経済学には古典的な問いがあります。
「中央銀行が通貨の流通量を増やすことによって、経済を刺激するという政策目標を本当に達成できるだろうか」という問いです。
この問いには、すでに18世紀から答えがあった。
デヴィッド・ヒュームは「貨幣について」と名付けたエッセイで次のように論じている。
「もしその国に従来よりも多量の貨幣が存在するようになれば、
同じ量の財を表示するのにより多量の貨幣が必要となるというだけのことです。
ですから、その国家だけに限定して問題を考えるならば、貨幣量の増大が善悪いずれであろうと、
なんらかの結果をもたらすということは皆無です」
しかし、ヒュームの時代は、お金が国内を回る国家経済の時代です。
彼らは、通貨が瞬時にして海外に移転したり、人件費を節約するため、海外に工場を移転させるというような、
グローバル経済の社会を想定したわけではありません。
経済学の命題の多くは、国家経済の時代を前提としていますから、
グローバル経済の時代に成立する命題かどうかは再検討の要があります。
アベノミクスの第一の矢は、「貨幣量を増やす」ということですから、
ヒュームの言うように、「その国家だけに限定して問題を考えるならば」何の効果もないはずです。
しかし、今日はグローバル化の時代、増やした通貨量がその国家内に留まるわけではありません。
となると、最初の影響は、為替市場にあらわれます。実際、相場は円安に動きました。
円安に動けば輸出が増える筈です。確かに金額的には増えています。しかし、数量的には、増えていないのです。
この現象について、経済学者はどう分析しているか?ネットをさがしていたら、
野口悠紀雄さんのレポートがありました。
http://toyokeizai.net/articles/-/13514
つまり、アベノミクスは、円安を実現することで、輸出を増やし生産を増やすことで経済を活性化しようというものです。
この場合、輸出は数量で増えなければならない。
ところが、平成25年上期の貿易統計(財務省)によると、
輸出は金額で対前年比4.2%増加だが、数量指数では8.3%の減少である
(これはマクロ経済の話で、ミクロ(個別企業)の話ではありませんが)。
http://www.customs.go.jp/toukei/shinbun/trade-st/gaiyo2013_1-6.pdf
円安になったからと言って、輸出が減る筈はありません。
だから、これは為替相場に関係なく、海外が不景気と言うことでしょう。
だから、円安がなかったら、輸出企業は青息吐息だった?でも、円安のおかげで売り上げ数量は増えて、好決算になった。
でも、そういう状況だと、設備投資は増やさないし、雇用も増えません。つまり、アベノミクス効果はないのです。
ところが、輸出関連の企業では、好景気を満喫しているという。また、高級品が売れに売れているという。何故か?
通貨量を増やし輸出を増やすというルートでなく、別のルートがあった?
考えられるのは、株式市場の活況です。
企業の保有する株式が値上がりすれば、決算は好調になります。
資産家も持ち株が上昇すれば、儲かった気分になり、財布のヒモが緩む。
ではなぜ、株価が上がったのか?日銀の供給したマネーが実物資産に回らず、投機市場に回ったのではないでしょうか。
野口さんは、マネタリーベースの増加ど比し、マネーストックは増加していないと分析しています。
マネーを増やしても、実物経済の中で、信用の創出機能が働かず、
マネーストック(M2あるいはM3)の増加はまったくないのです。
http://toyokeizai.net/articles/-/16044?page=1
で、問題は、アベノミクスの将来です。
円安が日本経済に好影響をもたらす時期を外れた時期の円安では、輸出数量が増えない。
カネは設備や雇用に回らず、投機市場にしかカネが回らない。従って、資産家にしか好影響は出ない。
一般市民には、円安の悪影響(ガソリン価格の上昇など)しかない。
このことがあきらかになった段階で、安倍内閣の支持率は暴落するのでは?と思います。
「中央銀行が通貨の流通量を増やすことによって、経済を刺激するという政策目標を本当に達成できるだろうか」という問いです。
この問いには、すでに18世紀から答えがあった。
デヴィッド・ヒュームは「貨幣について」と名付けたエッセイで次のように論じている。
「もしその国に従来よりも多量の貨幣が存在するようになれば、
同じ量の財を表示するのにより多量の貨幣が必要となるというだけのことです。
ですから、その国家だけに限定して問題を考えるならば、貨幣量の増大が善悪いずれであろうと、
なんらかの結果をもたらすということは皆無です」
しかし、ヒュームの時代は、お金が国内を回る国家経済の時代です。
彼らは、通貨が瞬時にして海外に移転したり、人件費を節約するため、海外に工場を移転させるというような、
グローバル経済の社会を想定したわけではありません。
経済学の命題の多くは、国家経済の時代を前提としていますから、
グローバル経済の時代に成立する命題かどうかは再検討の要があります。
アベノミクスの第一の矢は、「貨幣量を増やす」ということですから、
ヒュームの言うように、「その国家だけに限定して問題を考えるならば」何の効果もないはずです。
しかし、今日はグローバル化の時代、増やした通貨量がその国家内に留まるわけではありません。
となると、最初の影響は、為替市場にあらわれます。実際、相場は円安に動きました。
円安に動けば輸出が増える筈です。確かに金額的には増えています。しかし、数量的には、増えていないのです。
この現象について、経済学者はどう分析しているか?ネットをさがしていたら、
野口悠紀雄さんのレポートがありました。
http://toyokeizai.net/articles/-/13514
つまり、アベノミクスは、円安を実現することで、輸出を増やし生産を増やすことで経済を活性化しようというものです。
この場合、輸出は数量で増えなければならない。
ところが、平成25年上期の貿易統計(財務省)によると、
輸出は金額で対前年比4.2%増加だが、数量指数では8.3%の減少である
(これはマクロ経済の話で、ミクロ(個別企業)の話ではありませんが)。
http://www.customs.go.jp/toukei/shinbun/trade-st/gaiyo2013_1-6.pdf
円安になったからと言って、輸出が減る筈はありません。
だから、これは為替相場に関係なく、海外が不景気と言うことでしょう。
だから、円安がなかったら、輸出企業は青息吐息だった?でも、円安のおかげで売り上げ数量は増えて、好決算になった。
でも、そういう状況だと、設備投資は増やさないし、雇用も増えません。つまり、アベノミクス効果はないのです。
ところが、輸出関連の企業では、好景気を満喫しているという。また、高級品が売れに売れているという。何故か?
通貨量を増やし輸出を増やすというルートでなく、別のルートがあった?
考えられるのは、株式市場の活況です。
企業の保有する株式が値上がりすれば、決算は好調になります。
資産家も持ち株が上昇すれば、儲かった気分になり、財布のヒモが緩む。
ではなぜ、株価が上がったのか?日銀の供給したマネーが実物資産に回らず、投機市場に回ったのではないでしょうか。
野口さんは、マネタリーベースの増加ど比し、マネーストックは増加していないと分析しています。
マネーを増やしても、実物経済の中で、信用の創出機能が働かず、
マネーストック(M2あるいはM3)の増加はまったくないのです。
http://toyokeizai.net/articles/-/16044?page=1
で、問題は、アベノミクスの将来です。
円安が日本経済に好影響をもたらす時期を外れた時期の円安では、輸出数量が増えない。
カネは設備や雇用に回らず、投機市場にしかカネが回らない。従って、資産家にしか好影響は出ない。
一般市民には、円安の悪影響(ガソリン価格の上昇など)しかない。
このことがあきらかになった段階で、安倍内閣の支持率は暴落するのでは?と思います。