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てらまち・ねっと



 昨日の最高裁判決。
 滋賀県の行政委員の月額報酬は違法とした地裁、高裁の判決を覆した。
 理由の趣旨は、「いくらにするか、あるいは月額にするか日額にするかは行政や議会の裁量」 というもの。
 行政や議会のやり放題、あるいは無策を追認するというしかない。

 補足意見で、「裁量権は無限定ではなく・・合理的限界が存する」として歯止めはかけたけれど。

 私たちが岐阜地裁で続けている岐阜県の行政委員の住民訴訟は、奇しくも、最高裁判決の前日の一昨日15日に結審。
 法廷で、裁判長から「判決言い渡しは3月14日 午後1時10分から」と告げられた。

 裁判長の訴訟の進め方から、来る1月ごろには、あっさりと蹴るつもりかと見ていたので、判決を3月まで先決延ばししたのは意外だった。
 
 今日のブログは、新聞記事のいくつかを記録してから、
 昨日の最高裁判決にリンクし、過半を転記しておく。

 ところで、昨日、新聞記者からの電話で上記判決について問われて、述べた意見が社会面に使われていた。

 中日新聞12月16日朝刊 ⇒
 岐阜県のことについての記事部分。↓

「今年4月に教育、選管、人事など5委員会で日額制を導入。
 昨年度まで月に1~2日の勤務で10万から20万円を支払っていたが、出勤した日に日額3万2900円とした。
    ・・・
 県の担当者は最高裁の初判断を『県の主張に沿った内容』と評価。
 市民団体側は『納税者の訴えを受けた地裁と高裁の判断を最高裁が覆すのは、住民監査制度を骨抜きにする』と批判した」



 (関連エントリー) 2011年12月11日ブログ ⇒  ◆行政委員(滋賀県)の月額報酬の差し止め判決/最高裁は12月15日に判決/高裁判決見直しか


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●行政委員の月額報酬「適法」=住民側の逆転敗訴確定―最高裁
          朝日 2011年12月15日19時6分
 滋賀県が非常勤の行政委員に毎月一定額の報酬を支払っているのは違法だとして、住民が知事を相手に支出差し止めを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(横田尤孝裁判長)は15日、支出差し止めを命じた一、二審判決を破棄し、請求を退けた。住民側の逆転敗訴が確定した。

 同小法廷は「行政委員の報酬は議会の裁量権に基づく判断に委ねられている」とする初判断を示した。その上で、「形式的な登庁日数のみでは勤務の実質を評価できない」と述べ、月額報酬を定めた条例の規定が特に不合理とは言えず、適法だと結論付けた。  [時事通信社]

●非常勤行政委員:月額報酬は「適法」…最高裁が初判断
       毎日新聞 2011年12月15日 
 選挙管理委員など自治体の非常勤行政委員に、勤務日数に関係なく月額報酬を支払うことの違法性が争われた訴訟の上告審で、最高裁第1小法廷(横田尤孝裁判長)は15日、「非常勤職員への支払い方法は、自治体の事情を知る議会の裁量権に委ねられている」として適法との初判断を示した。その上で月額報酬の支払い差し止めを認めた2審・大阪高裁判決(10年4月)を破棄し、原告の請求を棄却した。

 滋賀県が条例で労働、収用、選挙管理の各委員を月額報酬としていたことに、同県の吉原稔弁護士が差し止めを求めていた。1審は勤務実態が常勤と異ならない場合のみ例外を定めることができるとし、差し止めを認め、2審も選管委員長への支出を除き1審を維持した。

 地方自治法は、非常勤行政委員への報酬を勤務日数に応じて支給すると定める一方、自治体が条例で違う規定を定めた場合は例外としている。【石川淳一】

●滋賀・選管委員報酬訴訟、県が逆転勝訴
        (2011年12月15日23時25分 読売新聞)
 行政委員」の記事をお探しですか?最新関連記事が 20+ 件 あります。 滋賀県が選挙管理委員会委員らの報酬を勤務日数に関係なく月額で支給するのは地方自治法違反だとして、吉原稔弁護士(滋賀弁護士会)が嘉田由紀子知事に支出の差し止めを求めた訴訟の上告審で、最高裁第1小法廷(横田尤孝裁判長)は15日、選管委員長を除く各委員について支出の差し止めを命じた2審・大阪高裁判決を破棄し、原告の請求を退ける判決を言い渡した。

