shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

The Beatles Anthology 3 (Disc 1-Pt. 1)

2009-10-20 | The Beatles
 アンソロジー3のDisc-1 は「ホワイト・アルバム」の音源が中心だ。②と④~⑨の計7曲はインドから帰国後にイギリスのイーシャーにあるジョージの別荘にメンバーが集まって「ホワイト・アルバム」のリハーサルを行った時の、通称 “イーシャー・デモ” からの音源で、アコースティック・ギター1本の弾き語りというシンプルな形態がそれぞれの楽曲の原型を露わにし、色々とサウンド・プロダクションを施していく前の“ネイキッド”な姿を見せてくれる。まさに “アンプラグド・ホワイト・アルバム” といった塩梅だ。ただ、ホーム・レコーディングのデモ・テイクとはいっても、4トラック・レコーダーを使ってヴォーカル・パートのオーヴァーダブが行われているので侮れない。
 ②「ハピネス・イズ・ア・ウォーム・ガン」はまだまだ歌詞も未完成っぽいが、途中で “Yoko Ono oh no, Yoko Ono oh yes...♪” などというさぶいアドリブをかましながらジョンが淡々と歌っている(>_<) ④「ミーン・ミスター・マスタード」と⑤「ポリシーン・パン」の2曲は結局「ホワイト・アルバム」に間に合うように完成させることが出来ず、結局「アビー・ロード」のB面大メドレーに組み込まれることになったのだが、元々は繋がっていなかったこの2曲(この時点ではマスタード氏の妹の名は “パン” ではなくまだ “シェリー” だ!)を並べてメドレーの中間部の核にした(←最初はこの2曲の間に「ハー・マジェスティ」が入ってたというから驚き!)彼らのセンスに脱帽だ。それにしてもこの2曲、アンプラグド・アコースティック・セットにピッタリ合っててエエ感じで、特に⑤では1分15秒を過ぎたあたりからジョンの速射砲のような早口ヴォーカルが楽しめる。そのノリは⑥「グラス・オニオン」にも引き継がれ、歌詞が未完成なパートを早口で一気にまくし立てて(←⑤⑥どちらもダブル・トラック効果で面白さ抜群!)誤魔化しているところがいかにもジョンらしい(^.^)
 ポールの1st ソロ「マッカートニー」に収録された隠れ名曲⑦「ジャンク」がビートルズ・ヴァージョンで聴ける幸せを何と表現しよう!この哀愁、たまらんなぁ... (≧▽≦) それはそうと、バックに聞こえるコーラス・ハーモニーは誰やろ?⑧「ピッギーズ」の公式ヴァージョンはハープシコードが弾くバロック調の旋律が効いていたが、ここではアコギでシンプルに処理しており、中間部では口笛まで聞こえる。尚、この時点ではまだ歌詞の最後が “ブタどもがフォークとナイフでポークチョップを切り刻む” だが、完成ヴァージョンではジョンのアドヴァイスを入れて “ベーコンを食べる” というエグイ表現(←共食いやもんね...)に変えられていた。さすがはジョン、風刺が効いてまんなぁ(笑)。⑨「ハニー・パイ」はこのまま発表してもイケそうな、 “アンプラグドの鏡(?)” のような演奏で、肩の力の抜けたポールの変幻自在な歌声がめちゃくちゃカッコイイ!!! このトラックめっちゃ好きやわぁ...(≧▽≦)
 で、何でイーシャー・デモを分断するように収録したのか分からない③「ヘルター・スケルター」だが、3回行われたリハーサルのうちのテイク2(12分以上あった!)を短く編集したもので、世間で噂になっていたテイク3(何と27分もあるらしい...おぉコワ)は収録を見送られたらしい。このテイク2は凄まじいハードロックの公式ヴァージョンとは全く違うスロー・テンポのR&B っぽい演奏で、かえってそれが大爆発前の鳴動の如く不気味に響く。それにしてもこれが「ジャンク」や「ハニー・パイ」と同じ人間とは... ポール・マッカートニー恐るべしである。
 ⑩「ドント・パス・ミー・バイ」は公式ヴァージョンとあまり変わらないほぼ完成したヴァージョン。この後フィドルとかをオーヴァーダブしてより C&W 色を出そうとしたのだろう。⑪「オブ・ラ・ディ・オブ・ラ・ダ」はピアノの代わりにアコギを大きくフィーチャーしたテイクで、テンポもやや速めでドライヴ感があり、公式ヴァージョンが耳タコだったこともあり、初めて聴いた時はその軽快さが実に新鮮に感じられ、いっぺんに気に入ってしまった。もちろん完成度という点では公式ヴァージョンに一歩譲るが、これはこれで大いにアリの魅力的なトラックだと思う。

The Beatles - "Ob-La-Di, Ob-La-Da" (Anthology Version)

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