古稀の青春・喜寿傘寿の青春

「青春は人生のある時期でなく心の持ち方である。
信念とともに若く疑惑とともに老いる」を座右の銘に書き続けます。

総理大臣の読書

2008-12-10 | 経済と世相
内閣の支持率が急落していると、マスコミが報じています。 

作家の林眞理子さんが、週刊文春の11月20日号に書いていました。

【オバマさんの勝利宣言の演説はすばらしかった。言葉ひとつひとつが、後に教科書に載りそうな深い意味と重みがある。

 言ってもせんないことであるが、哲学を持っている人と持っていない人との違いであろうか。

 この前まで読書週間であったのではっきり言わせてもらうが、哲学を持てるか持てないかはただひとつ、本を読んでいるかどうかにかかっている。一国の首相が漫画が大好きと公言し、・・・嗜好品としての漫画以外にも、主食の本をたっぷり読んでのお言葉ならともかく、あの方、本当に本を読んでなさそうだものな。

 歴代の総理大臣では、大平正芳さんが大変な読書家として有名だったようだ。・・・「うー」とか「あー」といった口下手の印象が強いが、お話になることはちゃんとそれなりの重みがあったと記憶している。

 それが今じゃ、アキバの漫画好き自慢である。あちらの新大統領と比べて、やり切れない淋しい気持ちになったのは私だけではあるまい。】

 以上は、真理子さんの意見ですが、小生はこう思います。

 何故、首相は本を読まないといけないか?首相に限らず、たとえば企業の社長・会長も組織の長たるべき人は是非本を読んで欲しいのです。

 以下、小生の独断と偏見の読書論。

 人間が、物事を理解できるのは、過去の体験を自己の脳に記憶として持っているからです。つまり、人は何か問題に直面したとき、どう理解してどう解決すべきかを、直面した問題に似た体験が記憶の保管庫にないか、検索するのです。記憶があれば、その記憶を組み合わせて、どうすれば良いかを決める。まったく記憶がなければ、どうしたら良いかは分からない。事態の理解もできない。どんな優秀な人でも、まったく体験していないことは理解できないのです。

組織のトップになる人は、いろいろな問題に意思決定を求められ、その意思決定に関連する記憶をできるだけ沢山持っていることが望まれます。ところが、一人の人の体験には限りがあります。その限界を超えさせてくれるのが読書です。読書で読み取る内容が、疑似体験として、脳に記憶されるのです。

 読書をしない人間は、する人間に比べ、この疑似体験の記憶量が圧倒的に少ない。麻生首相はマンガが大好きだそうです。マンガがいけないというのではありませんが、マンガだけしか読まないとしたら、困ったものです。マンガを読むことと、文字を読んで頭に入れることとは、脳に要求される作業量がまったく違います。脳がどれだけ記憶するかは、脳の作業量に比例するのです。

 それにしても、読書量を心配しないといけないような総理大臣が、出現するとは思いもよりませんでした。血は、能力を保証するものではない、ということでしょうか。

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