 原告の逆転敗訴が確定した。

 同小法廷はまず、「非常勤職員の月額報酬制が違法かどうかは職務の内容や負担などを考慮して判断すべきだ」との初判断を示した。その上で、選管などの行政委員会について、「首長から独立し最終的な責任を負う立場にある」と評価。

 選管の業務には一定の専門性が求められ、平均登庁実日数(2003~08年度)が月1・89日にとどまるとしても、「登庁日以外にも実質的な勤務が必要」として、月額約20万円の報酬が違法とは言えないと結論づけた。

●行政委月額報酬 適法 県「主張認められた」
       (2011年12月16日 読売新聞)
日額制拡大も 原告、判決を批判
 県の非常勤の行政委員に勤務日数に関係なく月額報酬を支出するのは地方自治法違反とした1審・地裁、2審・大阪高裁の両判決が覆され、最高裁第1小法廷(横田尤孝裁判長)で「月額報酬が違法とは言えない」との判決が言い渡された15日、県の関係者からは「主張が認められた」と納得の声が聞かれ、原告側は「不当な判決だ」と批判した。一方で、地裁判決を受けて行政委員報酬の見直しが全国でも相次ぎ、県内でも県や大津市で報酬制度が改定されるなど、訴訟は一定の成果を上げた。

■県
 地裁は2009年1月、「勤務実態は常勤職員と異ならないといえない」などとし、労働、選挙管理、収用の各行政委員の月額報酬を違法と判断。10年4月の大阪高裁判決も、選管委員長以外は違法とした。

 県は「行政委員の報酬は議会の裁量権に基づく判断に委ねられる」と主張し、同年5月に上告。一方で、学識者らによる外部検討委を設置し、行政委員の報酬制度の見直しを検討した。

 外部検討委は「申し立てごとに審議する収用、労働の両委員は日額制が適正」と報告。県は今年4月、両委員の報酬を日額制に改めた。県の調査では、地裁判決以降、同年8月までに全国29道府県で報酬制度の改定が進んだという。

■大津・守山
 大津市では11月、市長の諮問機関「特別職報酬等審議会」が非常勤の5行政委員の報酬を日額制にするよう答申した。答申に沿った関連条例案が、16日の市議会で可決される見通しだ。北川義治・総務部長は「審議会の慎重な議論に基づく判断だ」とし、予定通り改定する意向を示した。

 守山市は5行政委員の報酬が月額制で、月7万9700円~5000円。9月市議会で特別職報酬等審議会条例改正案が可決され、非常勤の行政委員の報酬も議論できるようになった。

 市の担当者は「最高裁判決についてコメントする立場にないが、報酬のあり方は議論する」としており、年内にも審議会を開いて、判決や県内他市の動向なども踏まえて検討する。

     ◇
 大津市特別職報酬等審議会で会長を務めた同志社大政策学部長の真山達志教授(行政学)は「当然の判決だ。報酬制度について『議会の判断に委ねる』ということで、月額制か日額制かを判断するのとは次元の違う話」と評価する。

 吉原稔弁護士(滋賀弁護士会)は「条例改正が進んだ現実に逆行する判決で不当だが、1審・地裁判決を受け、全国の自治体が改正に動いた点では満足している」と話している。


●最高裁判例

最高裁判例
事件番号 平成22(行ツ)300 事件名 公金支出差止請求事件
裁判年月日 平成23年12月15日 法廷名 最高裁判所第一小法廷
裁判種別 判決
原審裁判所名 大阪高等裁判所 原審事件番号 平成21(行コ)32 原審裁判年月日 平成22年04月27日

判示事項  裁判要旨 滋賀県選挙管理委員会の委員(委員長を除く。)の報酬を月額20万2000円とする旨の滋賀県条例の定めが地方自治法203条の2第2項に違反しないとされた事例


