この「聖なる館」はゼップの全作品の中でも際立って異質な内容のアルバムで、初めて聴いた時の第1印象は “何じゃいコレは???” 以外の何物でもなかった。喉の手術によるプラントの声質劣化にも驚いたが、何よりも受け入れ難かったのはメロトロンやシンセサイザーを大きくフィーチャーし、ファンク、レゲエなどの要素を大胆に取り入れた音楽性の変化で、「コミュニケイション・ブレイクダウン」や「ロックンロール」のようなイケイケの王道ハードロックを彼らに期待していた私の耳には期待ハズレもいいところ(>_<) 昔からエレピの軽薄な音が大っ嫌いな私にとっては可愛さ余って何とやらで、 “何が悲しゅーてゼップがこんなヘタレな音楽やっとるんや?”と、アコギに失望した「Ⅲ」以上にがっかりしたものだ。そういうワケで中学の時に初めて買った日本盤は数回聴いてすぐに売り飛ばし、その後ずーっとこのアルバムだけは頑なにスルーしていた。
そんな私が再びこのアルバムを聴くようになったきっかけは何と「ゴルゴ13」(笑)で、「統計解析射撃」という話の中でゴルゴがターゲットに近づくためにわざと敵につかまって拷問を受けるシーンがあるのだが、そこに登場したのが他でもないこの「聖なる館」。ヘッドフォンの大音量でこのレコードを聴かされてゴルゴが苦悶の表情を浮かべるのを見て “あのアルバムにそんなハードな曲入ってたっけ???” と思い、CDをレンタルしてきて改めて聴き直してみるとこれが結構面白い。
単純なハードロック小僧だった学生時代からかなりの年月が経って音楽的に心が広~くなっていたせいもあるが、昔からこのアルバムで唯一好きだった無機質な疾走系チューンA①「ザ・ソング・リメインズ・ザ・セイム」のスリリングなカッコ良さ(→拷問に使われたのは多分この曲やろな...)に加え、全くのノーマークだったB①「ダンシング・デイズ」の面白さにも開眼。そのねっちっこい変則ビートが脳内リフレインに突入して往生したし(→ボビー・ブラウンの「Humpin' Around」ってこの曲のパクリやったんやとこの時初めて気付いた...)、ゼップによるジェームズ・ブラウンのパロディーみたいな変態ファンクのA④「クランジ」にも大笑い(^_^) これはもう完全にギャグである。
そーなってくると今度は怪しさ満点のレゲエ・ナンバーB②「デジャ・メイク・ハー」もまぁハニードリッパーズの先駆けみたいなスピンオフ的作品(?)と考えればまぁ愉しめないことはないし、A③「オーヴァー・ザ・ヒルズ・アンド・ファー・アウェイ」における静と動のコントラストの妙など、バリバリのハードロックを期待して聴かなければ実に聴き所の多いアルバムだとわかる。エレピの音は生理的に無理なのでB③「ノー・クオーター」だけは今でも苦手やけど...(>_<)
そんなこんなで初めて聴いてから20年以上たってようやくその真価が分かり始めたニクイ1枚なのだが(←かと言ってⅠ、Ⅱ、Ⅳのように溺愛するとこまでは絶対にいかないと思うけど...)、改めるに遅すぎることなかれ、ということで第1次ゼップ祭りの時に eBayで検索。しかし UK盤はマトリクスやカッティング・エンジニアの組み合わせetc が色々あってどれが良い音なのかよく分からないので後回しにし、とりあえず安くて盤質が良かったフランス盤 1stプレスを €11(←安っ!!!)でゲットし、更に UK盤や US盤よりもカッティングレベルが高くて“世界一音が良い”といわれている日本盤(←ホンマかいな???)もヤフオクで800円(←安っ!!!)で落札した。
まずフランス盤の方だが、UK盤が「館」からUS盤と同じ green/orange レーベル・デザインに変わったのに対し、こちらはまだ red/plum のままだ。デッドワックスには機械打ちで STERLING、そして泣く子も黙る RL の2文字が手彫りで刻まれており(←ジャズで言うと RVG みたいなモンか...)、実際に聴いてみると中低域がタイトに引き締まっていてA①のスピード感に拍車がかかっている感じ。同じ RL カッティングの「Ⅱ」のような野放図な低音とはかなり音作りが異なっているように思うが、それぞれのアルバムの音楽性に合わせて音を仕上げていくボブ・ラドウィックならではの仕事といえるかもしれない。一言で言えば “突出した部分は無いが非常に平均点の高い音” だ。
