古稀の青春・喜寿傘寿の青春

「青春は人生のある時期でなく心の持ち方である。
信念とともに若く疑惑とともに老いる」を座右の銘に書き続けます。

拉致被害者と残留孤児

2007-04-03 | 経済と世相
二日の名古屋はすっぽり黄砂に包まれ、小生の部屋から見るJR・ツウィンビルもトヨタ・ミッドランドスクウェアも霞んでいました(視界3km)。

 ところで、3月30日朝刊に、「東海、北陸7県に住む中国残留孤児168人が、国に総額155億円の賠償を求めた訴訟、3月29日、名古屋地裁は棄却」の判決要旨を見ました。中に、拉致被害者と残留孤児を比較した箇所がありました。一寸長いけど引用してみます。

【拉致被害者支援法においては、その目的として、帰国後の自立促進を規定しているのにとどまらず、失われた生活基盤の再建をも掲げていることに着目する必要がある。原告らが被告の自立支援義務違反に起因して生じたと主張する損害は自立支援施策の不十分さが原因で帰国後に初めて生じた孤児の人格的損害をいい、帰国後に強いられた犠牲に対する補償を求めるものではないのに対し、拉致被害者に関しては、生活基盤の喪失という犠牲について、諸般の政治・社会・国際情勢を配慮した上での高度の政治的判断として、これに対する補償的処置を行って生活基盤の再建を図ることとし、拉致被害者支援法が制定され、その支援施策においては、自立促進といった側面以外に過去の犠牲に対する補償という側面を並有することとなったのである。したがって、孤児に対する自立支援施策と拉致被害者に対する支援施策とでは、これにかかわる立法等の政策的趣旨・目的を異にし、両者を同一線上にあるものとして法的な自立支援義務の観点から比較対照するのは相当でない。】

 分りにくい言い方をしていますが、簡単に言うと、『拉致被害者支援法は拉致被害者を対象にした法律で、そこに規定された内容を、残留孤児に適用して考えることは出来ない。』と言っているように、私には思えます。

 残留孤児も拉致被害者も、国家(政府)が、国民の生命・財産を守るという使命に失敗した、あるいは使命を放棄した結果、生じた犠牲者だと思います。

 ですから、残留孤児にそうした規定の法律がないなら、そうした法を定めていない国の責任に、何故、裁判官は言及しないのか?と思いました。

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