shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Thriller / Michael Jackson

2009-01-25 | Rock & Pops (80's)
 ロック/ポップスの世界にスーパースターと呼ばれるシンガーやグループは数多いが、「その時代を象徴する真のスーパースター」となると片手で足りる。売り上げ枚数がどうとか、ヒット・チャートの成績がどうとか、そーゆー問題ではない。音楽の世界を飛び越えて、広く世間にその存在を知らしめるくらいの「○○現象」を起こして初めて真のスーパースターといえるのだ。50'sはエルヴィス・プレスリー、60'sはビートルズ、70'sは該当者なしで、80'sは文句なしにマイケル・ジャクソンだろう。「ベスト・ヒットUSA」世代の私はマイケルの「スリラー」が巻き起こした社会現象をリアルタイムで経験した。それはもう凄まじいもので、どのようにして彼が現象となりえたのか、その一部始終を今でもハッキリと覚えている。そもそもこの「スリラー」からの1st シングルはマイケルとポールのデュエット「ザ・ガール・イズ・マイン」だったが、ホール&オーツやメン・アット・ワークらの当時のヒット曲に比べると今一歩インパクトが弱く2位になるのがやっとだった。しかし翌83年2月に「ビリー・ジーン」がシングル・カットされると風向きが一変する。ブラック・ミュージックの魅力を凝縮したようなグルーヴを持ったこの曲はありとあらゆるチャートを席巻し、2月から4月にかけて7週連続1位を独走した。1週間のブランクの後、今度は「ビート・イット」で再び首位を奪回、5月のチャート№1を爆走するのだ。エディー・ヴァン・ヘイレンの素晴らしいギター・ソロが聴けるこの曲はそれまでマイケルとは無縁だったロック・ファンをも取り込むことに成功、この段階でアルバム「スリラー」の売り上げは加速度的に伸びていく。更に同5月には「モータウン25周年コンサート」に出演、「ビリー・ジーン」で初めてムーン・ウォークを披露し全米中に衝撃を与えた。この頃はもう黒人も白人も関係なくアメリカ全体がマイケル・ジャクソンという熱病に浮かされているかのような大フィーバーぶりだった。ちょうどエルヴィスやビートルズが「エド・サリヴァン・ショー」に出演して全米を興奮のルツボにたたき込んでいったように... 歴史は繰り返されたのだ。そして秋が過ぎ、いよいよ年末のクリスマス商戦に向けてあの「スリラー」のビデオ・クリップが登場する。マイケルが狼男に変身し、たくさんのゾンビを引き連れてダンスを繰り広げるシーンは1度見たら忘れられないほど強烈なインパクトがあり、このビデオがアルバム「スリラー」の売り上げに再点火、グラミー賞で8部門を総ナメにしたことは皆さんよーくご存知の通り。このアルバム以降、明らかにブラック・ミュージックの、いや80'sポップスそのものの音作りが変わっていったように思う。大袈裟でなく「歴史を変えた」アルバムであり、私にとって80'sポップスの座右の盤なのだ。
 このYouTubeの映像は2001年に行われたソロ活動30周年記念コンサートからのもので、元ガンズのスラッシュ(憑かれたようにギターを弾きまくる姿がめっちゃカッコエエわぁ!)をゲストに迎えたマイケルの力強いパフォーマンスが見る者の心を激しく揺さぶる。特にあのダンスの切れ味は今も健在で、何度見ても画面に釘付けになってしまう。そこには下らないゴシップや誹謗中傷がつけ入るスキのない完璧な歌とダンスの世界が展開されている。音楽家にとっては音楽こそがすべてなのだ。一つの時代を築いたヒーローに敬意を払わず、整形したとか肌が白くなったとか言って吊し上げ同然に晒し者にするマスゴミの連中には正直言って虫唾が走る思いがする。この圧倒的なパフォーマンスを見て彼らは何を思うのだろうか?

Michael Jackson and Slash Beat it (Live)

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