shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

ビートルズのイタリア盤特集④ ~珍盤迷盤掘り出し盤~

2018-05-12 | The Beatles
①「ザ・ビートルズ」(PMCQ 31502)
 イタリア盤のデビュー・アルバムは、ジャケットがUK2枚目の「ウィズ・ザ・ビートルズ」と同じモノクロのハーフ・シャドウ写真なのに中身はUK1枚目の「プリーズ・プリーズ・ミー」という紛らわしさで(→タイトルはシンプルに「The Beatles」)、しかも尋常ならざる高値で取り引きされているという、B4各国盤コレクター泣かせの1枚だ。私はこのレコードを「ガーデン・カヴァー」と同じセラーから €121で同時落札に成功(^o^)丿 ビートルズのイタリア盤の中でも最難関と思われる初期盤2枚をわずか3万円で手に入れることができてラッキーだった。
 横野さんのHPによるとこのレコードの初回版である赤色レーベルは細かく分けると1stプレスから9thプレスまでの9種類に分類されるとのことだが(→黒レーベルに切り替わるのが1965年の夏頃なので、約1年半の間に9回も変わるってある意味凄いな...)、私が手に入れたのは light red label で BIEMロゴと MECOLICOロゴあり、更に「ミズリー」のクレジットが “McCartner” とミススペルで表記されている 8thプレスらしい。まぁ大雑把な性格の私としては赤色レーベルでありさえすればどれでもいいのだが...(笑)
 このレコードは「I favolosi Beatles」と同じくドライで硬質な音作りが特徴で、もちろんUK金パロや黄パロの凄まじい爆裂サウンドには及ばないが、普通に初期ビートルズのロックンロールを楽しむ分にはこれで十分。オロナミンCのキャッチ・コピーじゃないが “元気ハツラツ!” という表現がピッタリの明るいサウンドだ。

②「アイウート!」(PMCQ 31507)
 アルバム「ヘルプ!」のイタリア盤「アイウート!」は例の手旗信号ではないイタリア独自のジャケットで、しかもジャケ下部分がフィルムになっているという洒落たデザインだ。さすがはイタリア、ええセンスしてますな。ただ、ジャケットの作りがUK盤「ビートルズ・フォー・セール」と同じ見開き式で内側からレコードを出し入れするという不便な仕様になっているのが玉にキズだ。
 イタリアではこのレコードから “黒ラベル”(←何かビールみたいやね...)が初回版。どういうワケか市場での取り引き価格が €50~€250と大きく幅があって、私は最初 DiscogsでベルギーのセラーからEX盤を€78で買ったものの、B面に1ヶ所大きく針飛びする箇所があったので即返品。2度目はeBayで信頼できるセラーから €81で落札。今度はピッカピカのNM盤を手に入れることができて大満足だ。
 音の方は UKオリジナル盤を遥かに凌ぐ高音質。ハッキリ言って「ヘルプ!」史上最強ではないかと思えるほど音が良い。これほど良い音で鳴るとは予想していなかったので正直ビックリしたのだが、とにかく中域が分厚くてどっしりと腰の据わった生々しいサウンドがスピーカーから勢いよく飛び出してくるところが◎。特にB面の音の近さは特筆モノで、まるでビートルズが目の前で歌い演奏しているかのようなリアリティーを楽しむことができる。ビートルズ各国盤コレクターのみなさん、これは絶対に“買い”でっせ(^o^)丿

③「アビー・ロード」(PMCQ 31520)
 ビートルズのイタリア盤の中で比較的安値で買えるトップ3が「レット・イット・ビー」「ヘイ・ジュード」とこの「アビー・ロード」で、どれも€20~€30も出せばそこそこキレイな盤を手に入れることができる。私はDiscogsのセラーから €21でNM盤を購入、もちろん STEREO / MONO ダブル表記の1stプレス盤だ。
 レコードに針を落とし、“安かったけど、めっちゃごっつい音で鳴るやん...(^.^)” と思って聴いていると、「アイ・ウォント・ユー」後半部のリフレインが佳境を迎えたところでとんでもないことに... 何とA面ラスト「アイ・ウォント・ユー」がフェイド・アウトで終わるのだ。なんなん、これ??? このレコードの楽しみの一つは、A面ラストのリフレイン・パートで緊張感を極限にまで高めておいてそこから唐突に演奏をスパッとぶった切り、B面1曲目に置かれた「ヒア・カムズ・ザ・サン」の清々しいイントロへと繋げることによって “重厚”と“軽快”の落差から生み出される独特の安堵感(?)を味わうことにあると思うのだが、よりにもよって尻すぼみにフェイド・アウトさせるとは、イタリアEMIは一体何を考えとるんじゃ??? これはビートルズが意図したアルバムの流れをブチ壊す暴挙以外の何物でもない。音自体は迫力満点なだけにホンマにもったいない...
 とまぁこのようにとんでもない編集が施された「アビー・ロード」だが、この部分以外は特に大きな欠点もないので(←音に関しては良くもなく悪くもなく...という感じ)コスパを考えれば決して悪い買い物ではない。まぁ世界で唯一 “フェイド・アウトで終わる「アイ・ウォント・ユー」” が聴ける珍品レコードとして、ライブラリーの片隅に置いておくのもいいかもしれない。

この記事についてブログを書く
« ビートルズのイタリア盤特集③... | トップ | 21世紀の精神正常者たち / モ... »