判決全文

主 文
1 原判決中第1審被告敗訴部分を破棄し,同部分につき第1審判決を取り消す。
2 前項の部分につき,滋賀県労働委員会及び滋賀県収用委員会の各委員の月額報酬に係る公金の支出の差止めを求める訴えを却下し,第1審原告のその余の訴えに係る請求を棄却する。
3 本件附帯上告を棄却する。
4 訴訟の総費用は第1審原告の負担とする。


理 由
第1 事案の概要
本件は,滋賀県の住民である第1審原告が,滋賀県特別職の給与等に関する条例(昭和28年滋賀県条例第10号。平成23年滋賀県条例第17号による改正前のもの。以下「本件条例」という。)の規定のうち滋賀県労働委員会,滋賀県収用委員会及び滋賀県選挙管理委員会の各委員に月額制の報酬を支給することを定める規定が地方自治法(以下「法」という。)203条の2第2項に反する違法,無効なものであると主張して,第1審被告に対し,法242条の2第1項1号に基づき上記報酬に係る公金の支出の差止めを求める事案である。

第2 上告代理人飯田和宏の上告理由について
民事事件について最高裁判所に上告をすることが許されるのは,民訴法312条1項又は2項所定の場合に限られるところ,本件上告理由は,違憲をいうが,その実質は単なる法令違反を主張するものであって,上記各項に規定する事由のいずれにも該当しない。

第3 附帯上告人の附帯上告理由について
民事事件について最高裁判所に上告をすることが許されるのは,民訴法312条1項又は2項所定の場合に限られるところ,本件附帯上告理由は,違憲をいうが,その実質は単なる法令違反を主張するものであって,上記各項に規定する事由のいずれにも該当しない。

第4 職権による検討
記録によれば,月額報酬制を採っていた平成23年3月分までの滋賀県労働委員会及び滋賀県収用委員会の各委員(会長を含む。以下同じ。)の報酬は,既に全額が支給されていることが認められる。さらに,本件条例の規定は,平成23年滋賀県条例第17号により改正され,上記各委員会に関しては,それぞれ勤務日数1日につき,会長に各2万7800円,それ以外の委員に各2万4700円の報酬を支給する日額報酬制を採ることとされ,上記改正条例は平成23年4月1日から施行されているところである。
以上によれば,滋賀県が将来において滋賀県労働委員会及び滋賀県収用委員会の各委員について月額報酬に係る公金を支出する蓋然性は存しない。そうすると,上記各委員会については,法242条の2第1項1号に基づ
く差止めの対象となる行為が相当程度の確実さをもって予測されるとはいえないことが明らかである。
したがって,第1審原告が第1審被告に対し滋賀県労働委員会及び滋賀県収用委員会の各委員の月額報酬に係る公金の支出の差止めを求める訴えは,不適法というべきである。


第5 上告代理人飯田和宏の上告受理申立て理由(前記第4の訴えに係る部分を除く。)について

1 原審の適法に確定した事実関係等の概要は,次のとおりである。
(1) 昭和31年法律第147号による改正(以下「昭和31年改正」という。)前の地方自治法は,普通地方公共団体の議会の議員,委員会の委員等の普通地方公共団体の非常勤の職員に対しては報酬及び費用弁償を支給し(同法203条1項,2項),普通地方公共団体の常勤の職員に対しては給料及び旅費を支給し(同法204条1項),これらの額及び支給方法については条例で定めることとしていた(同法203条3項,204条2項)。

(2) 昭和31年改正において,閣議決定を経て国会に提出された当初の法律案(以下「政府案」という。)は,同改正前の地方自治法203条1項の次に2項として,単に「前項の職員の中議会の議員以外の者に対する報酬は,その勤務日数に応じてこれを支給する。」との規定を新設するというものであったが,衆議院地方行政委員会における政府案についての審議では,いわゆる行政委員会の委員を念頭において上記規定を設けることに反対する趣旨の質問が複数の議員からされるなどし,上記規定に「但し,条例で特別の定をした場合は,この限りでない。」とのただし書を加える修正案が議員により提出された。そして,上記修正を加えた内容で地方自治法の一部を改正する法律案が可決されて成立した。

