古稀の青春・喜寿傘寿の青春

「青春は人生のある時期でなく心の持ち方である。
信念とともに若く疑惑とともに老いる」を座右の銘に書き続けます。

経済成長率3.7%?

2008-02-17 | 経済と世相
今、『人々はなぜグローバル化経済の本質を見誤るのか』(水野和夫著)を読んでいます。こんな個所がありました。
 最近は【資本流入額の多寡と成長率に高い相関がある。】
 近年、経常赤字を増大させている国の方が高い成長を実現している。・・・経常赤字の変化と、03年以降の年平均成長率をグラフの横軸、縦軸にプロットすると、相関関係が直線で示され、赤字拡大国の方が成長は高いというのです。平たく言うと、借金してでもお金をかき集めた国の方が、借金の少ない国より成長率は高い。

 
 このことから、以下の仮説に思い至りました。
 先日発表された10~12月期のGNP統計では、成長率は年率3.7%と予想外の高さと言われた。
 この問題を考究するには、近年の金融と実体経済の問題を整理しておく必要があります。
1. 金融は、実体経済を写すものだった。つまり、実体経済が頭で、金融は尻尾、頭が東を向けば尻尾は西を向く。ところが、今や、金融が実体経済をふりまわす。すなわち、金融が頭で、実体経済が尻尾になる傾向が出てきた。例えば、一国の経済成長(実体経済)は、その国への資本流入(金融)で決まる、つまり借金で決まる。
 昔は、経常黒字の国が資本の蓄積が可能であり、その資本を投資して経済成長を実現した。日本の戦後の経済発展を振り返ってみても、経済成長には資本が必要で、その資本は経常収支の黒字で稼ぎ出した。だから、成長のために投資をすると、保有外貨量の壁があって、外貨不足になり、すぐ成長にブレーキを掛けねばならなかった。経常赤字では経済成長は出来なかったのである。
 しかし、今は外貨不足になれば、経済のグローバル化で、外国から資金を借りることが出来る。だから、むしろ赤字国の方が成長できる。そうなると、借金という金融の流れが、その国の経済成長の度合いを決める。尻尾だった金融が頭で、成長という実体経済が尻尾になった。
 近年、米国が行ってきたことは、まさに赤字国の高成長で、それを可能にしたのが、米国の作り上げたグローバル経済のしくみ。まさに、尻尾と頭が逆転するしくみでした。
2 .金利と格差問題。
 経常赤字の続く米国が、自国の経済成長を続けるためには、米国への資本流入が続くシステムが必要だった。それが、米国主導の経済のグローバル化だった。この一環として、日本の低金利がある。
 このシステムでは、各国の稼いだ黒字が直接その国への資本投下(投資)になるのでなく、資金は一旦米国に集められ、それが米国から各国への投資として配分されることになる。それが、金融の自由化でした。
 日本のように、貿易で稼いできた国は、従来は、輸出で稼いだ金が国内を循環して、国民各層を潤したが、稼いだ金が一旦米国に行ってしまうと、輸出で稼げない業種に金が回らない。これが格差問題の真相と思います。
3 .経済が成長するか、好景気が続くかは、資本の流入状況を見ていれば分かるはず。その、資本の流れが、サブプライム問題をきっかけに変調を来たしている。米国の成長を担保する、資本の流入が細っているのだ(イラク戦争の失敗で、中東産油国の金が米国以外に流れるようになったことも影響)。世界経済をリードしてきた米国の失速は深刻です。簡単に、米国に代わって需要を引っ張る市場が出てくるとは思えないからです。
4.にも拘らず、10~12月のわが国の成長率は、何故高かったか?
 二つ理由が考えられます。一つは、金融の流れが実体経済に波及するまでの時間の遅れ。頭が回ってから尻尾が回るまでに若干の時差があるということ。
 もう一つは、尻尾であっても、尻尾がなくなるわけではない。尻尾の部分では日本の製造業は健在だ。
以上です。

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