服部茂幸さんの本で面白いデータを見つけました。
日米の一人当たりGDPのグラフです。2000年から2012年まで日米二つのグラフがほとんど重なっています。
日米ともに2007年の値を100にとっていますから、このグラフは日米の経済成長率を表示しています。日本とアメリカのGDP成長率は一人当たりでみると、ほとんど同じということになります。90年代以降「失われた10年」とか「失われた20年」(最近は30年とも言われる)とか言われています、つまり、政府の政策がよろしきを得ないので、90年以降、経済が成長しなくなっているというのです。しかし、このグラフからいうと、少なくとも2000年以降は米国並みの経済成長はしているので、「失われた10年」はともかく「20年」、「30年」は言いすぎです。考えてみれば、グローバル化されて、同じような政策をとっているのですから、大体同じ成長率になるのは不思議でない。
にも拘らず、「失われた20年」が納得されやすいのは、所得が伸びていないからでしょう。米国では、上位1%の所得は伸びているが、99%は全く延びていないとか。
そもそもGDPが増えてもそれが所得の上昇につながるとは言えない。GDPが増えてもその大部分が企業の内部留保に回っているだけではないのか!
上の図から見ると、2000年から2007-年までかなり成長していますが、所得が伸びないので「実感なき経済成長」になっているのでしょう。消費を増やすには、消費性向の高くない、上位1%でなく、所得の少ない人々の所得を増やさねばならない。日米政府の政策がまずかったとしたら、それは経済を成長させる政策でなく、所得を配分する政策だったと思います。