shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Led ZeppelinⅢ

2018-07-01 | Led Zeppelin
 レコードに関する記述でよく“愛聴盤” という言葉を耳にする。私もよくこの表現を使うが、それは捨て曲・埋め草の類がなく AB面通して LP丸ごと1枚聴き通せるような溺愛盤のことで、好きな曲だけをつまみ食いする場合は愛聴 “盤” ではなく愛聴 “曲” と言うべきだろう。そういう意味では私にとってこの「Led ZeppelinⅢ」は愛聴盤とは言えない。B面の CSN&Yみたいなアコースティック・ナンバーがあまり好きになれず、いつも A面しか聴かないからだ。ゼップを聴き始めた中学生の時なんかもっと極端でA①「イミグラント・ソング」だけで針を上げていたが(笑)、彼らにアグレッシヴなハードロックを求めていた私のようなロック・ファンは案外多かったのではないだろうか?
 そんなこんなでこの「Ⅲ」は「Ⅰ」「Ⅱ」「Ⅳ」のようなスーパーウルトラ愛聴“盤”ほど聴き込んでいるワケではないが、絵に描いたような疾走系ハードロック A①やエスニックな曲想がクセになる変態スルメ・チューン A②「フレンズ」、リズム隊が大活躍するエレクトリック・ブルースの隠れ名曲 A③「セレブレイション・デイ」という名曲名演3連発が聴ける A面だけでも十分に価値があると思い、“第1次ゼップ・オリジナル盤祭り” の時に UKオリジナル盤を£19でゲットした。
 私が買ったのは red/plumレーベルでマトリクスは A-5 / B-5、デッドワックス部分には “Do what thou wilt”(A面)、“So mote it be”(B面)というクロウリーの呪文が刻まれており、ジャケットはもちろん内部の円盤が回る特殊ギミック見開き仕様だ。センター・レーベルに Peter Grantクレジットはなく、Warner Bros. Music の後にも Ltdが付いていないので最初期盤ではないが(←Peter Grantクレジットありなのにマトが A6や A7という摩訶不思議な盤も結構存在するのだが、これって一体どーゆーことなのだろう???)、マト番が同じなので音はそんなに変わらんはずだ(←値段は4~5倍になるけど...笑)。音の方は UK盤ならではの野太いサウンドで高域の伸びも素晴らしく、A①のシンバル乱打なんかもう驚異のド迫力... これを聴いたら CDの薄っぺらい音なんか絶対に聴けません。
 そういうワケで長いことこの UK盤1枚を聴いてきたのだが、今回の第2次ゼップ祭りで US盤も聴いてみたくなり、いつものようにネット検索。ヤフオクで MO(モナーク)プレス盤が3,000円ぐらいで出ていたのを見つけたのでそれでエエかなとも思ったが、どうせなら PR(プレズウェル)プレス盤を手に入れたいと考え直し、結局 Discogsで EXコンディションの PR盤を$25でゲット。US盤はマトリクス末尾のアルファベットでプレス時期の早い遅いが分かるのだが、ラッキーにもマト末尾が “-B / -B” で “Mastercraft” 刻印入りの初期プレス盤を手に入れることができた。
 更に都合の良いことに eBayに Peter Grantクレジットの UK盤が比較的安値で出品されていたので “毒を食らわば皿まで” のノリでその盤もゲット。マトリクスはもちろん A-5 / B-5 なのでこれこそが真正最初期プレスだ。上記の UK盤を既に持っているのにアホちゃうか!と心の中でもう一人の私が責めたのだが、音の違いを自分の耳で確かめてみたいという好奇心が勝ったのだ。
 先に届いたのはピーター・グラント盤で、早速もう1枚の UK盤と比較試聴してみたが、最初期プレスだけあって音の鮮度の点でグラント盤の方に一日の長があり、特にアコースティック・ギターの音色がめちゃくちゃ生々しい。B④「ブロン・イ・アー・ストンプ」なんてもう凄いのなんの... いやー、これは買って正解でしたわ(^.^)  マトリクスは同じでもマザーやスタンパーが違うということなのかもしれないが、とにかく「Ⅲ」のUK盤を狙うなら間違いなくグラント盤ですな。
 次に US盤だが、こちらはとにかく音がシャープでバスドラのスピード感も凄いというのが第一印象。さすがはプレズウェルのアーリー・プレスだけのことはある。ただし UK盤と聴き比べると音がやや軽めでアタック音の芯の強さで負けているように感じた。土臭いブリテッシュ・トラッドの薫りがたちこめるこのレコードにはやはり中域が分厚い UK盤の音作りの方が合っているということなのか。私の好みで言うと UK 1st > UK 2nd > US 1st ということになるが、US盤の音だって決して悪くはないと思う。ビートルズの場合はキャピトルの音作りがクソすぎて US盤はスルーでよかったが、ゼップは USアトランティック盤の音も侮れないので “UK盤とUS盤の聴き比べ” という愉しみ方ができてホンマにオモロイですわ(^.^)
Celebration Day