shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

ROCK or DIE / 相川七瀬 (Pt. 2)

2012-09-21 | J-Rock/Pop
 私がリアルタイムで聴いて盛り上がっていた相川七瀬ナンバーはこのベスト・アルバムで言うと前半に収められた①「夢見る少女じゃいられない」から⑦「Sweet Emotion」までで、⑧から後は聞いたことがあるようなないような、その程度のあやふやな印象しかない。改めて今の耳で聴いてみても、楽曲のクオリティーは 2ndアルバム「パラドックス」からの3枚のシングル⑤「恋心」⑥「トラブルメイカー」⑦「Sweet Emotion」でピークに達し、それ以降は下降線を辿っているように思えるのだ。要するにコンポーザー兼プロデューサーの織田哲郎がそれまでのようなヒット・ポテンシャルの高い曲を書けなくなったということなのだろう。
 そんなオダテツのネタ切れ初期症状を如実に示しているのが⑧~⑩あたりのシングル曲で、もう見境なく80'sの洋楽ロック/ポップスからの引用を連発しており、あれやこれやと策を弄するあまりスカッと突き抜けるような一気通貫の爽快さが損なわれてしまっている感は否めない。ただ、百戦錬磨のオダテツだけあって凡百の J-POPS に比べれば曲のフックはまだまだ健在だし、私は元ネタとなった80'sヒット曲も大好きなので別の意味で大いに楽しめているのだが...(笑)
 中でも一番笑えたのが⑧の「Bad Girls」で、思わずドナ・サマーを思い浮かべてしまいそうな紛らわしいタイトルの曲なのだが、この印象的なベースラインはどこをどう聴いても1987年にイギリスで大ヒットした M/A/R/R/S の「Pump Up The Volume」そのまんま。ブリティッシュ・ファンク色濃厚なハウス・サウンドが生み出す独特のグルーヴ感と相川七瀬のツンデレ・ヴォーカルの組み合わせが実に新鮮で面白い。こういう楽しみ方は邪道なのかもしれないが、何の脈絡もなしに唐突に飛び出してくる T.REX の「テレグラム・サム」そっくりなサウンドに目が点になる②「バイバイ。」(←初めて聞いた時はイスから転げ落ちそうになった...)と並ぶ、洋楽ファン必聴(?)の摩訶不思議なナンバーだ。
相川七瀬 Bad Girls

MARRS - Pump Up The Volume 1987 [HD Official Video]


 ⑨「彼女と私の事情」はプリミティヴなドラムのビートにアグレッシヴなイケイケ・ギター、粗削りでパワフルなシャウトといった “ジョーン・ジェットらしさ” を随所に散りばめた面白い曲で、シングル・マーケット向きとは言えないかもしれないが、ライヴでは大盛り上がりしそうなロックンロールだ。日本人でこの手の曲を歌わせたら七瀬の右に出る者はいないだろう。
Aikawa Nanase 彼女と私の事情(Kanojo to watashi no jijou) 9S(ra)


 ジュリーの「六番目のユウウツ」みたいなイントロのリフからフーターズを彷彿とさせるハッピーな80'sポップンロールへとなだれ込み、途中 My Little Lover の「めぐり逢う世界」に傾きそうになりながらもぐっと踏ん張り、最後には中森明菜の「DESIRE」みたいにビシッとキメて、涼しい顔で再びジュリーへと戻っていく(←あくまでもイメージです...笑)⑩「nostalgia」もめっちゃ好き。昔どこかで聞いたような懐かしいフレーズ/サウンドがてんこ盛りのこの曲を “ノスタルジア” と名付けたセンスが素晴らしい。
相川七瀬 Nostalgia


 後期の曲で断トツに気に入っているのがアン・ルイスのカヴァー⑭「六本木心中」だ。さすがは歌謡ロックの代名詞と言われるだけあって、メロディーラインが地味すぎてほとんど印象に残らない⑪「Lovin' You」以降の楽曲群の中にあって圧倒的な存在感を示しているのだ。オリジナルのアン・ルイスを圧倒的なパワーでグイグイ加速していく大排気量のアメ車とするならば、七瀬のヴォーカルはシャープなハンドリングでワインディングを軽快に駆け抜けていく国産スポーツカーといった感じで、そんな彼女の持ち味を巧く活かしたアレンジがめっちゃカッコいい(←取って付けた様なかったるいエンディングだけはどうしても好きになれないが...)。やっぱり相川七瀬はエッジの効いたギターが前面に出たアップテンポな歌謡ロックが最高ですな(^o^)丿
Aikawa Nanase 六本木心中(Roppongi shinjuu) 21S(RD)

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