shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

ビートルズのスウェーデン盤特集②「Hey Jude」

2017-11-19 | The Beatles
 前回取り上げた「レット・イット・ビー」がめっちゃ良かったので “よっしゃ、次はスウェーデン盤いったるぞ!” と張り切ってオークション・サイトを色々チェックしてはみたものの、肝心のブツがほとんど市場に出てこない。The Beatles Bible サイトの DISCOGRAPHIES によると、スウェーデンではリアルタイムで「プリーズ・プリーズ・ミー」から「レット・イット・ビー」までのオリジナル・アルバム12枚に加えて「オールディーズ」や「ヘイ・ジュード」を含めたベスト盤3枚の計15枚がリリースされているはずなのだが、オークションで見かけるのは70年代プレスのリイシュー盤ばかり。
 特に「プリーズ・プリーズ・ミー」から「サージェント・ペパーズ」までの初期~中期アルバムのスウェディッシュ・1stプレスであるイエロー・パーロフォン・レーベル盤はプレス枚数自体が少ないのか、まったくと言っていいほど出てこないし、ごくごくたまに見かけても$300~$500という人をバカにしたような値付けでハナシにならない。
 そんな中、網に引っ掛かってきたのが「ヘイ・ジュード」だ。このレコードは厳密に言えばアメリカ主導のコンピレーション盤ながら、オリジナル・アルバム未収録の重要なシングル曲である「レディ・マドンナ」や「ヘイ・ジュード」、「ジョンとヨーコのバラード」が収録されているし、私が大好きなシングルB面曲「レヴォリューション」や「ドント・レット・ミー・ダウン」も入っているということで、私の中では “「ホワイト・アルバム」と「アビー・ロード」の隙間を埋める準オリジナル・アルバム” という位置付けの好盤なのだ。去年このブログでも手持ちの「ヘイ・ジュード」を9枚ほど特集したので、これで10枚目ということになる。
 この「ヘイ・ジュード」スウェーデン盤はガイド本「アナログ・ミステリー・ツアー」の初回試聴では “おざなりな眠い音” という低評価だったものの、ヴォリュームを適正レベルまで上げて聴いた2度目の試聴では“音圧は低いものの繊細さではかなりのもの” で “ドイツ・マザーながらドイツ初期プレスとはマト枝番が異なり音の傾向も違う” “音圧を稼いでいない分、音の隙間がキレイなのはNZ独自カットを想わせる” という高評価。UK盤だけではなくドイツ盤やNZ盤との聴き比べも面白そうだ。
 私が手に入れた盤は本に載っていた盤とはマトは同じ(1C062-04348-A-1F / B-1F)ながらレーベル面の表記はかなり違っており、私の盤には北欧圏の著作権管理クレジット“ncb”の表記がなくて更にA③が「PAPER BACK WRITER」、A⑥が「REVOLUTIONS」というUK輸出仕様の初期盤にあったのと同じミススペルになっていることから類推すると、コレが 1stプレスである可能性が高い。因みにジャケットは表裏共にキレイにコーティングされており、表面左上と裏面右上に 4E 062-04348 という数字が記されている。盤の重さは 150gだ。
 A①「キャント・バイ・ミー・ラヴ」から聴き始めたが、まず感じたのは “フラットな音” という印象で、低域から中高域にかけて特定の音域が分厚くなるということもなくバランス良くスラーッと伸びている感じ。だからA③「ペイパーバック・ライター」なんかUK盤シングルのガンガンくるアグレッシヴなサウンドに慣れきっている私は最初ちょっと拍子抜けしてしまったが、よくよく考えてみれば音圧を盛って盛ってド迫力サウンドのUK盤シングルに仕上げる前段階の音が楽しめるワケで、コレはコレでアリやなぁと思えてくる。
 だからA④「レイン」なんかUK盤ではグチャグチャなサウンド(笑)の中に埋もれがちだった細かい音まで聞こえてめっちゃ面白いし、A⑤「レディ・マドンナ」やA⑥「レヴォリューション」といったシンプル&ストレートなロックンロール・ナンバーではパワーと繊細さを高い次元で両立したサウンドが楽しめ、スウェーデン盤も中々やるやん!と感心してしまった。
 B①「ヘイ・ジュード」ではベースの音がやや線は細いもののキリリと引き締まって歯切れよく、フェイド・アウト寸前までその動きがクリアに聞き取れる。ベース・ラインが印象的なB④「ジョンとヨーコのバラード」でもそれは同様で、低音域の下の方をスパッと潔く切り捨ててスピード感を取った感じのサウンドが気持ちイイ。前回の「レット・イット・ビー」もそうだったが、他とは一味違うスウェーデン盤独自の音作りは私のようなUKオリジナル盤至上主義者にとっても十分に魅力的でコレクタブルだと思う。

この記事についてブログを書く
« ビートルズのスウェーデン盤... | トップ | ビートルズのスウェーデン盤... »