古稀の青春・喜寿傘寿の青春

「青春は人生のある時期でなく心の持ち方である。
信念とともに若く疑惑とともに老いる」を座右の銘に書き続けます。

高齢化と医療費

2016-01-24 | 経済と世相
先日1本8万円の注射を打った話を報告しましたが、高齢化に伴い、政府の医療費負担が大きくなると、心配になりました。
「日本は何故貧しい人が多いのか」(原田泰著、新潮社2009年刊)を読んで,
すこしほっとしました。


「高齢化で医療費増」は本当か、について原田泰さんの本(「日本は何故貧しい人が多いのか」、新潮社、2009年9月)はこう述べている。
 厚生労働省「医療費の動向」によれば2007年度の70歳以上の高齢者の一人当たり医療費は75.7万円。70歳未満のそれは16.1万円どある。高齢者の1人当たり医療費は高齢者以外の人の医療費の4.7倍にもなる。確かに、この数字を見れば、4.7倍も使う人が増えるのだから、医療費は急速に膨らむように思える。しかし、人口構成の変化がもたらす医療費の変動は、実はマクロでみるとそれほど大きくはない。
高齢者と高齢者以外の一人当たり医療費に年齢別の将来人口を乗じて推計すると、国民医療費は2007年度の33.4兆円から2025年には37.8兆円へと1.132倍にしかならない。(国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口」2006年12月による)を使って推計した医療費の予測値とGDPの予測値(20~64歳人口の伸びで労働力人口が伸びて労働生産性が毎年2%上昇と仮定して推計した)及び医療の対名目GDPの比率をグラフにプロットすると、医療費の増加よりもGDPの増加の方が大きい。また、医療費の対GDP比率は6.5%から2025年には5.9%に低下する。生産性の伸びは医療費の増加率を上回るのだ。
原田さんはこうも言っている。
医療の進歩には疑問を呈したい点がある。どんな産業の進歩でも、生活を快適にする進歩とそれを安価にする進歩がある。薄型テレビは、大画面、高画質、高音質になりながら安価になった。ところが、医療においては、治療向上の進歩はあっても、コスト低下の進歩が起きることが稀であるように思える。