(3) 昭和31年改正によって新設された上記修正後の上記規定は,平成20年法律第69号による改正により,法203条の2第2項として規定されることとなった。

(4) 本件条例4条及び別表2は,法203条の2第2項ただし書に基づく特別の定めとして,滋賀県選挙管理委員会の委員長以外の委員(以下「本件委員」という。)の報酬について,月額制を採りその月額を20万2000円とする旨を定めている(以下,この規定を「本件規定」という。なお,平成23年滋賀県条例第17号により,その月額は17万8000円に減額された。)。

(5) ・・・・・・(略)・・・

原審は,上記事実関係等の下において,要旨,次のとおり判断して,本件委員の月額報酬に係る公金の支出の差止めを求める第1審原告の請求を認容すべきものとした。

(1) 本件委員の報酬については,その職務の内容・性質,勤務態様,地方の実情等に照らし,法203条の2第2項本文の日額報酬制の原則によらずに月額報酬制を採ることを相当とするような特別な事情があるかどうかを検討し,本件規定が同項本文の原則に矛盾抵触して著しく妥当性を欠く状態になっており,そのような状態が相当期間内に是正されていないといえる場合には,本件委員について月額報酬制を定める本件規定は,議会の裁量権の範囲を逸脱するものとして,同項に違反し違法,無効となるというべきである。

(2) 本件委員の平均登庁実日数は1.89日であり,これを基にした1日当たりの報酬は国における非常勤の職員に係る報酬の上限の3.02倍になるというのであり,登庁実日数に係る勤務以外にも実質的に勤務を要することがあり得ることを考慮しても,本件委員につき月額報酬制を採ることを相当とする特別な事情があると認めることは困難であって,本件委員について月額報酬制を採る本件規定は,法203条の2第2項本文の原則に矛盾抵触して著しく妥当性を欠く状態になっており,そのような状態が平成15年度以降継続し,既に是正のために必要な相当期間が経過していると認めるのが相当であるから,議会の裁量権の範囲を逸脱するものとして,同項に違反し違法,無効というべきである。

しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次のとおりである。

(1) 法203条の2第2項ただし書は,普通地方公共団体が条例で日額報酬制以外の報酬制度を定めることができる場合の実体的な要件について何ら規定していない。また,委員会の委員を含め,職務の性質,内容や勤務態様が多種多様である普通地方公共団体の非常勤の職員(短時間勤務職員を除く。以下「非常勤職員」という。)に関し,どのような報酬制度が当該非常勤職員に係る人材確保の必要性等を含む当該普通地方公共団体の実情等に適合するかについては,各普通地方公共団体ごとに,その財政の規模,状況等との権衡の観点を踏まえ,当該非常勤職員の職務の性質,内容,職責や勤務の態様,負担等の諸般の事情の総合考慮による政策的,技術的な見地からの判断を要するものということができる。

このことに加え,前記1(2)の昭和31年改正の経緯も併せ考慮すれば,法203条の2第2項は,普通地方公共団体の委員会の委員等の非常勤職員について,その報酬を原則として勤務日数に応じて日額で支給するとする一方で,条例で定めることによりそれ以外の方法も採り得ることとし,その方法及び金額を含む内容に関しては,上記のような事柄について最もよく知り得る立場にある当該普通地方公共団体の議決機関である議会において決定することとして,その決定をこのような議会による上記の諸般の事情を踏まえた政策的,技術的な見地からの裁量権に基づく判断に委ねたものと解するのが相当である。

したがって,普通地方公共団体の委員会の委員を含む非常勤職員について月額報酬制その他の日額報酬制以外の報酬制度を採る条例の規定が法203条の2第2項に違反し違法,無効となるか否かについては,上記のような議会の裁量権の性質に鑑みると,当該非常勤職員の職務の性質,内容,職責や勤務の態様,負担等の諸般の事情を総合考慮して,当該規定の内容が同項の趣旨に照らした合理性の観点から上記裁量権の範囲を超え又はこれを濫用するものであるか否かによって判断すべきものと解するのが相当である。

(2) 本件における上記の諸般の事情のうち,まず,職務の性質,内容,職責等については,・・・・・(略)・・・

その委員の資格についても,・・・・・(略)・・・
そして,滋賀県選挙管理委員会の業務も,前記1(5)のとおり,国会及び県議会の議員並びに県知事の選挙の管理という重要な事項に関わるものを中心とする広範で多岐にわたる業務であり,公正中立性に加えて一定の専門性が求められるものということができる。