一方、“ラウドカット” を喧伝されていた国内初回盤の P-8288A の方は看板に偽りナシのデカい音で、音圧は先のフランス盤の1割増しぐらい高く感じられる。特にA①なんかもう血湧き肉躍るという感じの凄まじさで超ヤバい(^o^)丿 私は基本的に国内盤の音を“薄っぺらい”とバカにしてきたが、この盤に関する限りは素直に参りましたと平伏すしかない。ただ、私には高音がちょっとキツすぎるのが玉にキズで、この盤はプリアンプのトレブルを1目盛りほど絞って聴くようにしている。まぁこのあたりは聴く人の音の好み次第だと思うが、ドンシャリ系のシャープな音が好きな人にはピンズドな音作りだ。
そして今回のゼップ祭りパート2のどさくさで US盤もゲット。eBayで$12ポッキリ(←安っ!!!)で落札できた。この「館」は「Ⅰ」から「Ⅳ」までの初期の作品群に比べるとめちゃくちゃ安く買えるのでありがたい。私が買った盤は SO(サザン・プラスティックス)プレスでマト末尾のアルファベットは C/B。フランス盤と同じ RL カッティングで STERLING 刻印入りなのだが音の傾向は少し異なっていて、音圧は仏盤よりもやや低くて平板な音作りに聞こえた。これが PR や MOプレスならまた違った結果になったかもしれないが...(>_<) 因みに先のゴルゴの話はテキサスのダラスが舞台になっているので拷問に使われたのは多分この US盤だろうが、ラウドカットの日本盤だったらゴルゴの耳ヤバかったかも...(笑)
更に、プレス枚数が少なかったのかこれまで滅多にオークションに出てこずに入手できずにいたマト A1/B1(機械打ち) PORKY/PECKO(手書き)刻印の UK盤を先日ようやくゲット。UK初回盤は何故かマトが A2/B2 で 刻印が US盤と同じ RL / STERLING なのにもかかわらず音は断然後発の PORKY 盤が良いという評判だったのでそちらを狙ったのだが、結論から言うと待っただけの甲斐は十分にあるスーパーウルトラ高音質だ(^.^) 実際に聴いてみると手持ちの日・仏・米盤とは一線を画す深みのある音で、音場が広くて音の躍動感も文句ナシ。ハッキリ言って私には「館」はこれ1枚あれば十分だ。それにしても英・米・仏・日と、同じレコードでもこれだけ色んな音が愉しめるのだから、アナログ盤の世界ってホンマに奥が深いですな。
The Song Remains The Same - Led Zeppelin HD (with lyrics)
そんな私が再びこのアルバムを聴くようになったきっかけは何と「ゴルゴ13」(笑)で、「統計解析射撃」という話の中でゴルゴがターゲットに近づくためにわざと敵につかまって拷問を受けるシーンがあるのだが、そこに登場したのが他でもないこの「聖なる館」。ヘッドフォンの大音量でこのレコードを聴かされてゴルゴが苦悶の表情を浮かべるのを見て “あのアルバムにそんなハードな曲入ってたっけ???” と思い、CDをレンタルしてきて改めて聴き直してみるとこれが結構面白い。
単純なハードロック小僧だった学生時代からかなりの年月が経って音楽的に心が広~くなっていたせいもあるが、昔からこのアルバムで唯一好きだった無機質な疾走系チューンA①「ザ・ソング・リメインズ・ザ・セイム」のスリリングなカッコ良さ(→拷問に使われたのは多分この曲やろな...)に加え、全くのノーマークだったB①「ダンシング・デイズ」の面白さにも開眼。そのねっちっこい変則ビートが脳内リフレインに突入して往生したし(→ボビー・ブラウンの「Humpin' Around」ってこの曲のパクリやったんやとこの時初めて気付いた...)、ゼップによるジェームズ・ブラウンのパロディーみたいな変態ファンクのA④「クランジ」にも大笑い(^_^) これはもう完全にギャグである。
そーなってくると今度は怪しさ満点のレゲエ・ナンバーB②「デジャ・メイク・ハー」もまぁハニードリッパーズの先駆けみたいなスピンオフ的作品(?)と考えればまぁ愉しめないことはないし、A③「オーヴァー・ザ・ヒルズ・アンド・ファー・アウェイ」における静と動のコントラストの妙など、バリバリのハードロックを期待して聴かなければ実に聴き所の多いアルバムだとわかる。エレピの音は生理的に無理なのでB③「ノー・クオーター」だけは今でも苦手やけど...(>_<)
