也弁護士は「またもや国会の違憲行為を追認した。絶望的な気持ちにならざるを得ない」と厳しく批判。
28日以降、全国14の高裁・支部で判決が言い渡される7月参院選の1票格差訴訟に触れ、「悪い影響を残すことになった」と危惧した。 
[時事通信社]

●1票の格差:昨年衆院選「違憲状態」 最高裁判決 識者の話
          毎日新聞 2013年11月21日 
 ◇0増5減お墨付き−−曽根泰教・慶応大教授(政治学)の話
 立法府の合意形成の難しさなど政治事情を考慮しすぎ、切れ味の鈍い判決になった。司法は一貫して投票価値の平等を重視しているのに、この判決では「0増5減」による新しい区割りが決まった現状を「違憲状態を脱した」とお墨付きを与えてしまう。これでは政治家が危機意識を持たない。無効判決は現実的でないにしても、格差是正に向けた立法への強いメッセージが盛り込まれるべきだった。

 ◇国会への温情判決−−元最高裁判事の福田博弁護士の話
 国会に対する温情判決だ。国会議員は今の選挙制度で当選した利益者代表であって、投票価値の平等を実現する自浄作用はない。国会が自ら判断できないから訴訟になっているのに、司法は正面から向き合わなかった。この問題で国会の裁量権を司法が許している限り、民主主義は著しく損なわれたままになる。憲法違反と言い切った上で、国政への混乱が大きすぎるから無効とはしないと言えば良かった。

 ◇久々怒りふつふつ−−作家の高村薫さんの話
 久しぶりにふつふつと頭にきた。最高裁が2011年3月に、(09年の衆院選を)「違憲状態」と判断してから、国会が1票の格差是正に向けて努力してきたとはとても思えない。小選挙区の定数を「0増5減」し、十分だと開き直っている感さえあった。違憲判断が当然なのに、最高裁はなぜ政治を擁護するのか。選挙制度の根幹に関わる問題であり、私たち有権者はもっと神経をとがらせるべきだ。

●衆院選「違憲判決を」=泉・元最高裁判事
      時事(2013/11/17-15:01)
 2012年衆院選をめぐる1票の格差訴訟の最高裁判決を前に、元最高裁判事の泉徳治弁護士は取材に応じ、「選挙の不平等を是正するための合理的期間が過ぎていないとは言い難い。違憲判決を出すべきだ」と述べた。

 泉元判事は、最高裁が11年の判決で廃止を求めた、各都道府県にあらかじめ1議席ずつ割り振る「1人別枠方式」に言及。「1人別枠方式が駄目ということは、人口に比例した定数配分をしなければいけないということだ」とし、「そのためには21増21減が必要で、0増5減では不十分だ」と話した。

 一方で、「どこまで是正すべきかを最高裁が言って来なかったから、少しずつしか是正されていない。この点は最高裁も反省すべきだ」と指摘。「判決理由の中で、『1人別枠方式を廃止し、人口比例配分をしなければ違憲』と書くべきだ」と注文を付けた。

 違憲状態とされる可能性については、「人口比例配分が実現する見通しが立っているならあり得るが、党の利害が対立して動きが遅く、道筋は見えてこない」と国会の対応を批判した上で、「これで違憲状態と判断したら、前の判決との整合性が保てず、最高裁の威信に関わる」との見方を示した。




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