shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

ちあきなおみ・これくしょん ~ねぇ あんた~ (Pt. 4)

2010-02-09 | 昭和歌謡
 私はちあきさんは大好きだが演歌はどうしても身体が受け付けない。だから①「さだめ川」、②「恋挽歌」、④「酒場川」、④のB面で数年後に細川たかしのカヴァーで大ヒットした⑧「矢切の渡し」、①のB面の⑬「海郷」といった “ド演歌シリーズ” はいくらちあきさんフリークの私でも正直キツイ。上手いのは分かるが、やはり演歌独特のリズム(?)というかムードが私には無理。初めて KG ちゃんに CD を借りた時もこのあたりのド演歌連続攻撃ですっかり凹み、そのせいでちあきさん入門が遅れたという恨めしい楽曲群だ。私と同じようにこの時期のちあきさんのイメージで彼女を演歌歌手と勘違いしている人もいるかもしれないが、そのせいでこんな素晴らしい歌手がポップス・ファンから敬遠されるのは忍びない。一連の演歌路線はあくまでレコード会社の方針であり、決して彼女の本質ではない。そんな “暗黒時代” に何故か1枚だけ正気に返ったかのようにリリースされた正統派ポップス歌謡が③「女どうし」で、私にとっては地獄で仏、砂漠のオアシスのような存在だ。作曲は「円舞曲」の川口真で、梓みちよ系の溌剌とした “手拍子歌謡” が耳に心地良い。やっぱりちあきさんには王道の歌謡ポップスがよく似合う。
 この頃、ちあきさんは辛気臭い演歌から離れたかったらしく(←わかるわかる!)、中島みゆき、井上陽水、因幡晃といったニューミュージック系シンガーソングライターの作品を歌ったアルバム「ルージュ」を発表、そこからみゆきの⑤「ルージュ」(B面は⑭「帰っておいで」)をシングルとして切ってきた。このアルバムは以前ここでも取り上げたので詳しいことはそちらに譲るが、数多いちあきさんCDの中で最も好きな1枚だ。続いてリリースされたアルバム「あまぐも」(←ワルツフォーデビィなジャケットが雰囲気抜群!)からは友川かずきの⑥「夜へ急ぐ人」(B面は⑮「海のそばで殺された夢」)と河島英五の⑦「あまぐも」(B面は⑯「視覚い故里」)を連続してシングル・カット、特に⑥は “日本の女の狂乱を感じてもらえると嬉しい...” という彼女の言葉通りドロドロした情念渦巻く世界を怖いぐらいリアルに表現した歌で、発表当時には賛否両論が巻き起こったという。この時期の彼女が言った “賞は歌謡界にありすぎて、もう執着はないんです。それよりも人の心をナイフのようにグサリと突き刺すアダモみたいな歌手になりたいんです。” という言葉はまさにその後の彼女の活動を暗示しているようだ。尚、 “おいでおいで~♪” のフレーズで有名なこの⑥、アルバム・ヴァージョンは軽薄なアホバカ・フュージョンなアレンジと演奏(←ミッキー吉野とゴダイゴです...)が曲の雰囲気を完全にブチ壊していたが、このシングル・ヴァージョンはおどろおどろしい曲想をストレートに表現していて文句なしに素晴らしい!!! ちあきさんマニアは必聴だ。結局コロムビア時代最後のアルバム2枚は共にニューミュージック系の作品ながら、「ルージュ」の “明” に対して「あまぐも」の “暗” という、全く雰囲気の違う作品に仕上がっている。
 ⑨「Again」と⑩「星影の小径」はビクター移籍後のシングルだ。⑨は映画「時代屋の女房」(←夏目雅子さんの美しさが際立ってますネ!)の主題歌として1983年にシングルでリリースされた曲で、もちろんオリジナル・アルバム未収録の貴重な音源だ。シャンソンを歌ったアルバム「それぞれのテーブル」あたりに入っていても何の違和感もなさそうな佳曲だと思う。⑩はこれまで何度も激賞してきた超愛聴曲。NHK 特番のエンディングで、東京の夜景をバックに “ア~イ ラァ ヴュー ア~イ ラヴ ユー♪” とこの曲が流れてきて、 “今夜もどこかでちあきなおみの歌が流れている...” というテロップが入る見事な演出にジーンときてしまったのを思い出す。あのシーンを見ていなければ6枚組BOXもヘッタクレもなかったワケで、そう思うと何か運命的なものを感じてしまう。 “ちあきなおみってコブシの効いた歌唱の演歌系歌手” と誤解していた私の目からウロコを落とし、熱狂的なちあきさんフリークにしたのがこの歌声なのだ。 (つづく)

ちあきなおみ 夜へ急ぐ人x264


Chiaki Naomi  "ルージュ" Rouge


ちあきなおみ時代屋の女房主題歌アゲインagain

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