古稀の青春・喜寿傘寿の青春

「青春は人生のある時期でなく心の持ち方である。
信念とともに若く疑惑とともに老いる」を座右の銘に書き続けます。

国の借金を解消する名案?迷案?

2008-07-05 | 経済と世相
 介護保険料が低所得者にきびしい、とのご意見に賛成です。
介護保険に限りません。先日話題の地方税もそうです。
昨年度から、所得税の5%を地方税に移転しました。その際、税率の変更をしました。

それまで地方税の税率は、所得額に応じて5%、10%、13%の3本立てでした。これを所得税の移転分も含めて10%一律にしました。
従来5%の方は、所得税の移転分を合わせて10%になりました。
従来10%の方は、所得税の分5%を含めて15%になるところ、10%に。つまり5%の減税。
従来13%の方は、所得税の分5%を含めて18%になるところ、10%に、つまり8%の減税です。
所得の多い人だけ減税しました。
法人税についても、小泉内閣以来、減税をしています。

私が、我慢ならないと思うのは、「国の借金は850兆円にもなる。消費税のアップも検討しなければ・・」と言いながら、お金持ちだけを減税していることです。
国の財政が、政治家や官僚の言うように、本当に苦しいのなら、減税は止める。国民全部に増税を訴えるべきなのに、金持ちに減税し、低所得者から増税をしていることです。
これは、政治家が2世、3世ばかりになって、生まれつき富裕な家庭に育ち、貧乏人の苦労など分からなくなっているためと、愚考します。
なにしろ、「総理大臣の孫が総理大臣を投げ出して、総理大臣の息子と総理大臣の孫が跡目を争い、総理大臣の息子が勝って総理大臣になった」ということが起きたのは、世界の歴史の中で、21世紀の日本だけです。

余談ですが、増税も行わず、介護保険も上げず、後期高齢者の医療費負担も増やさず、国の借金を解消する名案(迷案?)があります。
現在の国の借金の債権者は国民です。そこで、国民が死亡したときの相続税を100%にするのです。債権は相続税として国に納められますから、自動的に国の借金はなくなる。政府は国民の死亡を待ちさえすれば借金は消滅し、万々歳です。
 この寓話は、お金を持っている人に税金を納めてもらえば、問題は解決することを示唆しています。にもかかわらず、お金のある人でなく、お金のない人から税金を取ろうとするから、ややこしくなる。そういえば、相続税を引き下げたのも、小泉内閣でした。
追伸1:02年の念頭記者会見で、当時の小泉首相は「今年は税制改革の年」と宣言した。そして、「骨太の税制改革」を行うとした。それを受けた03年度税制改正においては、相続税の改正が重要な内容となり、相続時清算課税制度が導入された。また、相続税の税率構造が見直され、最高限度税率が70%から50%に引き下げられた。(野口悠紀雄著「資本開国論」)
追伸2
「所得税を合算すれば減税ではない」とのご指摘ありがとうございます。
 私は、地方税のみ見ていて、所得税の税率が変更になっていたことに気づきませんでした。
 したがって、私の勘違い、というよりミスでした。
 ところで、メールを拝読していて、「なぜ、地方税の税率を一本化したのか」が分かったように思います。
以下、小生の愚考です。
 従来の地方税は(繰り返しになりますが)、概ね、課税所得200万円までは5%、200万円を越え700万円まで10%、700万円を越えると13%でした。
ですから、所得税を5%地方に移転すれば、それぞれ、10%、15%、18%にすれば良いはずです。ところが一律10%にしました。
となると、減額した分、地方の取り分は減ります。減った分はどこに行ったか?
 当初、「金持ち減税だ」と思いました(減税する気がなければ、税率を下げる必要はないから)。
 ところが、ご指摘では、その分は減税ではなく、所得税の増税になっていた!
 つまり、国は一旦所得税の5%分を地方に移転した後、高所得者の地方税を減税させ、その分を所得税で、国に戻させた。
 国に戻る額を最も多くするには、地方税を一律10%にすれば良い。これが、地方税一律10%の背景でした。
でも、「こんなセコイこと考えていたのかな?」、財務省のお役人は。