shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Girl Groups - The Story Of A Sound - [DVD]

2015-02-11 | Oldies (50's & 60's)
 去年の12月初め頃、ビートルズのUKシングル盤蒐集を通してすっかり45回転パワーの魅力にハマってしまった私は次なるターゲットを探し始めた。ビートルズが完結した時点でやめておけばいいモノを、と自分でも思うのだが、大好きな音楽のことになると自分を抑えられなくなってしまうのが私という人間なのである。 “もっともっと色んな曲をシングル盤の鮮烈な音で聴いてみたい...” という欲求が “音源は同じなんやからLPやCDでエエやん...” という理性を上回ったのだ。
 シングル盤ならではのラウドな音の魅力が最も活きてくるのはやはり60年代のモノラル盤である。60年代といえばビートルズ登場以前に百花繚乱の時代を謳歌していたブリル・ビルディング系アメリカン・ポップスが真っ先に頭に浮かぶが、そんな中でも私が愛してやまないのが一連のガール・グループスだ。60年代のUSシングル・チャートで唯一ビートルズに対抗しうる存在だったスプリームズを始め、ロネッツやクリスタルズといったフィレス勢、そしてシフォンズ、エンジェルズ、シャングリラス、ディキシー・カップスといったワン・ヒット(?)ワンダーズに至るまで、彼女達の残したウキウキワクワクするようなヒット曲の数々が放つ魅力は50年の時を経た今でも色褪せるどころかますます輝きを増している。
 私は80年代のヒット曲と共に育ったと言っても過言ではないので、60年代ガール・グループスに関しては「レット・イット・ビー」のフィル・スペクター経由でロネッツを、「マイ・スウィート・ロード」の元ネタとしてシフォンズを、フィル・コリンズやキム・ワイルドによるカヴァー曲でスプリームズを知っていたぐらいで、それ以外の知識は皆無に等しかった。そんな私をガール・グループ・マニアの道に引きずり込んだのがコレクター仲間が貸してくれた1本のビデオで、それがこの「ガール・グループス ~ザ・ストーリー・オブ・サウンド~」だった。
 この作品はアラン・ベトロックが書いた上記タイトルの本に基づいて、エリー・グリニッチやジェリー・リーバー、マイク・ストーラー、ドン・カーシュナーといったヒット曲の仕掛け人たちによる証言をもとに60年代ガール・グループスの隆盛を時系列に沿って分かりやすく紹介したもので、エンジェルズ、シャンテルズ、シュレルズ、ディキシー・カップス、エクサイターズ、マーサ&ザ・ヴァンデラス、マーヴェレッツ、シャングリラス、ロネッツ、クリスタルズ、ブロッサムズ、スプリームズらの貴重な映像をはさみながら見応え十分なドキュメンタリー作品に仕上げてある。
 特に興味深かったのがロニー・スペクターが語るフィル・スペクターの狂人ぶり、そしてメアリー・ウィルソンが語るフローレンス・バラードのスプリームズ脱退の内幕だ。これらの裏話はその後「モータウン・ミュージック」や「甦る伝説」といった文献で詳しく読んだが、さすがは当事者のインタビュー映像だけあって語られる内容が生々しい...(-。-)y-゜゜゜ 他にもロニーがフランキー・ライモンの美声に憧れてシンガーになった話とか、ブリル・ビルディングの映像が出てきたりとか、ディメンションやレッド・バードといったマイナー・レーベル誕生の経緯とか、フィル・スペクターが重厚なオーケストラ・サウンドが大好きでそれがウォール・オブ・サウンドへと発展していった話とか、とにかくガール・グループ・マニアには見どころ満載の逸品だと思う。個人的には動物園でシロクマ相手に歌わされているエクサイターズのビデオ(←1963年1月のヒット曲だというのにPVが作られ、それも白黒ではなく何故かカラーというのがビックリ...)がツボだった(^.^)
 ラストの部分でガール・グループ・ブーム衰退の最大の要因としてビートルズを始めとする自作自演のイギリス系ビート・グループの台頭、つまりブリティッシュ・インヴェイジョンが挙げられているが、そういったブリティッシュ・グループの多くが彼女達のファンだったというのは運命の皮肉と言えるかもしれない。中でもビートルズはガール・グループが大好きだったようで、マーヴェレッツの「プリーズ・ミスター・ポストマン」を始めとしてシュレルズの「ベイビー・イッツ・ユー」やクッキーズの「チェインズ」、更に超マイナーな存在だったドネイズの「デヴィル・イン・ヒズ・ハート」まで嬉々としてカヴァーするというガール・グループ・マニアっぷりを発揮している。しかもただ曲をカヴァーするだけでなく、コーラス・ハーモニーの付け方やハンド・クラッピングの効果的な挿入法など、初期ビートルズのサウンドにはガール・グループスからの影響が非常に強く感じられるのだ。
 とまぁこのように色んな角度から楽しめるこのDVD(←字幕付きの国内盤リリースはVHSとレーザーディスクのみなのでそちらの方がオススメです...)、オールディーズ・ファンなら1度は見ておくべき傑作ドキュメンタリー作品ではないかと思う。
Girl Groups - The Story of Sound

コメント (2)    この記事についてブログを書く
« ビートルズUKシングル盤特集⑩... | トップ | レゲエ・ビートで聴くガール... »

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ガールズグループ大好き (fab-for)
2015-02-13 19:05:08
shiotchさんどうも。
60年代ガール・グループスいいですね。
動画はまだ全部見ていませんが字幕が欲しいです(笑)。

書籍ですがこんなのもあります。
http://www.amazon.co.jp/dp/4766126602/ref=cm_sw_r_fa_dp_8Lq3ub19C9220

返信する
700枚!!! (shiotch7)
2015-02-13 23:15:35
fab-forさん、こんばんは。
ガール・グループって華があっていいですよねー
ポールのチケットが取れるまでは気持ちが落ち着かないので
大好きなガール・グループ聴いて気を紛らわしてます(笑)

それと面白そうな本を教えていただき感謝感謝です。
それにしてもソロを含めてでも700枚紹介って凄いですね!!!
どんな内容か今から楽しみです。
返信する