また,勤務の態様,負担等については,本件委員の平均登庁実日数は1.89日にとどまるものではあるものの,前記1(5)のように広範で多岐にわたる・・・・・・・(略)・・・

さらに,上記のような業務の専門性に鑑み,・・・・・・(略)・・・

以上の諸般の事情を総合考慮すれば,本件委員について月額報酬制を採りその月額を20万2000円とする旨を定める本件規定は,その内容が法203条の2第2項の趣旨に照らして特に不合理であるとは認められず,県議会の裁量権の範囲を超え又はこれを濫用するものとはいえないから,同項に違反し違法,無効であるということはできない。

4 これと異なる原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり,論旨は理由がある。

第6 結論
以上説示したところによれば,原判決のうち第1審被告敗訴部分は破棄を免れず,同部分につき第1審判決を取り消し,本件訴えのうち前記第4の訴えを却下し,第1審原告のその余の訴えに係る請求を棄却すべきであり,本件附帯上告は棄却すべきである。
よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。

なお,裁判官横田尤孝の補足意見がある。
裁判官横田尤孝の補足意見は,次のとおりである。

事案に鑑み,若干の意見を述べる。
選挙管理委員会等の行政委員会の委員を含む普通地方公共団体の非常勤職員に対する報酬の在り方は,地方公共団体内部の組織の在り方の一部をなす事項であり,地方公共団体の自治組織権に含まれるものであって,本来的には地方公共団体の自主的な決定によるのが相当な事柄であるといえる。

地方自治法(以下「法」という。)の昭和31年改正の趣旨は,このような事柄の性質も踏まえた上で,非常勤職員の報酬制度について,地方公共団体の非常勤職員には本件のような行政委員会の委員のほかに審議会の委員,投票管理者,選挙立会人など様々な者が含まれるという前提の下,その職務内容,勤務実態等について最もよく知り得る立場にありその住民によって民主的に選挙されて当該地方公共団体の意思を決定し得る機関である地方公共団体の議会の政策的な判断に委ねたものと解されるのである。

したがって,地方公共団体は,各非常勤職員の勤務日数・時間(登庁日以外の実質的な仕事の負担・対応を含む。)のみならず,職務の性質,権限の性質・内容,職責,選任されることにより受ける各種の制約,人材を確保するための報酬額の在り方,その他当該地方公共団体の財政規模とその状況等の諸般の事情を総合考慮して,自主的に条例で定めることができるものというべきである。

このように,法は,いかなる非常勤職員について,その報酬の支給を日額報酬制以外のいかなる方法をもってするかについて,地方公共団体の議会に裁量権を付与したものと解するのが相当であるが,他方,地方公共団体の議会の裁量権は無限定ではなく,報酬というものの性質や法203条の2第2項ただし書が地方公共団体の議会に裁量権を与えた趣旨等からする合理的限界が存するのは当然のことというべきである。

この点に関し,原判決は,「今日では,多くの地方公共団体において財政的困難に直面し,首長等が法や条例で規定されている給与を一部カットする非常措置をとったり,職員の給与に減額措置をとるような状況に立ち至っていることは周知の事実である。また,一般にも,より適正,公正,透明で,説明可能な行政運営が強く求められる社会状況になって」いると判示しているところ,その状況認識・指摘自体は妥当なものと思われる。

また,被上告人の主張によれば,本件の1審判決後少なからざる地方公共団体において行政委員会の委員の月額報酬条例が日額報酬制に改正されているとのことであり,滋賀県においても,同県労働委員会及び収用委員会の各委員(会長を含む。)について,平成23年4月1日から,それまでの月額報酬制を日額報酬制に変更しているところである。

このような社会状況の変化等にも鑑みると,地方公共団体にあっては,当該地方公共団体における非常勤職員の報酬制度につき,報酬額の水準等を含め,法203条の2第2項の趣旨にのっとった適正,公正で住民に対して十分に説明可能な合理的内容のものとなるよう,前記考慮事情を踏まえながら適切かつ柔軟に対応することが望まれる。
(裁判長裁判官 横田尤孝 裁判官 宮川光治 裁判官 櫻井龍子 裁判官金築誠志 裁判官 白木 勇)


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