
昨日に続いて今日もマイコーでいこう。「スリラー」、「バッド」の2枚のアルバムで80年代を席巻したスーパースター、マイケル・ジャクソンが91年にリリースしたのがこの「デンジャラス」。ミュージック・ビデオも含め80'sポップスの世界に革命を起こしたマイケルが90年代に入ってどのようなアルバムを出すのか非常に楽しみにしていたのだが、待った甲斐があったというか、期待以上の素晴らしい内容に大興奮したものだ。このアルバムの一番の特徴は長年にわたって良きパートナーとしてやってきたクインシー・ジョーンズ師匠の下から自立したことだが、新たに組んだ相棒が何と90'sニュー・ジャック・スイング・ブームの仕掛け人テディー・ライリーというから恐れ入る。彼はクインシーのゴージャスでポップな音作りとは正反対の、余分な音を削ぎ落としたソリッドでクールなダンス・ビートの構築を得意としており、1曲目から強烈なリズムが躍動するダンス・ナンバーが続く。曲でいうと①~⑥と⑭がテディー・ライリーとマイケルの共同プロデュースになっており、エキセントリックなサンプル音がシャープな切れ味でビシバシたたみかけてくる刺激的なサウンドをバックに、ハイ・テンションの絶叫調で攻撃的なヴォーカルを聴かせてくれるマイケルがめちゃくちゃカッコイイのだ(≧▽≦) 私は車の中で音楽を聴くことが多く、このアルバムなんかはまさにハイスピード・ドライビングBGMにピッタリで、特に①「ジャム」を聴きながらワインディングを高速で駆け抜けていくのは気分爽快だ。⑤「リメンバー・ザ・タイム」でも、最新のデジタル・ファンク・サウンドを大胆に導入し、それを自分本来の持ち味と絶妙にブレンドすることによって新たな世界を切り開いていこうとするマイケルの気迫のようなものが伝わってきて圧倒されてしまう。マイケル単独プロデュースの⑦~⑬ではやはり先行シングルで全米№1になったキャッチーでダンサブルなポップ・チューン⑧「ブラック・オア・ホワイト」にトドメを刺す。ガンズ&ローゼズのギタリスト、スラッシュの参加が「ビート・イット」のエディー・ヴァン・ヘイレン、「ダーティー・ダイアナ」のスティーヴ・スティーヴンスに勝るとも劣らないコーフンを呼び起こす。中間部のラップでストリート感覚を巧みに取り入れながらも実に聴きやすいサウンドに仕上げているのも凄いと思う。歌詞の内容は人種差別を止めようというメッセージ・ソングで、ビデオ・クリップはマイケルが世界中の様々な人種の人達と一緒に踊るシーンで構成されており、特にインド人の女の子と一緒に車の行きかう道路の真ん中で踊ったり(笑)ロシアの民族衣装を纏ったダンサーたちとコサックを踊ったりするシーンが面白い。この曲以外では「ウィー・アー・ザ・ワールド」っぽい壮大なバラッド⑦「ヒール・ザ・ワールド」が絵に描いたような名曲だし、ヘヴイーでありながらメロディアスなファンク・チューンの⑨「フー・イズ・イット」も聴けば聴くほど味が出るスルメみたいなナンバーだ。アルバム・タイトル曲⑭「デンジャラス」もこの名盤のラストを締めくくるにふさわしいカッコ良さで、マイケルとテディー・ライリーのコラボレーションの成果を凝縮したような1曲だ。このアルバムは派手な「スリラー」や「バッド」の陰に隠れがちだが、個人的には最も愛聴しているマイケル・ジャクソン盤だ。
Michael Jackson - Black Or White Live (Best Performance)
Michael Jackson - Black Or White Live (Best Performance)