そんなこんなで初めて聴いてから20年以上たってようやくその真価が分かり始めたニクイ1枚なのだが(←かと言ってⅠ、Ⅱ、Ⅳのように溺愛するとこまでは絶対にいかないと思うけど...)、改めるに遅すぎることなかれ、ということで第1次ゼップ祭りの時に eBayで検索。しかし UK盤はマトリクスやカッティング・エンジニアの組み合わせetc が色々あってどれが良い音なのかよく分からないので後回しにし、とりあえず安くて盤質が良かったフランス盤 1stプレスを €11(←安っ!!!)でゲットし、更に UK盤や US盤よりもカッティングレベルが高くて“世界一音が良い”といわれている日本盤(←ホンマかいな???)もヤフオクで800円(←安っ!!!)で落札した。
まずフランス盤の方だが、UK盤が「館」からUS盤と同じ green/orange レーベル・デザインに変わったのに対し、こちらはまだ red/plum のままだ。デッドワックスには機械打ちで STERLING、そして泣く子も黙る RL の2文字が手彫りで刻まれており(←ジャズで言うと RVG みたいなモンか...)、実際に聴いてみると中低域がタイトに引き締まっていてA①のスピード感に拍車がかかっている感じ。同じ RL カッティングの「Ⅱ」のような野放図な低音とはかなり音作りが異なっているように思うが、それぞれのアルバムの音楽性に合わせて音を仕上げていくボブ・ラドウィックならではの仕事といえるかもしれない。一言で言えば “突出した部分は無いが非常に平均点の高い音” だ。
一方、“ラウドカット” を喧伝されていた国内初回盤の P-8288A の方は看板に偽りナシのデカい音で、音圧は先のフランス盤の1割増しぐらい高く感じられる。特にA①なんかもう血湧き肉躍るという感じの凄まじさで超ヤバい(^o^)丿 私は基本的に国内盤の音を“薄っぺらい”とバカにしてきたが、この盤に関する限りは素直に参りましたと平伏すしかない。ただ、私には高音がちょっとキツすぎるのが玉にキズで、この盤はプリアンプのトレブルを1目盛りほど絞って聴くようにしている。まぁこのあたりは聴く人の音の好み次第だと思うが、ドンシャリ系のシャープな音が好きな人にはピンズドな音作りだ。
そして今回のゼップ祭りパート2のどさくさで US盤もゲット。eBayで$12ポッキリ(←安っ!!!)で落札できた。この「館」は「Ⅰ」から「Ⅳ」までの初期の作品群に比べるとめちゃくちゃ安く買えるのでありがたい。私が買った盤は SO(サザン・プラスティックス)プレスでマト末尾のアルファベットは C/B。フランス盤と同じ RL カッティングで STERLING 刻印入りなのだが音の傾向は少し異なっていて、音圧は仏盤よりもやや低くて平板な音作りに聞こえた。これが PR や MOプレスならまた違った結果になったかもしれないが...(>_<) 因みに先のゴルゴの話はテキサスのダラスが舞台になっているので拷問に使われたのは多分この US盤だろうが、ラウドカットの日本盤だったらゴルゴの耳ヤバかったかも...(笑)
更に、プレス枚数が少なかったのかこれまで滅多にオークションに出てこずに入手できずにいたマト A1/B1(機械打ち) PORKY/PECKO(手書き)刻印の UK盤を先日ようやくゲット。UK初回盤は何故かマトが A2/B2 で 刻印が US盤と同じ RL / STERLING なのにもかかわらず音は断然後発の PORKY 盤が良いという評判だったのでそちらを狙ったのだが、結論から言うと待っただけの甲斐は十分にあるスーパーウルトラ高音質だ(^.^) 実際に聴いてみると手持ちの日・仏・米盤とは一線を画す深みのある音で、音場が広くて音の躍動感も文句ナシ。ハッキリ言って私には「館」はこれ1枚あれば十分だ。それにしても英・米・仏・日と、同じレコードでもこれだけ色んな音が愉しめるのだから、アナログ盤の世界ってホンマに奥が深いですな。
The Song Remains The Same - Led Zeppelin HD (with lyrics)