古稀の青春・喜寿傘寿の青春

「青春は人生のある時期でなく心の持ち方である。
信念とともに若く疑惑とともに老いる」を座右の銘に書き続けます。

勝ち続けるアメリカ経済 一人負けする中国経済』

2017-10-23 | 読書

中国では、今5年ごとの共産党大会が開かれている。習主席の発表する方針や人事が注目されていますが、中国が今後どうなるか、勉強してみようと、本を探してきました。

『勝ち続けるアメリカ経済 一人負けする中国経済』(武者陵司著、2017年8月講談社α新書)です。

トランプ新政権の経済政策で、成長加速とドル高・円安はアベノミクスにとって臥龍に点睛を入れるものになろう。トランプ政権下で進むドル高は、国際的ドル不足によって生ずる。おそらく10年後にアメリカは経常黒字国になる。

 そうなれば、これまで経常赤字で世界中にドルを供給してた流れが止まり、ドル不足が生ずる。ドル建て債務を抱えている国には不利になるが、ドル建て債券を持つ国は有利になる。

 アメリカ国債も含め、ドル建て債券を持っている国はどこか、日本です。ちなみに2016年における日本の米国債保有額は10月時点で1兆1320億ドルです。

ドル高になるほど評価益が増えることになります。

 考えてみれば当然で、アベノミクスは、金融緩和で円安にもっていき、輸出企業に稼がせる政策です。何を稼いでいるかというと、米ドルです。だから、将来米ドルの価値が上がれば利益は大きくなる。アベノミクスで家計にまでトリクルダウンがないというのは、稼いだ米ドルの価値が認識されるに至っていないことに原因があるかも?

ドル価値の推移については、エコノミストの間では、悲観的な見解もある。1ドル50円になっても不思議でないという。見解の違いはどこから生まれるか。通貨の価値には、国内通貨としての価値と、貿易取引の決済に用いられる国際通貨としての価値がある。

国内通貨としての価値は産業競争力が落ち、インフレ傾向になれば落ちる一方です。その面に着目すれば1ドル50円も不思議でない。

ところが、現在国際通貨として各国から承認されているのは米ドルだけです。

経済が成長すれば必ず決済通貨の需要は増える。国際的なドル補足が生じ、ドルは高くなるというのが筆者の意見です。アベノミクスで、企業が利益を拡大していても、

でも、アメリカ国内のインフレと競争力の低下は、ドルを国際通貨としての位置を失う名わせるのではないか。筆者は、ドルの地位を保たせる新しい米国経済の動きを説明します。

アメリカは、「第7大陸」を獲得しつつあると説くのです。

資本主義が発展するためには、資本主義が価値を生み出す分野を見つける必要があります。

2015年から2016年にかけて世界貿易が停滞しました。しかし今、アメリカ経済及び世界経済において、リアル経済圏とは全く異なるヴァーチャル経済圏がどんどん成長しています。

ちなみに、これまで私たちが大陸と認識していたのは、ユーラシヤ大陸、アフリカ大陸、北アメリカ大陸、南アメリカ大陸、オーストラリヤ大陸、南極大陸の6大陸です。これにサイバー大陸と言う7番目の大陸が、2000年頃から大きく成長してきたのです。

ちなみに第7大陸はこれまでの大陸と違って、物理的に無限の空間です。高速処理が出来る高性能サイバーがあれば、いくらでも広大な土地が手に入る。このサイバー大陸の発見は歴史的にもまれな大発展時代をもたらす可能性があるのです。

イノベーシヨンの主体は圧倒的にアメリカ企業です。具体的には以下のようなことが起こっています。

①    インターネット情報革命に支えられた空前の企業収益。

②    世界最強のイノベーシヨンに基づく産業競争力。

③    低金利と潤沢な投資余力。

④    健全化した財政・

⑤    抑制されたインフラ。

リーマンショック直後、10%まで上昇したアメリカの失業率は4%まで低下し、完全雇用状態になった。

アメリカの雇用が、どのセクターで増加したかを見ると、そのほとんどが、教育・医療・専門サービス、娯楽・観光など個人向けサービス分野です。IT革命の下でのイノベーシヨンと、個人のライフスタイルの変化が進行し、個人向けサービス需要が急増しているのです。

囲碁は人工知能が人間を破るまでに10年以上かかると言われましたが、人工知能のなかでもデイープラーニヌの仕組みが発展したことで、あっという間に人間の棋士を破るようになりました。

 したがって人間が頭脳労働から解放されるまでそれほど長い時間がかかるとも思えないのです。

 私たちはこうした時代をどのようにとらえたらいいのか、経済学における極めて核心的な課題です。

 ところで、中国経済の今後を占う上で、最大の問題は、この第7大陸の発見で致命的に遅れています。

 

 中国は、独力で新しい価値を生み出すことが出来ません。中国には民営化が進まない国営企業の問題があります。なぜ、国営企業の民営化が進まないのかというと、国営企業こそ中国共産党にとって最大利権だからです。

つまり、国営企業を民営化するためには、共産党一党独裁制度を会えなければならない。

それがネックになります。とこの本は語るが・・・・